終生飼育は原則ですから

乃浦

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被保護編 338年

338年4月2-2

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 レイサスと話したけど、やっぱり将来的には議会制民主主義にするべきだ。
 イユリスは王族も貴族も少ないから平民が政治に参加しないと。
 けれど急激な変化は起こせない。他の国にも影響する。協力関係を保ってソファリスの侵攻を防いでいるのに、足並みを乱すわけにいかない。

 ゆっくり変化させるには時間がかかるから、だからレイサスには早く次代を作ってほしいんだけど。
 レイサスの子の晩年、あるいは孫の時代に、日本の象徴天皇みたいな立場になっているといいなと思っているんだけど。
 日本だとまだまだだけど、この世界だともう二十五だよ。いや二十六になったのか? 誕生日はいつだろう。私にくっついている場合じゃない。

 まあもう少し待つべきかな。ソファリスから来る縁談は、貴族の令嬢か皇帝の姪の従姉妹とかそういう遠さだから。国が発展しつつあるから、皇女の縁談も来るはずだ。
 それも要注意だけど。ソファリスに取り込まれる危険性がある。
 けれどこの世界ではソファリスを除外して考えられない。繋がりは必要だ。

 そういう待ちの状況なのに、レイサスと一緒に寝るのが日課だというのはどうしたものか。当然のごとく来るっておかしい。
 大変言いにくいことながらクリスに相談すると、レイサスが望むなら付き合ってやれといわれた。

 いやいや好きな男が他の女と、何もないけど一緒にいるって嫌でしょ。ほんとに何もないんだけど。
 ぬいぐるみと言うにはかわいくない、抱き枕として。ほらレイサスは母親との関係がよくなかったから、そういう男児は子供返りを起こすことがあるらしいし。
 クリスはレイサスがいいならいいそうだ。けなげな子だ。しかしだめな男に付け入られそうだ。

 クリスにはもっと大事な用事がある。秋からロユデの学校で教えてほしいとお願いした。
 今ある王宮学校に女性対象の師範科を作る。今の学校は貴族のご子息の学校だからそれは残すとして、もっと必要な科を作った。

 今の機能は普通科として、兵術科には近衛と軍に教師役を頼み、師範科は男性と女性でクラスを分ける。本当は一緒がいいんだけど、貴族の女性は一緒だと入ってこないだろう。最初は仕方ない。

 その師範科の女性クラスをクリスに頼みたい。先生の先生になって。
 領地の学校を気にしていたけれど、大局的に見ればその子たちのためにもなると説得した。私が付け込んだな。


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