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第1章

第三十四話 「ジュンブライトのおじいちゃんの話」

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こんにちは、真莉亜です。
女王になって、一週間が経ちましたぁ。
毎日、書類にサインを書いたり、もう、大変です。
今日は99枚ぐらいかな?ポンポンポンポンと、ハンコを押しましたぁ。
漫画を読もうとした時、また書類がきて、またハンコをポンポンポンポンポンポンポン。
もうら大変です。
はぁ~、つかれたー!
私はベッドへ、どすん。
ん~、このもふもふした感触、気持ちいいです。
さぁ、もう寝ましょーう。
おやすみなさーい。ガーゴー、ガーゴー。

「う、う~!あう、あ~う~!」

ん……道華、ごめんね。お母さん、疲れてるから、一緒には遊べないの。

「う~、うーう!」

もう、わがまま言わないでよぉ。

「ブー!」

道華はほっぺたをふくらませると、本棚に向かって、ハイハイをし始めた。

「あい、あい!う、う~!あう!」

バタバタバタバタッ!
へっ!?
今、なにか落ちる音がした!?

「うぇ~ん、うぇ~ん!」

ん!?道華の泣き声が聞こえる!
聞こえた方を見ると……あ!
本が落ちてる!
ま、まさか!
私は急いで、本のところへ行き、本をぱっぱっぱと、投げ捨てた。

「うぇ~ん、うぇ~ん!」

ああっ、道華、痛かったねぇ。
私は道華をだっこした。
よしよし。もう、痛くないでちゅよぉ~。

「う、う~!」

うふふ。かわいい。

「あう、あう~!」

ん?道華が持っているのは、なに?
私は不思議そうに、その一枚の写真を取った。
ん?誰?このおじいさん。
王冠をかぶっていて、赤いマントをつけていて、青い服を着ていて、腰に短剣が入った鞘をつけていて、白髪で、先っちょがとてもチュルチュルしていて、長い髪で、しわが生えていて、年齢は、多分、78歳ぐらいで、白いひげが生えている、男の人。
誰だろ、これ。
ジュンブライトの知り合い?
いやいや、どー見ても、知り合いでもなさそうだしぃ。

「おい、なに見てんだ、真莉亜。」

わっ、ジュンブライト!

「じ、実はね、本が散らばって、急いで道華を助けたら、道華がこんなものを持ってたの。」

「どれどれ?」

私は、ジュンブライトに写真を渡すと、ジュンブライトは、写真をじーっと、見つめた。

「あ、これ、俺のじいちゃんだ。」

えっ!?ジュンブライトの、おじいちゃん!?

「ああ。マドレーヌが産まれる前に、亡くなったけどな。とても、おもしろい人だったよ。」

へぇー。
そういえば、一度もジュンブライトのおじいちゃんのこと、聞いたことないなぁ。

「じゃあ、話そっか!?」

えっ!?いいの!?

「あたり前だろ。」

出た。流行語ノミネート大賞予定の言葉。
ジュンブライトは、道華をおひざに乗せ、ベッドに腰をかけた。

「俺のじいちゃんは、俺にメロメロだったんだぞぉ。」

そ、そうだったんだ……。

「あぁ。俺はじいちゃんにとって、初めての孫だったしなぁ。」


                                  ☆


                          ー26年前ー

ちょっ、離せよぉ!クソおやじ!

「うるさい!謝ってもムダだ!」

なぁ、100円あげるから、許してくれよぉ。

「だめだ!物置きに入れてやるぅ!」

えーっ!?やだー!
あそこ、暗いし、こわいしぃ。
で、今日も夜7時まで、閉じこめるんだろ?

「そうだ!」

えーっ!?
もう、お腹空くぅ~!

「うるさい!」

「おい、なにしてんだ?ヒアン。」

そ、その声は!

「じいちゃん!」

「と、父さん!あ、あのな、、このクソ坊主が、またいたずらをして、今、物置きに入れようとしているところなんだよ。」

「へぇー。」

じいちゃん、そんなにじろじろ見つめないで、助けてくれよぉ!

「ジュンブライト。」

ま、まさか怒るの!?
ところが、じいちゃんはにこっと笑って。

「お前は悪くない。悪いのは、ヒアンの方だ。」

「イェーイ!」

「えーっ!?ちょっとまったぁ!父さん!なに言ってんだよぉ!」

「子供を閉じこめようとするなんて、父親がやることか。」

「……。」

その後すぐに、親父は黙り込んだ。
じいちゃん、ありがとー!
俺は、じいちゃんに笑顔でだきつくと、じいちゃんは、目をハートにした。

「うひょひょ~♡どういたしましてぇ~♡ジュンブライトはいっつも、かわいいなぁ~♡」

えへへへへ。

「父さん!ジュンブライトを甘やかすのにも、程があるよ!」


                               ☆


ガブガブ!ムシャムシャ!
ん~!うんめぇ~!

「ジュンブライト、お行儀よく食べなさい。」

黙れ、クソババア。

「……!」

ばあちゃんは、俺に厳しくしてるんだ。

「か、母さん!怒りをおさえて!」

「ヒアン!もっと教育した方が、いいんじゃないの?もう、祖母に向かって、なんたる口の態度!」

「か、母さん!俺が怒ってやるから、安心して!」

親父は、俺の方を向いた。

「ジュンブライト、おばあちゃんに謝りなさい。そして、お行儀よく、食べなさい。」

いやだねー。

「く~!このクソガキ、なめてるなめてるぅ~!」

「大王様、落ち着いて。」

「よーしよし。ジュンブライトぉ、いっぱい食べて、元気に育つんだぞぉ。」

うん!

「と、父さん!」

「あ、あなた!」

「ん?どうした?」

「どうしたじゃなくて!」

「いくらなんでも、ジュンブライトに甘やかしすぎですっ!もう少し、祖父としてしっかりしないと……。」

「あー、小便したくなったぁ。トイレトイレー。」

じいちゃんは股間をおさえながら、向こうへ行っちゃった。

「ったくぅ、あの人ったら!子供っぽいのは、昔から変わっていませんわ!」

ばあちゃんは、プンプン怒っている。

「仕方ないさ。父さんだもの。昔から、あーゆー性格が、あたり前なのさ。」

「……でしょうね。」

「おいじいや!おかわりくれ!」

「はいは~い、ただいまぁ~!」

 

                               ☆

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