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第二章 迷宮都市の救世主たち ~ドキ!? 転生者だらけの迷宮都市では、奴隷ハーレムも最強チート無双も何でもアリの大運動会!? ~
2-122. ダンジョンキーパー、レイフィアス・ケラー(16)「 今までこんな反応なかったよね!?」
しおりを挟むウィル・オー・ウィスプ。叉はジャック・オー・ランタン等々など。
所謂“人魂”系の伝承でありその派生。墓地やら人気のない山林の奥。夜中にひっそりと光る火の玉。
死者の霊であるとか、妖精の一種であるとか、本邦でならば狐の化けたものであるとか、色々と伝承民話にある。
そして科学的には地中のリンが立ち上り燃えているだとか、雷光の一種であるとか、あるいはプラズマであるとかまた諸説ある。
この世界においてはどうか? というと、これも諸々諸説ある。
というか、例えば光を放つ妖精であることもあるし、力の弱い亡霊の残滓であることもあるし、または何らかの精霊や幻魔であることもある。
リストへの登録種別名ウィスプ。これは分類するなら火属性の幻魔。幻魔とか幻獣とかは、基本的にこの物質世界とは異なる世界に住む、実体を持たない魔力により造られた存在だ。
精霊と似たようなものと捉えられる向きもあるが、実際には全く違う。精霊も確かに普段は異なる次元に存在しているものだが、それは位相が異なるという意味でその本質はこの世界に根ざしている。しかし幻魔、幻獣は本当にこことは異なる次元、異なる世界に根を張っている。
ガヤン叔母の召喚獣である闇の馬や、僕の使い魔のインプも基本的には同じ。本来実体のない魔法生物に、その性質特性に合った仮初めの身体を付与している。
このウィスプは、本来は二番目に攻略した“火の迷宮”でダンジョンキーパーとなる……ハズだった存在。
召喚されキーパー認証を受け、魔力溜まりからの魔力で成長し別の幻魔か幻獣となるはずだったものの、その魔力溜まりが火焔蟻の女王と融合してしまったためにそれが叶わず、次元の狭間のようなところで卵状の形で止まっていた。
それが、僕が火焔蟻の女王を倒して一旦その魔力溜まりを消滅させ……まあリセットしたことで改めてこの世界へと現れ、その流れで僕の召喚獣のようなものとして“仮登録”されていた。
で、いつの間にかその卵状から孵化して、登録名“ウィスプ”として現在キーパーデスクのリストに載っている。
ウィスプ状態の火属性幻魔は、はっきり言ってめちゃ弱い。戦力として考えるのなら現在の手駒の中では最弱だ。インプですらもう少し戦える。簡単に負けるけど。
ただ、かなり特異な性質を持っている。
まず、所謂物理ダメージが効かない。何せ実体のない炎の魔力の塊でしかない。
炎の魔力の塊を殴ったり斬ったり出来るか? そう、デキッコナイスだ。
そして移動の際地形の影響をあまり受けない。宙を浮かんでいるからね。偵察なんかにもピッタリ。
さらには本質的な意味では死なない。散らされたり消されたりしてこの世界に存在出来ない状態になっても、一時的に本来の次元へと戻るだけで、時間が経てば再び召喚出来る。なので【憑依】によるダメージフィードバックが殆ど無い。
つまり、僕が【憑依】してジャンヌと同行するのにはベストとまで言わないがかなりベター。これにケルッピさんの他に何かしら護衛をつけられれば、まあまあ安全は確保される。……と思う。
てなわけで僕はこのウィスプを下層階の大型魔力中継点の位置に召喚。そしてすぐさま【憑依】を使い意識をそちらへ移す。
普通なら召喚したばかりでなじみの薄い使い魔、召喚獣なんかには【憑依】はしにくかったりするんだけど、卵状態でも長いこと使い魔としての扱いになってたためか、そもそもウィスプには所謂自我と呼べるモノがほとんど無いからか、思ってた以上にスムーズに【憑依】が出来る。
ぼんやりとした被膜に覆われたような、ゆらゆらした陽炎に取り囲まれたような曖昧な視界。いや、これは多分視覚的な情報ではないんだろうな。例えば熱。空気の揺らぎ。そういうものから得られた周辺情報を僕の意識で認識できる形に変換して伝わってきている。
何にせよ、ひんやりと湿った下層階の中に、ぽつんと突然現れた光の玉に、周囲に居た岩蟹や双頭オオサンショウウオなんかが訝しげに反応する中、それを無視してジャンヌとケルッピさんの行方を確認する。
彼女らの居場所自体はすぐに確認出来る。支配領域内の敵、味方にはそれぞれマーキングがされ追跡出来るからだ。
まだそれほど離れてはいない。方向はやはり当然、例の古代ドワーフ遺跡へと繋がった岩壁の裂け目の方。
さーて、全速力で後を追いかけますかねー……としたところ、グォウと渋い吠え声。
のっそりと現れ道を遮るのは、現在のこのチームにおける助っ人大リーガー、灰色岩鱗熊さんだ。
『おう、何やワレ、あそこに向かいよるんやったら、ワシも連れて行かんかい、ああ?』
……みたいな感じのうなり声。うへええ、マジですか。いや、うん……いいけどさ。
やる気満々の灰色岩鱗熊を後ろに従え、小さなサッカーボール大の光る玉がふよふよ浮かぶ様はかなり間抜けだろう。
けどそんなことには構ってられない。とにかく早く二人に追いつかないと。
時折すれ違う原住生物たちに遠巻きにされつつ、宙を飛ぶ光の玉とそれをのっすのっすと追う巨大な熊。そしてこの灰色岩鱗熊の従者指定させておいた大蜘蛛たち。
うーむ。追い付いたらこれ、ぶっちゃけ偵察チームというよりかなりおかしなモンスターパーティーだわ。
◆ ◇ ◆
「うお、何だそりゃ?」
訝しげ、というかまあ、胡散臭いものを見る目でこちらを睨む。
ウィスプには発声器がないし、ガンボンと違ってジャンヌには“伝心の耳飾り”もない。うーむ、しまった。意思伝達に超・難ありだった。
おーい、ケルッピさん何とかならん? と横にいる精霊獣、水で出来た馬みたいなケルピーのケルッピさんへ視線……念を送る。実際ケルッピさんは一応僕の使い魔(仮)なので僕からケルッピさんへの意思伝達には不自由しない。
そしてそのケルッピさんは……。
「ブルルッ」
「あー……ま、レイフの奴が寄越した援軍……てこったろ? 分かってんよ」
何故か微妙にジャンヌと意思疎通が出来ている。
何で!? ……まあ、いいけどさ。
なんというか怪物王女ご一行様とでも言うような“偵察部隊”は、ジャンヌを中心にそろそろと遺跡を進む。
遺跡内部はけっこう複雑で、古代ドワーフ遺跡としては乱雑なように思える。まあ僕は古代ドワーフ文明に関しては何冊かの本やレポートを読んだ程度の知識しかないし、ちゃんとした遺跡に実際に来たのは初めてだからね。
何にせよこの遺跡内部は、なんというかこう……作りかけ? そんな部分が多々あるのと、基本構造が整理されていないところが多い。多分理由の一つは坑道、つまり何かしらの採掘をしてた場所を後から改造したからなんだと思う。
古い坑道を改造して作られた居住区というのは現代のドワーフでも古代ドワーフでもよくある。基本的にドワーフという種族自体が土属性の魔力適性が強いため、坑道をはじめとした土属性魔力の強い生活圏を求めるしね。
区画を進んで行くと、例の古代ドワーフのからくりゴーレムが数体現れた。小型のものはケルッピさんが水流で押し流した後に各個破壊。中型から大型のものは灰色岩鱗熊が力業で組み付きつつ、大蜘蛛達が魔糸で絡め捕る。
で……、
「あぁ? あー……と、これかー?」
ドワーフ合金製のダガーとハンマーで器用に装甲の一部を引っ剥がしてその中にある何かの部品を壊し、または取り外す。
あー、これがあれか。古代ドワーフからくりゴーレムの核なのか。
手慣れた様子……ではなく、まるで初めてやったみたいに手際は良くないし、ときおり手を止めて思案したり様子を再確認したりという仕草も混じる。それでもこの、「動きを止めてから、核を無力化する」という手順そのものは、なる程古代ドワーフ遺跡専門の探索者ならではか、と感心する。
てか僕、「手元を明るく照らす」以外特に何もやってないな……。
戦力より機動性と索敵能力を優先したチョイスだったけど、正解だったのかどうかあやしくなってきた。
何にしても予想以上にジャンヌの対古代ドワーフからくりゴーレムの対処法が巧くいってて、何かこれならもっと前からお願いしてた方が良かったのかもしれないとも思えてくる。
その後も時折現れる古代ドワーフからくりゴーレムやらに対処しつつ進んでいく。
しかし良いのか? 灰色岩鱗熊的には? 自分の力で勝ててる流れじゃないぞ? 自力で勝利を勝ち取りたくて大型の古代ドワーフからくりゴーレムに立ち向かってたわけじゃないのか? ……とも思うけど、何だか勝てればそれでご機嫌みたいだ。いいのか……。
何ヶ所かに魔力中継点を建てたり、休憩しつつ待機場所を建てたりもして、偵察というより普通に攻略していくような流れ。
ていうか、結構その、「ヒトらしき者達」のいる場所まで距離がある。
結局、灰色岩鱗熊達だけでは全く踏破できてなかった場所まで支配領域がガンガン拡大されることに。
───いやホント、最初からジャンヌさんに古代ドワーフからくりゴーレムの対処をお願いしておけば良かった……。
この古代ドワーフ遺跡は、どうやら幾つかのエリアに分かれているようだった。
途中の魔力中継点では偵察部隊としてフライ系やインプ系も少し召喚して周辺の地図も埋めていく。
で、最終的に僕らが行き着いたのはちょっとしたホールの様な場所。
どんづまりの行き止まりだけど、壁にはそのままでは開けることの出来ないかなーり大きな両開きの豪華な石扉がある。
そのホールに魔力中継点を建てて、さてどーしたもんか。
知性ある魔術工芸品の生ける石イアンの言うとおりなら、多分この扉の向こうのエリアにヒトらしき者達が来ているんだろう。
今現在この扉が開かないのなら、当面はあえて放置してここに監視所を設置しておくだけでも良いかもしれない。
ただまあ、ジャンヌやアデリアを元の場所へ帰すという目的からすれば、多分いずれかはここを開けなければならないだろう。
僕は一旦ウィスプへの【憑依】を解除。ダンジョンハートに居る自分の身体へと意識を戻す。
周りを見回すと出発前に念のためと魔糸で縛っていたアデリアはぐーすか昼寝中。
けっこう時間がかかることになると思うので、解放して彼女の部屋へとインプ達に運ばせベッドへ寝かせておく。
で、今し方設置したホールの魔力中継点へと通信。
「ジャンヌ、聞こえますか?」
『んん? あー、レイフか?』
「はい。その場所に、一旦、大きめの拠点、建てます。それから、扉の向こうに行けるか、調べると、思います」
『ふーん……。ま、アタシもちょっと調べてみるわ』
「はい、気をつけて」
で、とりあえずウィスプをジャンヌの従者設定にしてから諸々の設備を設置。ただこの遺跡内部、きちんと作られている場所のある程度は魔法の保護が効いている。なので加工や設備設置のしやすい場所と、抵抗をされてやりにくい場所があるので、やりやすい場所を利用する形で進める。
召喚獣や従属魔獣用の居住区や餌場、詰め所に水場等を設置し、ジャンヌ用の寝室も作る。今後どうなるか分からないから、もしかしたらここで暫く過ごすかもしれないしね。第三の防衛拠点だ。
ケルッピさんの下層階拠点からも荷を運んだり、拠点防衛の兵力を用意したりもして小一時間。
完成された拠点は、ホールの半分ほどを塞いで、両扉の門を囲む左右に門のある城壁のようになる。
うーん……ちょっとやりすぎたかも?
さて。それで再びあちらへと【憑依】で意識を戻す。今度は事前にジャンヌにそのことを伝えてあり、ウィスプに【憑依】した瞬間、まじまじと見られる。
「ふーーーーん……。こん中に……ねえ~~~?」
そりゃもう、めっちゃ見られる。いやん、もう、そないに見んといてぇな。
そしてジャンヌ曰わく、扉を開けられる仕掛けっぽいものは見つけたのだそうなんだけど、ちょっと開けられないという。
理由は「力が足りない」から。
「あのー、あそこのな。両開きの大扉の上、レリーフの刻まれた壁の一カ所に、遠目には見えにくい窪みがあンだよ。
で、その奥にまたでっけーレバーがあんだけどよ……」
言われて、ふよふよ飛んで近づき確認すると、なるほど確かにその通り。
「そのレバー、糞重ェんだよなあ」
身軽で素早いジャンヌだが、腕力はさして強くない。大きさからしても、それこそドワーフかオーク並みの腕力でないと引けなさそうだ。
そこでちょっと考える。
インプに命令して工房区画にて滑車を、また大蜘蛛達には魔糸を寄り合わせたロープを作らせる。
そしてそれを扉の前のホールまで持って行き、滑車を天井に設置。それを通した魔糸のロープをレバーに結ぶ。
で、そのロープの端に壁へとロッククライミングの要領でへばりついていたジャンヌが飛びついて、全体重と落下の勢いでレバーを引く!
ガラガラガラ……っと滑車が回り、ガコンと引かれるレバー。
勢いのまま壁にぶつかりそうになるジャンヌは、身体をくるり反転させると壁を蹴ってそのまま着地。お見事!
壁の奥で何かの仕掛けが動いたと同時に、両開きの扉が重々しい音とともに開かれるが───。
「熱ッ……!?」
最初にそう言葉を漏らしたのはジャンヌ。後ろに数歩、それからまた三歩ほど後退り、その向こう側を眉根を寄せながら見る。
灰色岩鱗熊に大蜘蛛達他、皆一様に扉の向こうを避け、作られた城壁の近くまで退いている。
火属性の魔力そのもののウィスプに【憑依】している僕は熱さを感じないが、その熱を“見る”ことは出来る。
扉の向こうにはこのウィスプとなんか比較にならない膨大な火の魔力が蠢き、その形を変えながら徐々にこちら側へと侵入してくる。
「イアン! 何これ!? 今までこんな反応なかったよね!?」
『そうだ、キーパーよ。その魔力は今そこに現れた』
転送? 瞬間移動? それとも突然そこに生まれたの!?
何にせよこの魔力の塊の正体は分からないけど、こんな膨大な魔力が暴発でもしたら今作ったばかりの拠点なんか一気に消し飛びかねない。
『───だがこの魔力の主は、敵ではない』
───え?
「じゃあワ……」
『罠でもない』
敵でもない、罠でもない。突然そこに現れた膨大な魔力の塊───?
『試練だ』
その“試練”は完全に扉のこちら側へと入り込み、益々その力を増している。
マズい! このホール半分を拠点化した空間では逃げ場が無い。
どうする? ウィスプそのものにそれほどの力はないが、ウィスプの魔力を借りればジャンヌ達に火への耐性を与えて逃げ出す猶予を作れるかもしれない。というか今出来るテは多分それしかない。
僕はそう考え、ウィスプの魔力から力を引き出し、それをジャンヌ達へと向けて───吸い込まれた。
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