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第1章

第三十八話 「ウルフ一郎さん、また人間になる?」

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「スー、スー。」

ふっ、寝顔、かわいいなぁ。

「ほんとだなぁ~。天使みたいだぜぇ~。」

……。

「……なぁ、ネル。」

なんだよぉ。

「なんで、俺様を嫌うんだよぉ。おまけに、ガオンも。俺様、なにも悪いこと、してないのに。なぁ、なんでだよぉ。教えてくれよぉ。俺様達、夫婦だろ?教えてくれよぉ。なぁ、なぁ、なぁ~。」

「あーもー、うっさい!クソじじい!」

あたしはスッと立ち上がって、怒りながら、寝室に行った。

「そ、そんなぁ~。がくし。」


                                ☆


あたし達は、寝室で寝ていた。
すると、あいつがあたしの背後からだきついてきて。

「なぁ、ネルぅ~。」

なんだよぉ。

「子作り、しよー。」

あーもー、暑苦しいから離れろっ。

「そ、そんなぁ~。ネルぅ~。」

あーもー、だきついてくるなって!

「愛してるんだったら、しようよー。」

愛してねぇって、バーカ!

「しくしくしく。ネルが冷たいよぉ。」

はいはい。そこで泣いてください。
あたしは、知らないよぉ~。

「なぁ、ネルぅ~。」

なんだよぉ!

「なんで俺様に、冷たくするんだよぉ。前まではいじわるしなかったのにぃ。なぁ、教えてくれよぉ。このままじゃ、離婚成立だぜぇ~。」

はぁ、仕方ないなぁ。

「……一週間前、あたしが寝ている時、お前が帰って来たんだ。酔っ払ってな。」


                      ー1週間前ー


ガチャッ。カチッ、カチッ。

「ただいマンゴ~、おかえりんご~。ったくぅ、電気なんか消しやがってぇ。俺様を忘れんなよぉ、俺様を。」

「ガオーン、お父しゃん、ただいま帰ってきまちたよぉ~♡」

「うぇーん、うぇーん!」

「なんだよぉ。なんで泣くんだよぉ。意味わかんねぇじゃん。」

「うぇーん、うぇーん!」

ガチャッ。

「こら!なにしてんだ、こんな夜中に!ガオンは寝ていた最中だったんだぞ!」

「あんだって?」

「だーかーらぁ!寝ていた最中だって、言ってんだろ!」

「よーちよち。ママ、こわいでちゅねぇ~。」

「うぇーん、うぇーん!」

「おっぱいが欲しいんでちゅねぇ。わかりまちたよぉ~。」

「ちょっ、なにするんだよぉ!」

モミ、モミ、モミ。

「ミルク、たくさん出ろー、たくさん出ろー。」

「……!」

……というわけだ。

「お、俺様、お前の胸をさわってたのかよぉ。しかもがっしり。」

あぁ。
もう、これで話は終わりー。おやすみ~。

「ちょっとまて!」

ウルフ一郎は、あたしのうでをがっしりつかんだ。
な、なにすんだよぉ!は、離せ!

「離すもんか!」

あ!あたしはうでをつかまれたまま、ひっくり返された。

「……ごめん。あんなことをして。俺様が悪かった。だから、ゆるしてくれ。お酒の量、減らすから。」

「……おやすみ。」

「あ、ちょっと、ネル!……寝ちまった。また明日、謝ればいいか。どーせ、魔法が解けるんだし。」

  

                                    ☆
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