史上最強の妖精姫は婚約者とイチャイチャする為に敵国を滅ぼしたい ~虐げられた王子にたっぷり愛情を注ぎます~

Lily

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謁見

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夜までたっぷりお互いを味わった所で、痺れを切らしたであろう侍女が少し乱暴に寝室の扉をノックした。

「は~い、入っていいよ~」
「入っていいよ~じゃありません!何時間、皇帝陛下をお待たせするんですか!」

予想通りの人物の登場。
心の中でファイティングポーズを取りつつ、試しに言い返してみる。

「だって久しぶりだったし、いいじゃない!どうせお父様には私が帰っていることは魔力反応で分かっているし」
「そうだとしても、です!まずは陛下に帰還報告を入れるのが先!その前にお二人がイチャイチャするとしても二時間が限度です!ギルフォード様は来たばかりでその辺りの慣習をご存じないのですから、姫様がしっかりなさいませ!」

あー!やっぱり勝てないよお。怖いよお。
でも今日はギルがいるからか、ほんの少しだけ優しい怒られ方な気がするわ。

「皆分かっているから目を瞑っていますが、これでギルフォード様の立ち位置がこの国で悪くなったらどうなさるおつもりで?」
「あ、そっか……」
「姫様は大変素晴らしい皇女様です。今回は嬉しさが勝ると制御が利かなくなる精霊の血が理性を超えてしまったのでしょう。ですから、今後はお気を付けくださいませ」

皇女である私に鬼の形相で叱るのは、幼少期からずっと私の専属侍女頭をしてくれているルナ。ルナは半精霊と呼ばれる人間と精霊のハーフで私が産まれた時に精霊界から遣わされたらしい。両親から絶大な信頼を受けているルナは、私の第二の母として身分関係なく実の子供のような接し方が認められている。時折、こうやって雷が落ちたように怒られるけれど、私はそんなルナが大好き。

「ギル、ごめんね」
「いいや、俺の方こそリアに何度も言うタイミングはあったのに、この時間をもっと続けたいと思ってしまった俺の落ち度でもある。だから今日はルナさんに一緒に怒られよう」
「ギルフォード様は今後気を付けられるように、姫様からしっかりとこの国の慣習を教わって下さいませ。それ以外にも勉学のお時間は設けられると思いますので、どうか姫様を制御してくださることを願いますわ」
「ああ、分かった」
「さて、お二人とも!陛下が待っておられますので謁見の準備をなさいませ!ギルフォード様は別室で従者がお召し変えをお手伝いさせて頂きます。ノイン、こちらに」

寝室に入ってきたのは、ルナの息子のノインだった。前はルナに連れられて皇宮を訪れていたけれど、最近見ないなぁなんて思っていたら従者の猛勉強中だったらしい。

「ギルフォード様の専属従者の名誉を賜りましたノインと申します。ギルフォード様の手足となり、お傍にお仕え致します。至らぬ点が多々あるかと存じますが、何卒宜しくお願い致します」
「ああ、よろしく。俺のことはギルで構わない。俺の方こそ色々迷惑をかけてしまうだろうが付き合ってくれると嬉しい」
「はい、ギル様。では、別室に参りましょう。姫様とは準備が整い次第の合流となりますので、ご安心下さいませ」
「分かった。じゃあ、後で」
「うん。また後で」

乱れに乱れまくった髪や化粧をルナを始めとする侍女達に湯舟で整えてもらい、謁見用のドレスに着替える。謁見と言っても、私的な謁見だから正装より緩めのドレスにしてもらった。
さすが、妖精姫。今日も芸術品のように輝いているわよ。

「お似合いですよ、姫様。ギルフォード様もご準備が整ったようですので参りましょうか」

ルナに連れられ、謁見の間の扉の前でギルと合流する。ギルはルネヴァンの王族なのに長年同じものを着まわしていた古い装いから、ギルの様式美が映える黒の正装に身を包んでいた。私も正装じゃなくていいの?と思ったけれど、ギルはまだ他国の王族扱いだから正装なんだって。
こうして謁見の間の扉が開かれ、玉座には私に若干呆れている目をした皇帝であるお父様とニコニコと優しく微笑む皇妃のお母様が待っていた。

「ルネヴァン第一王子、ギルフォード=ルネヴァンが皇国の偉大なる太陽の獅子にご挨拶申し上げます」
「ああ、待っていたよ。頭を上げて楽にしなさい、ギルフォード」
「この度はご挨拶が遅くなり、誠に申し訳御座いません。ご挨拶が遅くなったのは私に責が御座います。フローリア皇女は何も悪くありません」
「どうせ事の発端はリアなのだろう。それに私は特に怒っている訳でもない。リア、ギルフォードの為にも今後は気をつけなさい」
「はい、陛下」
「はいはいっ!もうそんな堅苦しい謁見をしに来たんじゃないでしょう!あなたもリアもギルフォード君も、ここからは家族としてお話しましょう!」

お母様の一言で場の空気は一気に緩む。
お母様のニコニコ笑顔には誰も逆らえないのだ。

「私はアルケミー皇国の皇帝、レオニード=アルケミーだ。こうして会うのは初めてだな」
「私は皇妃のミシェル=アルケミーよ。あなたのことはリアの水鏡みずかがみからいつも見ていたわ。ようこそ、皇国へ」
「管理官から報告は受け取っている。私達は君の保護を約束しよう」
「お父様、ギルは私の番。明日にでも精霊王様にお会いしたいの」
「既に精霊界には使いを出しているから安心しなさい。ギルフォード、君がリアの番として傍にいることを願うのなら、明日リアと一緒に精霊界に行ってきなさい。そこで魔法が使えない理由を聞いてくると良い」
「はい。私はフローリア皇女の番として傍にいることを望みます」

それからしばらくは、ルネヴァンの現状とギルのこれまでを話したけれど、想像以上に壊滅的な状況にお父様は瞬時に皇帝の顔に戻り、今後を会議すべく早々に謁見の間から退室した。

「ギルフォード君も今日は疲れたでしょう?夕食を取ったら早く休んでね。リアは正式に番となるまでは寝室は別よ。いいわね?」
「はい、お母様」

どさくさに紛れて寝室に忍び込もうと少しだけ考えていた私の思考はバレバレだったらしく、お母様は先程と変わらない微笑みできっちりと釘を刺してきた。
ーお母様のニコニコ笑顔には誰も逆らえないのだ。
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