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被保護編 337年
337年10月1-2
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テラスに出て庭木が茂っている暗い方へ進んだ。
静かだ。ひとりだ。寒いから長くはいられなさそうだけど、ひとりはいい。
酒を持ってくればよかったな。
あの場のただの一人、近衛の一人的な扱いならいいんだけど、私もちらちら見られてうるさいんだよね。
もう監査は動いていて、旧基準で報告されている中から伯爵、子爵、男爵各二人を呼び出した。修正申告をしないと追徴課税する、それに従わないんなら実刑だとは言わないけれど、従った方がいいですよという嫌らしいかんじで。
ソサイゾ派じゃない人たちを選んで見せしめにして新基準での報告に緊張感を持たせ、ソサイゾ派は新基準でがっつりやる。
レイサスの下にはいるけど私がやっていると皆さんご存知のようで、貴族たちは私を避ける。けれどちらちら見てくる。
うるさいな。立食でバイキング方式なので私の本気を見せてやろうかと思ったけど、食欲がわかないからやめた。
だけど酒は持ってくればよかった。グラスじゃなくて瓶一本持ってくれば、しばらくここで時間をつぶせた。いやそれより戻って仕事したい。時間がもったいない。
いつ終わるのかな。
夜露で草は濡れているし、塀は冷えているから腰掛けるのもね。低い石の塀に座るか迷ったけど、座るか。しばらく座っていれば塀も暖まるか。
座って、寝てようかと目を閉じたら、草音がした。げ、人だ。逃げるか。逃げ場所がない。
私が来たコースから男性が現れた。塀から立ち上がる。
髪の色は薄い。暗いから色まではわからないけど。背も高い。服が豪華。貴族か。あぁあ人が来るなんて失敗。
男性は驚いていた。まあね。暗い中に黒い髪と黒っぽい服の人間がぼーっと座っていたんだから。
「お前、オーサーか」
おお、貴族だ。いきなりお前呼び。しかも呼び捨て。
見えないだろうけど、にっこり笑って発言する。表情はトーンに表れちゃうからね。気合入れよう。
「そうですが、貴殿のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「・・・ファリオン・イユリス」
・・・これが。
片手に瓶を持っているし、立ち方はだらしないし、話し方は横柄だし、印象は最悪だね。
静かだ。ひとりだ。寒いから長くはいられなさそうだけど、ひとりはいい。
酒を持ってくればよかったな。
あの場のただの一人、近衛の一人的な扱いならいいんだけど、私もちらちら見られてうるさいんだよね。
もう監査は動いていて、旧基準で報告されている中から伯爵、子爵、男爵各二人を呼び出した。修正申告をしないと追徴課税する、それに従わないんなら実刑だとは言わないけれど、従った方がいいですよという嫌らしいかんじで。
ソサイゾ派じゃない人たちを選んで見せしめにして新基準での報告に緊張感を持たせ、ソサイゾ派は新基準でがっつりやる。
レイサスの下にはいるけど私がやっていると皆さんご存知のようで、貴族たちは私を避ける。けれどちらちら見てくる。
うるさいな。立食でバイキング方式なので私の本気を見せてやろうかと思ったけど、食欲がわかないからやめた。
だけど酒は持ってくればよかった。グラスじゃなくて瓶一本持ってくれば、しばらくここで時間をつぶせた。いやそれより戻って仕事したい。時間がもったいない。
いつ終わるのかな。
夜露で草は濡れているし、塀は冷えているから腰掛けるのもね。低い石の塀に座るか迷ったけど、座るか。しばらく座っていれば塀も暖まるか。
座って、寝てようかと目を閉じたら、草音がした。げ、人だ。逃げるか。逃げ場所がない。
私が来たコースから男性が現れた。塀から立ち上がる。
髪の色は薄い。暗いから色まではわからないけど。背も高い。服が豪華。貴族か。あぁあ人が来るなんて失敗。
男性は驚いていた。まあね。暗い中に黒い髪と黒っぽい服の人間がぼーっと座っていたんだから。
「お前、オーサーか」
おお、貴族だ。いきなりお前呼び。しかも呼び捨て。
見えないだろうけど、にっこり笑って発言する。表情はトーンに表れちゃうからね。気合入れよう。
「そうですが、貴殿のお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「・・・ファリオン・イユリス」
・・・これが。
片手に瓶を持っているし、立ち方はだらしないし、話し方は横柄だし、印象は最悪だね。
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