終生飼育は原則ですから

被保護編 339年

339年3月4-1

　時には彼女から私に触る。
　ともやは一方的な関係が嫌いだ。してもらったら返す。それはいい事でも悪い事でも。

　もっと彼女に一人になる時間を与え、もっと接触は短く少なくした方がいい事はわかっている。彼女は疲れている。
　しかし私を受け入れてはいるが愛していない彼女を、手に入れたと感じられるのは一瞬だけだ。その一瞬を繰り返し求めたくなる。

　彼女はそれにうんざりした時と、公平性から私に触る。
　彼女が私に触る。それだけでいい。顔を近づける必要はない。
　それは回数には入らないと言うと憤慨していたが、それでも時々してくれるのは、私に弄ばれる辛さを知れという事らしい。残念だが、私は辛くない。

　結婚する事を承諾してほしいが、ともやは相変わらず、私に相応しい相手と結婚しろと言う。
　何度同じ事を繰り返すのか。他の女は抱きたくない。そんな時間があればともやといたい。あまりにも理解しないから、結婚すると言うまで責めたが、どうしても言わなかった。

　ともやは初めてだからわかっていない。誰が相手でもこれほど幸せなわけではない。とても相性がいい。そして愛しているから更にいい。それを理解するには他の相手との経験が必要だ。それを学ぶことは一生許さない。

　許される二回目が終わってしまった。彼女の胸の上で休んでいると、彼女が言った。
<横を向くから、抜いて>
　嫌だ。抜いたら入らなくなる。
　しかしともやが動くから仕方がない。