終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 337年

337年12月8-2

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 一度街に行った後は、疲れているからと断られ、ファリオンと一緒に行くことになった。
 一人でいいのに、ファリオンはオーサーから一緒に行けと言われたらしい。王子に命令する庶民。それにおとなしく従う王子。なんなんだ。

 男二人で特に行きたいところもなく、ミラの店でだらだらと飲んだ。
 トーヤは来ないのか聞かれた。残念ながら来ないと伝える。

 ファリオンは王子だけど、身分を鼻にかけないから話しやすい。
「ファリオン、トーヤはあの・・・あの人と付き合っていないのか?」
「あの人ね」
 うっすら笑った。
「たぶん何もない」

「なんで?」
「オ、トーヤにその気がない」
「方法はあるだろ。おう・・・身分を利用するとか」
「論破する」
「論破?」
「身分に相応しい行いをしろ。相応しい行いとは、相応しい相手と結婚することだ」
「ああぁ」
「あとは実力行使しかない」
「いやその前に告白は? 本気だろ?」
「彼女にその気がない」
「だっておう・・・」
「想像してみろ、彼女が感激すると思うか?」
「いや・・・相応しい行いをしろか」
「俺が見る限り、二人の関係は保護者と被保護者だ」
「オー、トーヤが保護者?」
「そう」
「保護者」
「男ではなく子ども扱いだ。最悪だ」
「ああ」

 適当に飲んで食べて話した後、王宮の近くで別れた。
「イーディ、また街に行くなら声を掛けろ。オーサーが俺が一緒に行く事を期待している」
「なぜ?」
「俺にも友人が必要だと考えているらしい。彼女はいつも先を考えている」
「そんな上手くいかないだろうに」
「ああ。だが、あの人は人の気持ちを軽視しがちだ。状況を整えて利益を見せれば、敷いた道の通り歩き出すと思っている節がある」
「頭のいい奴って、考えすぎるんだよ」
「その通りだ。俺もそう思うが、確かに彼女の言う通りではあるんだ」
「・・・あんた、幼馴染とかお付きの者っていないのか?」
「いるが、友人にも臣下にもできない」
「ああ。あんたも気の毒だな。まあ俺は休みは暇だから、何かあったら呼んでくれ」
「ああ、じゃあな」

 ファリオンの後を目立たないように護衛がついていく。ずっとついてきていた。王太子が付けた護衛兼見張りだろう。
 身分と地位のある奴らは大変だ。

 そんな中にいるオーサーは、巻き込まれないようにしたいんだろうな。
 オーサーの目標は田舎暮らしだから。田舎に住んで牛とできれば馬を飼って、晴耕雨読の生活をしたいと言っていた。
 またうちに来ればいいのに。逃げ出しても、うちに来れば生きていける。
 また王太子が連れ戻しに来るだろうか。
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