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第1章

第四十六話 「ロゼッタさんがゆく!彼氏づくりの旅!〜今日の占い編!〜」

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翼くん、オーディション、どーなったんだろ。
気になって、電話しよっかな?
いやいや、もしだめだったら、なんて言えばいいか、わからないもん。
ここはとりあえず、ほっといてぇ……。
トゥゥゥル、トゥゥゥル。
ん?電話?

「はい、もしもし?」

「『……もしもし?ロゼッタさん?』」

あ、翼くん!
てか、声が昼間とちがって、ずいぶん暗い。どーしちゃったんだろ。

「翼くん、どーしたの?元気ないみたいだしぃ。なやみなら、私が相談受けるわ。」

「『ありがとう。……実はオーディション、だめになったんだ。』」

えぇっ!?うそ!そんな!なんで!?

「『君の実力はイマイチだと言われてさ。もう、あきらめよっかな?』」

「翼くん、あきらめたらだめ!あきらめたら、なにもできなくなるわ!それでもいいの!?」

「『ロゼッタさん……。うん、わかった。僕、あきらめないよ。』」

ふぅ、よかった。

「『ところでロゼッタさん、明日、大丈夫?』」

明日?大丈夫だけど、翼くん、お仕事じゃないの?

「『午前中はお仕事だから、午後に来てくれないかな?お店に。』」

うん、わかった。
あのね、翼くんに伝えたいことがあるけど、明日でいい?

「『うん、いいよ。聞きたいな、ロゼッタさんの話。』」

「じゃ、また明日ー。」

「『うん、じゃあね!』」

そう言って、翼くんは電話を切った。
グフ、グフフフフ。
明日はついに、運命の告白をするのよぉ!
もしOKだったら、どんな結婚生活を送るんだろうか。
毎日、翼くんのコーヒーが、飲めるかもぉ♡

「『はい、マイハニー。愛情たっぷりの、ブラックコーヒーだよ。』」

「『まあ♡ありがとう♡マイダーリン♡』」

グフフフフ♡
明日はラッキーデーで、ありますよーに!


                              ☆

ふぅ。お風呂に入ったし、テレビでもつーけよっ。
ピッ。

「『今日の星座占いです。』」

おぉ!キター!星座占い!
さーて、私は何位でしょーかっ。

「『第1位はおひつじ座のあなたです。欲しかったものが手に入るでしょう。』」

えぇっ!?私じゃないの!?

「『最下位はごめんなさい、てんぴん座のあなたです。予想すらしなかったことが、本当に起こるでしょう。今日も元気に、いってらっしゃい!』」

……。
ブー、ブー。
ぬわんだとぉぉぉぉぉぉぉ!?
わ、私が最下位~!?
冗談じゃないわ!きっと、なにかの間違いよ!
ガッシャーン!
うわぁぁぁぁぁぁぁ!誕生日にもらった、高級のグラスがぁ~!
あー、今日はツイてないな。
ん?まてよ?
ひょっとして、告白も……まさかね。


                              ☆


そして、運命の午後。
翼くん、早く来ないかな?
待ちくたびれて、首が長くなりそう。

「おまたせ!」

あ、翼くん!
もう、待ちくたびれたよぉ。

「アハハ、ごめん。」

翼くんは、いすにすわった。

「今度は、僕が遅れたね。」

えぇ。

「すみません、ブラックコーヒーを一つ。」

「はい。」

「実は僕、オーディションの申し込みをしてたんだ。」

へぇー。
今度は、受かるといいねっ。

「あぁ。」

翼くんは笑顔。

「ところで、伝えたいことは、なに?」

「あ、実はね……。」

がんばれ、私!
緊張するな、私!
これを乗り越えれば、必ず、明日は来る!

「実は私、翼くんのことが、ずっと、好きだったの!付き合ってください!」

ひゃーっ、告白したよぉ。
果たして、翼くんはなんて答えるのでしょうか。

「顔を上げて。」

あ、はいっ。
さて、なんて答えるのだろうか。

「君の気持ちはわかった。けど……。」

けど?

「ごめん!君とは付き合えない!」

え~!?なんでぇ~!?

「……実は僕、熟女が好きなんだ。」

「いらっしゃいませー、何名様ですか?」

「2名。」

「2名様ご来店でーす!」

「はーい!」

「ブラックコーヒー、お持ちしましたけどぉ……。」

「いいです。彼に飲ませてください。」

「えぇ!?」

ちっくしょ~!また失敗した!


                                ☆


「あー、今日1位だったけど、運悪~い。」

「すぐ運がよくなるわけないさ。俺様も、最初はそーだったし。」

「お前、あたしにナイショで、水樹リナのライブ、行ったろ?」

「~♪」

「こら!口笛すなっ!」

ピンポーン、ピンポーン。

「ん?誰だろ、こんな時間に。」

ガチャッ。

「ネル様ですね?」

「あぁ。そうだけど?それが?」

「おめでとうございます!ヴァンパイ屋のプレゼントキャンペーン、巨大ガニのプレゼントに当たりましたぁ!」

「うっひょ~!やったぁ!カニだぁ~!」

「なんだ?この風の吹き回し。」


                             ☆


ちくしょ~!今回もダメだった~!
次は必ず、しあわせを手に入れるからな!
まってろよ、N!

「ん~、このカニおいし~い♡」


              
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