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荒れ果てたテーブから離れて部屋の端に置かれた、ゴミのように積み重なった箱へと目を移す
空になったりんご箱の中を確認すれば、A4サイズほどの用紙が4分の1に畳まれて、ぽつんと入っていた
これは見てくださいと言っているようなものだと、私はそれを取って拡げた
「"23275の死亡に加え、23276の逃亡により想定よりも減量"…」("23276"…それって…)
23276番
それは、私が孤児院にいた時、院長先生から呼ばれた名前
"23276の逃亡"と言うのは、私が施設から脱走したということ
そう記載されている
そして、荷物を教会に送ったということは、当然この教会は施設と繋がっていたということが明らかになった
「っ…嘘…、結局またあの院へと戻ってしまうの?…」
その想いが、その恐怖が私の身体を武者震いさせてくる
空気が重く、なのに薄く感じた
呼吸が上手くできない
浅く入ってくる酸素に、頭はもう思考停止寸前だ
タイミングを図っていたのかそれとも偶然か、肩を掴まれ私は更に心臓が止まる想いをさせられる
今になってシスターシオリの"幽霊が出る"という言葉が頭を過ぎった
まさか、まさか……そんなわけ…と思っても、身体は正直で震えが止まらない
その恐怖に思わず目を瞑った
「っ…さ」
「ッヤ、ヤダ…」(怖い…)
「おい、"ヤダ"じゃないだろ。もういい加減戻ろう。三郎さんに怒られるって。」
「……ギュウ…君…?…良かった」
「なにも良くない。無断で入ったて知れたら、ちさだって怒られるんだぞ。ほら、行くぞ。」
いつまでも帰ってこない私を心配してか向かえに来てくれたギュウ君は、私の手を引いてこの薄気味悪い場所から離れようと促す
私は柱の上のランプを持って彼が引く手に負けないようについて行く
(あんなに入るの嫌がっていたのに、迎えに来てくれるんだね。いったいどうしてそんなに優しいのか)
教えて欲しい
むしろ学びたいくらいだ
そんなに他人に対して寛大になんて…中々なれない
でも、その優しさが時々無性に辛くてとても悪い事をしているような罪悪感に苛まれてしまう
私はその他一般人以下の記録上生きていない存在
ましてや、シスターなどと呼ばれるに値しない人間だ
騙している……
こんなに心優しい人を、私は毎日毎日欺いている
本当にごめんなさい…そう言いたい、そう言えたら良いのに…それすらも赦されない
(……ごめんね、本当に。)
そう心の中で言うのがやっとだ………
「この事は2人の秘密な。研さんにでも知れたりしたら…、また根も葉も無い事永遠と耳にタコができるまで聞かされ続けることになるからな…。」
「分かった、内緒ね」
「それと、もう地下には行かないこと。ちさの事だから、隙を突いてまた来ようとか考えてるだろ。」
「アハハ…ソンナコトナイヨ。」(鋭いな…。)
「俺らは何も見てない・行ってない・詮索しない。この話はこれでお終い。」
両手をパチンッと合わせて「いいな?」と私に釘を指す
へいへい…分かりましたよ
ボスの言うことに従いますって………
_____それどころか…
教会を出て行きたいと願ってしまっている自分が居る
嫌な予感、背中を針山の様に走る悪寒
それがここに居ては危ないと告げていた
ハロウィン当日に…まるで笑えない
私は三郎さんや研さん達がいる所に戻って見学の感謝を告げ、足早にその場を経った
自室へと向かい、その妙に押し押せる黒い靄のようなものから逃げた
早く、早くと私を急かして焦らせる
勢いよく開けたドアを閉めてクローゼットの引き出しを引き、奥に押し込めた物を取り出し電源を入れた
微小の揺れを手の中に感じ、久しぶりのその感触にそう遠くない昔を思い出した
空になったりんご箱の中を確認すれば、A4サイズほどの用紙が4分の1に畳まれて、ぽつんと入っていた
これは見てくださいと言っているようなものだと、私はそれを取って拡げた
「"23275の死亡に加え、23276の逃亡により想定よりも減量"…」("23276"…それって…)
23276番
それは、私が孤児院にいた時、院長先生から呼ばれた名前
"23276の逃亡"と言うのは、私が施設から脱走したということ
そう記載されている
そして、荷物を教会に送ったということは、当然この教会は施設と繋がっていたということが明らかになった
「っ…嘘…、結局またあの院へと戻ってしまうの?…」
その想いが、その恐怖が私の身体を武者震いさせてくる
空気が重く、なのに薄く感じた
呼吸が上手くできない
浅く入ってくる酸素に、頭はもう思考停止寸前だ
タイミングを図っていたのかそれとも偶然か、肩を掴まれ私は更に心臓が止まる想いをさせられる
今になってシスターシオリの"幽霊が出る"という言葉が頭を過ぎった
まさか、まさか……そんなわけ…と思っても、身体は正直で震えが止まらない
その恐怖に思わず目を瞑った
「っ…さ」
「ッヤ、ヤダ…」(怖い…)
「おい、"ヤダ"じゃないだろ。もういい加減戻ろう。三郎さんに怒られるって。」
「……ギュウ…君…?…良かった」
「なにも良くない。無断で入ったて知れたら、ちさだって怒られるんだぞ。ほら、行くぞ。」
いつまでも帰ってこない私を心配してか向かえに来てくれたギュウ君は、私の手を引いてこの薄気味悪い場所から離れようと促す
私は柱の上のランプを持って彼が引く手に負けないようについて行く
(あんなに入るの嫌がっていたのに、迎えに来てくれるんだね。いったいどうしてそんなに優しいのか)
教えて欲しい
むしろ学びたいくらいだ
そんなに他人に対して寛大になんて…中々なれない
でも、その優しさが時々無性に辛くてとても悪い事をしているような罪悪感に苛まれてしまう
私はその他一般人以下の記録上生きていない存在
ましてや、シスターなどと呼ばれるに値しない人間だ
騙している……
こんなに心優しい人を、私は毎日毎日欺いている
本当にごめんなさい…そう言いたい、そう言えたら良いのに…それすらも赦されない
(……ごめんね、本当に。)
そう心の中で言うのがやっとだ………
「この事は2人の秘密な。研さんにでも知れたりしたら…、また根も葉も無い事永遠と耳にタコができるまで聞かされ続けることになるからな…。」
「分かった、内緒ね」
「それと、もう地下には行かないこと。ちさの事だから、隙を突いてまた来ようとか考えてるだろ。」
「アハハ…ソンナコトナイヨ。」(鋭いな…。)
「俺らは何も見てない・行ってない・詮索しない。この話はこれでお終い。」
両手をパチンッと合わせて「いいな?」と私に釘を指す
へいへい…分かりましたよ
ボスの言うことに従いますって………
_____それどころか…
教会を出て行きたいと願ってしまっている自分が居る
嫌な予感、背中を針山の様に走る悪寒
それがここに居ては危ないと告げていた
ハロウィン当日に…まるで笑えない
私は三郎さんや研さん達がいる所に戻って見学の感謝を告げ、足早にその場を経った
自室へと向かい、その妙に押し押せる黒い靄のようなものから逃げた
早く、早くと私を急かして焦らせる
勢いよく開けたドアを閉めてクローゼットの引き出しを引き、奥に押し込めた物を取り出し電源を入れた
微小の揺れを手の中に感じ、久しぶりのその感触にそう遠くない昔を思い出した
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