終生飼育は原則ですから

被保護編 338年

338年3月4-4

　挨拶をして部屋を出てレイサス様の元に戻り、パーティが終わるまで、オーサーは微笑を絶やさなかった。
　自分の部屋の前で、今日は一人で眠ると宣言して、私にお礼を言って部屋に入った。お礼はいらないです。私は何もできなかった。

　レイサス様にあったことをご報告する。ともやらしいと笑っていらっしゃった。とても幸せそうな笑顔だった。
「ともやはすごいだろう？」
「はい。とても鮮やかでとても格好いい、まるで物語のヒーローのような方だと思いました」
「ヒーローか。確かに」
　レイサス様の笑い声は初めて聞いた気がする。昔、本当に昔、聞いたことがあるかもしれないけれど。

「力になってくれてありがとう。これからも頼む」
「私は何の助けにもなりませんでした」
「いるだけでいいのだろう。クリスティアナといるときは楽しそうだ」
　うれしい。オーサーの力になりたい。けれどレイサス様は寂しそうだった。さっきまでは笑っていらっしゃったのに。
「オーサーのところにいらっしゃらないのですか？」
「今日は無理だ。不機嫌なのは間違いないし頭痛も起こっているかもしれない。どちらでも、そういう時は一人でいたがる」

　オーサーは強すぎるのかもしれない。いえ、強いのではなくて正しすぎるのかも。
　不機嫌で人に迷惑をかけてはいけないけれど、それをぶつける相手は必要なのでは？
　そうやって本心でぶつかって関係を深めるのではないのかしら。

　オーサーにはお似合いの相手と幸せになってもらいたい。だからレイサス様にもっと思っていることを伝えてほしい。私にでもいい。そうすればレイサス様に伝えられる。