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被保護編 337年
337年4月7
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シルヴィオさんの邸に移った。微妙な宮廷の権力関係のためです。
マクシミリアンさんがレイサス側であることは周知の事実だが、自邸に長期間滞在させるのは囲い込んでいると思われる。
そうするとレイサスの方に近い貴族たちが、自分たちの介入するメリットがなくなるので離れる。マクシミリアンさんとレイサスは対外的には一定の距離を保つ必要がある。
ヌゼラス邸にはクリスティアナさんという年頃の美女もいるから、レイサスが泊まるのは外聞が悪い。
私の護衛にはエランがついてくれることになった。
信頼できる。事情を知っている。剣の腕も信頼できる。条件が揃うのはエランだけだった。
シルヴィオとエランは呼び捨てで敬語も省略していいと、本人たちから許可が出た。
まだ勉強が進まず、ロゾイゾ邸から出られないので、エランはレイサスについていて、代わりにシルヴィオが先生役をしてくれている。
レイサスはそれが不満そうだけど、仕方ないじゃない。レイサスはやることがある。私は教えてくれるなら誰からでもいい。
イユリスは形式的な議会制だ。
あるのは貴族院のみ。王に解散権は無く、議会は王を承認できるが承認されなくても王は即位はできる。
貴族の勢力関係をわかりやすくするための議会みたい。
ソサイゾ一派は議会を掌握しているらしい。経済でも軍でもなく議会か。それなら切り崩せなくもないかも。
貴族が経営する領地の収支は報告され、爵位、領地面積に課税される基礎負担額と、収益に応じて徴収される税が歳入。
イユリス国内で売買するには許可証が必要で、許可証の申請・更新には手数料がかかる。許可証を発行された商人は収支を国に報告する必要がある。
なるほどね。問題はその報告がザルだってことだ。収益への課税ではなく、許可証の固定収入を重視しているみたい。
収支報告がチェックされることはほとんどないらしい。収支の計算なんて本当に面倒だから、チェックされないと思えばそりゃあいい加減にもなる。
この世界にも簿記がある。見せてもらいました。けれどもっと、誰が見てもわかりやすいものにできる。要するに、私の知っている簿記に近づけたほうがつかえそうだ。
なんでそんなことを考えるかというと、私の仕事は経理だったから。
仕事は嫌いだった。経営に関わるから。従業員の生活を背負っている。経営者でもないのに。
そういう仕事だからといえばそうだけど、仕事は何でも辛いけど、さっさとお金を貯めてもっと気楽なバイトを探すのが夢だったんだよね。
けれどやっぱり収入をはっきりさせないとお金は使えない。
はっきりさせるには会計原則を改定しよう。そしてそれを徹底し、監査し罰則を設けるべきだ。
会計原則を書いてみようかとシルヴィオに話すと、背中を押すというか両手で叩きつける勢いでやれと言う。
そう? じゃあやってみる。
けれどその前に乗馬を習わなくては。
この世界の移動手段は徒歩か馬。平民は乗れない人もいるけど、貴族は馬に乗れる。
私もお世話になっているうちに乗れるようになっておきたい。
マクシミリアンさんがレイサス側であることは周知の事実だが、自邸に長期間滞在させるのは囲い込んでいると思われる。
そうするとレイサスの方に近い貴族たちが、自分たちの介入するメリットがなくなるので離れる。マクシミリアンさんとレイサスは対外的には一定の距離を保つ必要がある。
ヌゼラス邸にはクリスティアナさんという年頃の美女もいるから、レイサスが泊まるのは外聞が悪い。
私の護衛にはエランがついてくれることになった。
信頼できる。事情を知っている。剣の腕も信頼できる。条件が揃うのはエランだけだった。
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まだ勉強が進まず、ロゾイゾ邸から出られないので、エランはレイサスについていて、代わりにシルヴィオが先生役をしてくれている。
レイサスはそれが不満そうだけど、仕方ないじゃない。レイサスはやることがある。私は教えてくれるなら誰からでもいい。
イユリスは形式的な議会制だ。
あるのは貴族院のみ。王に解散権は無く、議会は王を承認できるが承認されなくても王は即位はできる。
貴族の勢力関係をわかりやすくするための議会みたい。
ソサイゾ一派は議会を掌握しているらしい。経済でも軍でもなく議会か。それなら切り崩せなくもないかも。
貴族が経営する領地の収支は報告され、爵位、領地面積に課税される基礎負担額と、収益に応じて徴収される税が歳入。
イユリス国内で売買するには許可証が必要で、許可証の申請・更新には手数料がかかる。許可証を発行された商人は収支を国に報告する必要がある。
なるほどね。問題はその報告がザルだってことだ。収益への課税ではなく、許可証の固定収入を重視しているみたい。
収支報告がチェックされることはほとんどないらしい。収支の計算なんて本当に面倒だから、チェックされないと思えばそりゃあいい加減にもなる。
この世界にも簿記がある。見せてもらいました。けれどもっと、誰が見てもわかりやすいものにできる。要するに、私の知っている簿記に近づけたほうがつかえそうだ。
なんでそんなことを考えるかというと、私の仕事は経理だったから。
仕事は嫌いだった。経営に関わるから。従業員の生活を背負っている。経営者でもないのに。
そういう仕事だからといえばそうだけど、仕事は何でも辛いけど、さっさとお金を貯めてもっと気楽なバイトを探すのが夢だったんだよね。
けれどやっぱり収入をはっきりさせないとお金は使えない。
はっきりさせるには会計原則を改定しよう。そしてそれを徹底し、監査し罰則を設けるべきだ。
会計原則を書いてみようかとシルヴィオに話すと、背中を押すというか両手で叩きつける勢いでやれと言う。
そう? じゃあやってみる。
けれどその前に乗馬を習わなくては。
この世界の移動手段は徒歩か馬。平民は乗れない人もいるけど、貴族は馬に乗れる。
私もお世話になっているうちに乗れるようになっておきたい。
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