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被保護編 339年
339年10月9-1
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叔兄がダンスをするとは思わなかった。
妾は踊れない。緊張で、踊れるとは思えない。
しかも、あれはオーサーが主導権を取っていた。
あんなに上手いとは思わなかったし、楽しそうに踊るとは。
オーサーとの会話で笑い声まで上げた時は目を疑った。オーサーにできない事は無いのか。
レイサス様はお気に召さないだろう。
けれどいい兆候だと思う。ソファリスにとっては。
叔兄は全て自分で完結させる。人の意見を聞かなくてもできるし、いちいち聞いていれば収拾がつかなくなるのはわかる。
けれど人を容れる余裕は必要だ。
イユリスを見て感じた。
ソファリスは管理し監視し締め付けている。伸び代が少ない。
それは叔兄の性質によるものだ。もっといい加減に、余裕を持ってもいいのではないか。
オーサーはそれができる。
面倒だからと人に預け、必要な所だけを管理している。
全部を把握するのではなく、必要な点と、把握している人間の把握だけで済ませられる。
そういう割り切りを、叔兄もした方がいいのではないか。
このまま叔兄が永遠に生きられるわけではない。後継者には全てを引き継ぐ事はできないだろう。叔兄は優秀すぎる。
あれからオーサー達の案内には叔兄も同行することが増えた。自分の執務室に二人を連れて行く事も多い。
主にオーサーと話をしている。
オーサーは思いもかけない過程を辿って話をヘラート村に繋げるが、叔兄はかわす。
叔兄とオーサーの会話は、税務から農業、運輸、漁業に至るまで広く、オーサーの知識に驚く。
実務は知らないから役に立たないとは言うが、叔兄よりも知っている事は多い。
銀行という夢を、叔兄も究極の夢だと認めた。
争いを生みにくい環境を作るには結局は金だというオーサーの結論に笑ってうなずく。
そして話しているオーサーを、とても優しく見つめている。
あんな叔兄は見たことが無い。二人で話してほしいと思った。そうすればイユリスもソファリスも、他の国々もきっとよくなると思った。だが不吉な予感がする。
妾は踊れない。緊張で、踊れるとは思えない。
しかも、あれはオーサーが主導権を取っていた。
あんなに上手いとは思わなかったし、楽しそうに踊るとは。
オーサーとの会話で笑い声まで上げた時は目を疑った。オーサーにできない事は無いのか。
レイサス様はお気に召さないだろう。
けれどいい兆候だと思う。ソファリスにとっては。
叔兄は全て自分で完結させる。人の意見を聞かなくてもできるし、いちいち聞いていれば収拾がつかなくなるのはわかる。
けれど人を容れる余裕は必要だ。
イユリスを見て感じた。
ソファリスは管理し監視し締め付けている。伸び代が少ない。
それは叔兄の性質によるものだ。もっといい加減に、余裕を持ってもいいのではないか。
オーサーはそれができる。
面倒だからと人に預け、必要な所だけを管理している。
全部を把握するのではなく、必要な点と、把握している人間の把握だけで済ませられる。
そういう割り切りを、叔兄もした方がいいのではないか。
このまま叔兄が永遠に生きられるわけではない。後継者には全てを引き継ぐ事はできないだろう。叔兄は優秀すぎる。
あれからオーサー達の案内には叔兄も同行することが増えた。自分の執務室に二人を連れて行く事も多い。
主にオーサーと話をしている。
オーサーは思いもかけない過程を辿って話をヘラート村に繋げるが、叔兄はかわす。
叔兄とオーサーの会話は、税務から農業、運輸、漁業に至るまで広く、オーサーの知識に驚く。
実務は知らないから役に立たないとは言うが、叔兄よりも知っている事は多い。
銀行という夢を、叔兄も究極の夢だと認めた。
争いを生みにくい環境を作るには結局は金だというオーサーの結論に笑ってうなずく。
そして話しているオーサーを、とても優しく見つめている。
あんな叔兄は見たことが無い。二人で話してほしいと思った。そうすればイユリスもソファリスも、他の国々もきっとよくなると思った。だが不吉な予感がする。
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