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第1章

第三十二話 「ネルさんのその後」

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午前9時。
毎日しつこいお客さんがやって来る。
ガチャッ。

「呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン♪ネル様ぁ、俺様を呼んだ?」

呼んでねぇよ。

「さぁ、さっさと帰れ。ネルが迷惑そうな顔をしてるから。」

「いやいや!今日は、ネル様お目当てじゃなくて、ガオンお目当てで来たんだ!」

「うそつけ。」

「う、う~!」

「ガオーン、本当のお父ちゃまが、来ましたよぉ~。」

「って、おい!なに変なこと、言ってやがる!」

もう、こいつとは関係、持ちたくない。


                                   ☆


「好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い、好き……嫌い!あー!俺様、ネル様に嫌われてるぅ~!」

「最初っから、嫌われてるけど?」

「もう、俺様の人生、終わったー。」

「はいはい。さ、コーヒーを飲み終わったところで、さっさと帰れ。」

ウルフ一郎が、コーヒーカップを片付けた。

「……ウルフ三郎。」

「!?」

ウルフ三郎は、目を大きく見開いたまま、あたしの方を振り向いた。



「ネ、ネル様、今なんと……。」

「だから、「ウルフ三郎。」って、言ったんだよ。」

「え~!?」

(あぁ!神様、仏様、ご先祖様、父ちゃん!俺様、初めて好きな人から、名前を呼ばれた!)

「『ウルフ三郎、ウルフ三郎、ウルフ三郎、ウルフ三郎、ウルフ三郎……。』」

(もう、あの響きは、もう二度と、忘れることはない!)

「ネル様ぁ~♡地獄の果てまで、フォーリンラーブ♡」

「なに言ってんだ、こいつ。ガオンのおむつが切れたから、新しいおむつを出してくれ。」

「イエッサー!ネル様のためなら、なんでもやりますっ!」

「こいつ、さっきからおかしいぞ。」

「ま、ほっとけ。」

「あぁ。」


                                     ☆


午後0時。昼食。
そのあと、ジュンブライト様が待つ、お城へ♡

「よっ、ネル。こんっちはー。」

こんにちは♡ジュンブライト様♡
今日も笑顔が、とてもかっこいいです♡
すると、ジュンブライト様が、ガオンの手をにぎった。

「ガオーン、元気にしてたか~?」

「う、う~!」

うふふふふ。元気にしてますって。

「そうか。じゃあ、向こうへ行こっか。向こうで真莉亜と道華が待っているぞぉ~。」

ちっ、あのクソ女と、また、ママ友会かよ。


                                ☆
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