終生飼育は原則ですから

被保護編 337年

337年4月10-1

　クリスティアナさんには教えてほしいことがあるからと、レイサス抜きで私の部屋に来てもらいました。
　私のことが気になると思うんだよね。やけに大げさに丁重に扱われすぎているから、誤解されている可能性が高い。事実を教えておきたい。

　まずは私の年齢をお伝えする。それだけで警戒が解けると思う。もうおばさんだから。恋愛や結婚は、年相応の相手とはあるかもしれないけど、少なくともレイサスの対象には入らない。
　クリスティアナさんは二十歳だそうです。若い。かわいい。美しい。側にいると緊張する。

「オーサーと呼び捨ててもらえるとうれしいです。オーサーさんって言いにくいでしょう。そして敬語もやめてほしいです。これからいろいろ教えてほしいので、敬語ではなく手短に教えてほしいんです」
　クリスティアナさんはためらっているけれど、もう、どんな表情でも行動でもかわいらしい。

「わかりました。オーサーって呼びますね。敬語も気をつけます。私のことはクリスと呼んでください。それで何を知りたいんですか？」
　まあこんなものか。いきなりフランクに話すには年が上すぎるもんね。

「生理について。生理が来たらどうすればいいのか教えてほしいんです」
「ああ、それはごめんなさい。私がもっと早く教えるべきでした」
「いやいやそんな機会はなかったから」

　教えてもらいました。布ナプキンですね。タンポン的なものもあるけど、クリスティアナさんは使ったことがないそう。
　生理期間中はあまり出かけない。生理通に悩む人は、聞く限りでは日本より少ないみたい。やっぱりストレス？　性ホルモン値の差かもしれない。
　明日、また来て作り方を教えてくれるって。いい人。