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瞬(22歳)は、断片的に記憶を取り戻す。自分の過去とリープした現実(現実1と2)
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体育のサッカーの練習で、瞬と伊月 功星は同じチームになる。伊月くんが、瞬にサッカーを教えてくれる。瞬は、全然できなかったのに楽しかった。
瞬「いっつん、サッカー上手だね」いっつんは、伊月 功星のあだ名。
伊月「えー。そんなコトないよ。クラブ入ってたから。そんだけー」
「あの。公園では、ごめんな。__転校してきたばっかなのに、樹があんな無茶苦茶言って……ビビったろ?」
「フフ。全ぜ~ん。それに河本ちゃん、俺のコト殴んなかったじゃん。やりたくないって言ってくれて助かったー。俺、弱ヨワのヘナちょこだからさ~~♪」
「__俺も。……アイツに逆らえなくって。こうやって仲良くしてんの見つかったら、なんかガタガタ言われるかも」樹は、瞬が、他のグループのヤツと仲良くするのが気に入らないのだ。
「そっか。残ねん。俺、河本ちゃんと仲良くなれるって思ってたのに__」
「えっ」瞬は、一瞬で伊月 功星に心を掴まれた。
伊月 功星が、イケメンの男子に呼ばれる。
伊月「行くね! 俺のコトは気にしないで。もう、あのときのコト気にしてナイから。一番最初に声掛けてくれてアリガト。スッゴく、嬉しかった! 忘れないよ」そういってニコッと伊月くんが笑った。瞬は、笑顔が眩しいと思うのと同時に、伊月くんがいなくなって心に隙間風が吹いた。
「う、ん」……。瞬は、走っていく伊月くんの背中を見送った。
どうして俺、樹なんかといんだろ。いっつんといる方が__ずっとズっと__楽しかった。
この時間が終わるなって。いっつんと、ずっと一緒にいたいって__
「河本ちゃんと仲良くなれるって思ってたのに」__いっつんのとこに、行きたい。__けど。
瞬が、ボンヤリとノロノロ歩く。樹が走ってきて、瞬!! と呼び、瞬の尻を蹴る。
瞬「痛い!!」
樹「ボーーっとしてっからだろ。どした。元気ねぇな。__誰か気にイらねーなら、シメるか」瞬 お前だよ!! お前が気に入らねえ!!
瞬「もーー放っといて!!」もーーホントうっとーしい。恋人でもねぇのになんで束縛してくんの?? あー、イライラしてきた!!
樹「サッカー出来ないからイラついてんの? あ、あの転校生。ちょっと上手いからって、調子乗ってんな。シメてやろうか」
瞬が、バッと樹に向かう。
「お前な!!」いっつんには__
「__何?」
「アイツは……やめろって」迷惑かけるわけにいかない。__巻き込むわけにはいかない
「なんで」
「アイツ(いっつんのこと)の兄ちゃん、めちゃ強えから、やめとけ」知んねーけど。口から出まかせ。
「へー。そんなら、やめとくか。なぁ、今日は何する? こけし(井槻 まりものこと) 呼び出すか」
「__ごめん。俺、もう、しばらく放課後遊べない」
「どして?」
「塾行くことになった」
「え。今から? なんで。お前、受験しねえだろ」
「母ちゃんが、勉強しろってうるさくて!! __ごめんな!! 他のヤツ誘って」瞬が、走って教室へと向かう。
「ちょっとーー」樹の声に聞こえないフリをした。
瞬 あーーもうマジうっとーしい!! 絶対アイツと一緒の中学なんて行きたくない!!
いっつん達のワイワイグループの後ろをトボトボと歩く。そして、考える。
__受験か。うち、母子家庭だし無理だよな。……けど、塾代なら出してくれっかな。
その日に帰ってから、夕飯を食べながら母親に切り出した。台所から瞬の近くにくる母親。
母親「え。どして」
瞬「地元の中学に行きたくない」
「へー。……そっか。どこか行きたいとこあるの? 友達と一緒に、とか」瞬 あ、そっか。いっつんの行くとこに行きたい!!
瞬「まだ、分かんない。いっつんに聞いてみる」
「いっつんて誰?」
「転校生。__カワイくて、優しい子。海外の日本人学校から来たんだよ。なのに、樹が転校生呼び出して、俺と殴り合いしろとか言うから、ヘンになっちゃったじゃん……。もー樹、ムカつく!!」
「友達は選んだほうがいいよ。アンタ、いくらでも選べんじゃん」
「もーー、無茶言わないでよ!! 樹、しつこいんだもん!! __で、とりあえず放課後までつるむのヤだから、塾行きたいのーー!!」
「いっつんくんと一緒の塾行けば? お母さんも調べてみるよ」
「うん。うち、私立はムリだよね?」
「おばあちゃんにも相談してみる。イイとこに受かったら、(私立に) 行くな、とも言えないなー。けど、大学は、国公立行ってくれない?」
「えーー。プレッシャー」
「国立(の中学) 受ける? けど、難しいんだよね」
「えー。俺でも大丈夫?」
「別に、受験するだけなら誰でもできる。ただ合格はね__(難しいだろうな)」母親は考える。国立は、人気があるから偏差値が高い。だけど、せっかく子供がやる気になってるのに、下手なこと言ってやる気を削いでもいけない。そう思って口を閉ざす。
22歳の瞬は考えた。現実2は、現実1を繰り返す。
もっとお母さんに、いろいろ相談すればよかった。友達と上手くいかないって悩んでた。そんなこと言ったら、頼りないって叱られると思ってた。__ 悩みなんてなにもないよ、って、ボクは一人でも平気でやってるよって。お母さんに頼るなんて、涙見せるなんて、カッコ悪いって思ってた。相談するなんて、考えてもみなかった。
小5の自分には、もっとお母さんに甘えていいんだよって言ってあげたい。だってまだほんの11年しか生きていないんだ。もうすぐ、小5のこの子には__ 。お母さんとの時間は限られている。
どうして。どうして大切な人は、直ぐにいなくなる。
いっつん。お母さん。__まだ、いなくならないで
©️石川 直生 2023.
瞬「いっつん、サッカー上手だね」いっつんは、伊月 功星のあだ名。
伊月「えー。そんなコトないよ。クラブ入ってたから。そんだけー」
「あの。公園では、ごめんな。__転校してきたばっかなのに、樹があんな無茶苦茶言って……ビビったろ?」
「フフ。全ぜ~ん。それに河本ちゃん、俺のコト殴んなかったじゃん。やりたくないって言ってくれて助かったー。俺、弱ヨワのヘナちょこだからさ~~♪」
「__俺も。……アイツに逆らえなくって。こうやって仲良くしてんの見つかったら、なんかガタガタ言われるかも」樹は、瞬が、他のグループのヤツと仲良くするのが気に入らないのだ。
「そっか。残ねん。俺、河本ちゃんと仲良くなれるって思ってたのに__」
「えっ」瞬は、一瞬で伊月 功星に心を掴まれた。
伊月 功星が、イケメンの男子に呼ばれる。
伊月「行くね! 俺のコトは気にしないで。もう、あのときのコト気にしてナイから。一番最初に声掛けてくれてアリガト。スッゴく、嬉しかった! 忘れないよ」そういってニコッと伊月くんが笑った。瞬は、笑顔が眩しいと思うのと同時に、伊月くんがいなくなって心に隙間風が吹いた。
「う、ん」……。瞬は、走っていく伊月くんの背中を見送った。
どうして俺、樹なんかといんだろ。いっつんといる方が__ずっとズっと__楽しかった。
この時間が終わるなって。いっつんと、ずっと一緒にいたいって__
「河本ちゃんと仲良くなれるって思ってたのに」__いっつんのとこに、行きたい。__けど。
瞬が、ボンヤリとノロノロ歩く。樹が走ってきて、瞬!! と呼び、瞬の尻を蹴る。
瞬「痛い!!」
樹「ボーーっとしてっからだろ。どした。元気ねぇな。__誰か気にイらねーなら、シメるか」瞬 お前だよ!! お前が気に入らねえ!!
瞬「もーー放っといて!!」もーーホントうっとーしい。恋人でもねぇのになんで束縛してくんの?? あー、イライラしてきた!!
樹「サッカー出来ないからイラついてんの? あ、あの転校生。ちょっと上手いからって、調子乗ってんな。シメてやろうか」
瞬が、バッと樹に向かう。
「お前な!!」いっつんには__
「__何?」
「アイツは……やめろって」迷惑かけるわけにいかない。__巻き込むわけにはいかない
「なんで」
「アイツ(いっつんのこと)の兄ちゃん、めちゃ強えから、やめとけ」知んねーけど。口から出まかせ。
「へー。そんなら、やめとくか。なぁ、今日は何する? こけし(井槻 まりものこと) 呼び出すか」
「__ごめん。俺、もう、しばらく放課後遊べない」
「どして?」
「塾行くことになった」
「え。今から? なんで。お前、受験しねえだろ」
「母ちゃんが、勉強しろってうるさくて!! __ごめんな!! 他のヤツ誘って」瞬が、走って教室へと向かう。
「ちょっとーー」樹の声に聞こえないフリをした。
瞬 あーーもうマジうっとーしい!! 絶対アイツと一緒の中学なんて行きたくない!!
いっつん達のワイワイグループの後ろをトボトボと歩く。そして、考える。
__受験か。うち、母子家庭だし無理だよな。……けど、塾代なら出してくれっかな。
その日に帰ってから、夕飯を食べながら母親に切り出した。台所から瞬の近くにくる母親。
母親「え。どして」
瞬「地元の中学に行きたくない」
「へー。……そっか。どこか行きたいとこあるの? 友達と一緒に、とか」瞬 あ、そっか。いっつんの行くとこに行きたい!!
瞬「まだ、分かんない。いっつんに聞いてみる」
「いっつんて誰?」
「転校生。__カワイくて、優しい子。海外の日本人学校から来たんだよ。なのに、樹が転校生呼び出して、俺と殴り合いしろとか言うから、ヘンになっちゃったじゃん……。もー樹、ムカつく!!」
「友達は選んだほうがいいよ。アンタ、いくらでも選べんじゃん」
「もーー、無茶言わないでよ!! 樹、しつこいんだもん!! __で、とりあえず放課後までつるむのヤだから、塾行きたいのーー!!」
「いっつんくんと一緒の塾行けば? お母さんも調べてみるよ」
「うん。うち、私立はムリだよね?」
「おばあちゃんにも相談してみる。イイとこに受かったら、(私立に) 行くな、とも言えないなー。けど、大学は、国公立行ってくれない?」
「えーー。プレッシャー」
「国立(の中学) 受ける? けど、難しいんだよね」
「えー。俺でも大丈夫?」
「別に、受験するだけなら誰でもできる。ただ合格はね__(難しいだろうな)」母親は考える。国立は、人気があるから偏差値が高い。だけど、せっかく子供がやる気になってるのに、下手なこと言ってやる気を削いでもいけない。そう思って口を閉ざす。
22歳の瞬は考えた。現実2は、現実1を繰り返す。
もっとお母さんに、いろいろ相談すればよかった。友達と上手くいかないって悩んでた。そんなこと言ったら、頼りないって叱られると思ってた。__ 悩みなんてなにもないよ、って、ボクは一人でも平気でやってるよって。お母さんに頼るなんて、涙見せるなんて、カッコ悪いって思ってた。相談するなんて、考えてもみなかった。
小5の自分には、もっとお母さんに甘えていいんだよって言ってあげたい。だってまだほんの11年しか生きていないんだ。もうすぐ、小5のこの子には__ 。お母さんとの時間は限られている。
どうして。どうして大切な人は、直ぐにいなくなる。
いっつん。お母さん。__まだ、いなくならないで
©️石川 直生 2023.
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