5 / 6
新天地
しおりを挟む
――その刹那、私の体は軽くなった...いや、上に乗っていた人がいなくなったのだ。
「どうしたの?ルナちゃん。急に...ルナちゃん!?」
私は目を開けると、ルナはそこにいなかった...急いで辺りを見渡すと数メートル先にルナは倒れていた。何が起こったのか分からなかった私は、ガルダの方に目を向ける。ガルダは私の方へ戦闘体勢でいた。
いや、違う。私の後ろに何かいる!?
私が振り向くと…
―――パチン
その瞬間、イレイナは今まで感じたことのない浮遊感を味わった。
戦いの後だったこともありイレイナは耐えきれなかった。薄れていく意識の中見た光景は人間のようなシルエットと石造りの壁だった。
「おい!そっちに行ったぞ!」
鬱蒼と茂った森に青年の声が響く。
だが返事はない。あるのは生物が地を駆る音とざわめく葉の音のみだった。
「おい!」
青年が苛立ちと焦りで怒鳴る。
するとようやく返事が返ってきた。
その返事は、生物が絶命する音だった。
「なあ、喋る事出来ないのかお前。」
横たわる巨体の傍に佇む男に青年は苦言を呈した。
青年はその男をあまり知らない。
考えてみればその男はおかしな風体だった。
背丈は高く、しかし屈強とは言い難い細身。
そして何より黒いローブを羽織るだけで鎧の類は身につけていなかった。
かという青年はこれでもかと言うほどガチガチに、堅く装備を固めていた。
まあ、そのせいで横のモンスターに追いつけなかった訳だが。
「喋るのは余り好きじゃない。」
男は低い声で拒絶した。続けて、
「第一、急にモンスターを狩るといいだしたお前に合わせられるか。俺はお前ほど手癖が悪くない。」
と、続けて文句を言う。
「めちゃくちゃ喋るじゃねえか!というか名前教えたんだからお前って言うな!」
青年の怒号に男は黙る。
沈黙が数分続き、耐えきれず青年が口を開いた。
「アグラヴェインだ。」
「忘れた訳じゃないんだがな。」
即答され、青年はさらに憤慨した。
「で、これからどうするんだ?」
場面は夜に変わり、2人は仕留めたモンスターを食していた。
「人が住める場所を探る。」
男はまたも即答する。
「そういうおま――アグラヴェインはどうするんだ?」
「外を冒険した事を記録するんだ。そうすれば地下のヤツらに一目置かれるだろう?」
そうか――。男は気にもとめずそう淡泊に応えるとまた口を噤んだ。
しばらくの間沈黙が続き、男は立ち上がった。
「便所か?」
アグラヴェインの質問を男は沈黙で答えた。
茂みに入っていく男の背中を見ながら、アグラヴェインは腹を満たした。
食事も終わり、就寝の準備をするが男は帰ってこなかった。
「遅いな、あいつ。」
寝袋を出しながら独り言ちる。アグラヴェインは疑問を持ちながらも心配はしていなかった。男の腕を信用していたのだ。
「そういやあいつの名前なんだっけ。」
身体を半分寝袋に入れながら呟くと、
「ヌル、だ。お前が忘れてどうする。」
「うわぉ!」
暗闇からの声にアグラヴェインは飛び跳ねた。そして急に喋るな、と理不尽な事を口にし、ヌルと名乗った男は心底呆れていた。アグラヴェインは暗闇のせいか気付いていなかった。ヌルがとある少女を肩に背負っていた事に―――。
当然朝にアグラヴェインが焦りながらヌルに聞いた。
ヌルは道に落ちていたと説明するがアグラヴェインは聞く耳を持たず、果ては誘拐をしたのではないかという濡れ衣まで着せにかかったという。
「お前がどんな趣味を持ってようが構わないが、どうしてこんな真似したんだよ!」
「…ん」
イレイナにとって、目覚めのいい朝なんて万に1つもない絵空事だった。今回も例外ではない。どころか、普段以上だった。最悪と言ってもいい。
聞き覚えがない声質の怒声とかんかんに照りつける太陽光線に強引に起こされる。
「寝心地が悪すぎる。身体痛いし……あ!でも、太陽のいい匂いがする!まあ、あれってダニが死んだ匂いらしいけど!」
人生において聞きたくなかった知識上位に入るトリビアを披露しつつ、ようよう意識を覚醒させ周囲の状況を確認する。
「どうしたの?ルナちゃん。急に...ルナちゃん!?」
私は目を開けると、ルナはそこにいなかった...急いで辺りを見渡すと数メートル先にルナは倒れていた。何が起こったのか分からなかった私は、ガルダの方に目を向ける。ガルダは私の方へ戦闘体勢でいた。
いや、違う。私の後ろに何かいる!?
私が振り向くと…
―――パチン
その瞬間、イレイナは今まで感じたことのない浮遊感を味わった。
戦いの後だったこともありイレイナは耐えきれなかった。薄れていく意識の中見た光景は人間のようなシルエットと石造りの壁だった。
「おい!そっちに行ったぞ!」
鬱蒼と茂った森に青年の声が響く。
だが返事はない。あるのは生物が地を駆る音とざわめく葉の音のみだった。
「おい!」
青年が苛立ちと焦りで怒鳴る。
するとようやく返事が返ってきた。
その返事は、生物が絶命する音だった。
「なあ、喋る事出来ないのかお前。」
横たわる巨体の傍に佇む男に青年は苦言を呈した。
青年はその男をあまり知らない。
考えてみればその男はおかしな風体だった。
背丈は高く、しかし屈強とは言い難い細身。
そして何より黒いローブを羽織るだけで鎧の類は身につけていなかった。
かという青年はこれでもかと言うほどガチガチに、堅く装備を固めていた。
まあ、そのせいで横のモンスターに追いつけなかった訳だが。
「喋るのは余り好きじゃない。」
男は低い声で拒絶した。続けて、
「第一、急にモンスターを狩るといいだしたお前に合わせられるか。俺はお前ほど手癖が悪くない。」
と、続けて文句を言う。
「めちゃくちゃ喋るじゃねえか!というか名前教えたんだからお前って言うな!」
青年の怒号に男は黙る。
沈黙が数分続き、耐えきれず青年が口を開いた。
「アグラヴェインだ。」
「忘れた訳じゃないんだがな。」
即答され、青年はさらに憤慨した。
「で、これからどうするんだ?」
場面は夜に変わり、2人は仕留めたモンスターを食していた。
「人が住める場所を探る。」
男はまたも即答する。
「そういうおま――アグラヴェインはどうするんだ?」
「外を冒険した事を記録するんだ。そうすれば地下のヤツらに一目置かれるだろう?」
そうか――。男は気にもとめずそう淡泊に応えるとまた口を噤んだ。
しばらくの間沈黙が続き、男は立ち上がった。
「便所か?」
アグラヴェインの質問を男は沈黙で答えた。
茂みに入っていく男の背中を見ながら、アグラヴェインは腹を満たした。
食事も終わり、就寝の準備をするが男は帰ってこなかった。
「遅いな、あいつ。」
寝袋を出しながら独り言ちる。アグラヴェインは疑問を持ちながらも心配はしていなかった。男の腕を信用していたのだ。
「そういやあいつの名前なんだっけ。」
身体を半分寝袋に入れながら呟くと、
「ヌル、だ。お前が忘れてどうする。」
「うわぉ!」
暗闇からの声にアグラヴェインは飛び跳ねた。そして急に喋るな、と理不尽な事を口にし、ヌルと名乗った男は心底呆れていた。アグラヴェインは暗闇のせいか気付いていなかった。ヌルがとある少女を肩に背負っていた事に―――。
当然朝にアグラヴェインが焦りながらヌルに聞いた。
ヌルは道に落ちていたと説明するがアグラヴェインは聞く耳を持たず、果ては誘拐をしたのではないかという濡れ衣まで着せにかかったという。
「お前がどんな趣味を持ってようが構わないが、どうしてこんな真似したんだよ!」
「…ん」
イレイナにとって、目覚めのいい朝なんて万に1つもない絵空事だった。今回も例外ではない。どころか、普段以上だった。最悪と言ってもいい。
聞き覚えがない声質の怒声とかんかんに照りつける太陽光線に強引に起こされる。
「寝心地が悪すぎる。身体痛いし……あ!でも、太陽のいい匂いがする!まあ、あれってダニが死んだ匂いらしいけど!」
人生において聞きたくなかった知識上位に入るトリビアを披露しつつ、ようよう意識を覚醒させ周囲の状況を確認する。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
嘘つきと呼ばれた精霊使いの私
ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる