308 / 365
被保護編 339年
339年10月5-4
しおりを挟む
ソウシュウが最初に拍手をした。本心からに見えるけど、どうだろうね。
さっきより深く礼をして、今度こそバイオリンを返してレイサスのところに戻った。
手を強く握るのはやめてほしい。当然って顔をしていてほしいんだけど。
「素晴らしかった」
ソウシュウがこちらに来た。
「ありがとうございます。間違えて聞き苦しいものをお聞かせせずにすんでよかったです」
「厚かましい願いだが、次のパーティでまた一曲弾いてもらえないだろうか」
「喜んで。では楽団をもう一度集めていただけますか? 練習しますので」
少し表情が動いた。私に一人で弾かせたかったみたいだけど、ここで必死に練習はできない。同じことをやっても飽きられるだけだから、もっと完璧なアレンジのアニソンを聞かせてやる。
「承知した。素晴らしい曲だったが、あれはそなたが作曲したのだろうか?」
おう。なるほどね。それはまずい質問だ。
「そのようなものです」
ごめんなさい。ただこう言うしかない。故郷でメジャーななんて言ったら大変だ。
「そなたは多才だと聞いていたが、さらに曲まで作れるのだな」
的確に突かれたくないところを突いてくるな。
「オーサーは出来る事が多すぎて、自分では特筆すべき事だとは思っていない」
レイサスが庇ってくれる。背中に当てられた手が心強い。いつもはやめてほしんだけどね。あの手の感触はちょっと場違いで。
「素晴らしいものを聞かせてもらった礼をしたいが、何か欲しいものは無いだろうか」
欲しいものね。うまいな。この場で大それたものは要求されないし、何を欲しがるかでいろいろ判断できる。
皇帝を見ながら言った。
「街に行くお許しをいただけるでしょうか? この発展した国の、にぎやかな街に行ってみたいのです」
皇帝がソウシュウを見てから許しをくれた。本当にソウシュウ「陛下」なんだ。
その後、早めに部屋に戻れた。疲れた。
ソウシュウは気が抜けない。エランはコパロファカドから魔法使いを連れてきたと言っていたけど、それももう調べているだろう。
私の素性も探っているはずだ。何も出てこないのが限りなく怪しい。
今回は本当に、レイサスの婚約者になっていてよかったよ。
さっきより深く礼をして、今度こそバイオリンを返してレイサスのところに戻った。
手を強く握るのはやめてほしい。当然って顔をしていてほしいんだけど。
「素晴らしかった」
ソウシュウがこちらに来た。
「ありがとうございます。間違えて聞き苦しいものをお聞かせせずにすんでよかったです」
「厚かましい願いだが、次のパーティでまた一曲弾いてもらえないだろうか」
「喜んで。では楽団をもう一度集めていただけますか? 練習しますので」
少し表情が動いた。私に一人で弾かせたかったみたいだけど、ここで必死に練習はできない。同じことをやっても飽きられるだけだから、もっと完璧なアレンジのアニソンを聞かせてやる。
「承知した。素晴らしい曲だったが、あれはそなたが作曲したのだろうか?」
おう。なるほどね。それはまずい質問だ。
「そのようなものです」
ごめんなさい。ただこう言うしかない。故郷でメジャーななんて言ったら大変だ。
「そなたは多才だと聞いていたが、さらに曲まで作れるのだな」
的確に突かれたくないところを突いてくるな。
「オーサーは出来る事が多すぎて、自分では特筆すべき事だとは思っていない」
レイサスが庇ってくれる。背中に当てられた手が心強い。いつもはやめてほしんだけどね。あの手の感触はちょっと場違いで。
「素晴らしいものを聞かせてもらった礼をしたいが、何か欲しいものは無いだろうか」
欲しいものね。うまいな。この場で大それたものは要求されないし、何を欲しがるかでいろいろ判断できる。
皇帝を見ながら言った。
「街に行くお許しをいただけるでしょうか? この発展した国の、にぎやかな街に行ってみたいのです」
皇帝がソウシュウを見てから許しをくれた。本当にソウシュウ「陛下」なんだ。
その後、早めに部屋に戻れた。疲れた。
ソウシュウは気が抜けない。エランはコパロファカドから魔法使いを連れてきたと言っていたけど、それももう調べているだろう。
私の素性も探っているはずだ。何も出てこないのが限りなく怪しい。
今回は本当に、レイサスの婚約者になっていてよかったよ。
8
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる