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第三章 クラス丸ごと異世界転生!? 追放された野獣が進む、復讐の道は怒りのデスロード!
3-35. J.B.- Two Tickets To Paradise.(パラダイス行きのチケット、二枚)
しおりを挟む「いや~、またこないに早くここ来れるとか、思えへんかったわー」
「だよね、だよねー! いつきてもここ、建物も綺麗だし本当気持ちいい!」
はしゃぐアデリアとダフネ。
「でよー。飯と風呂、どっち先にすんだよ?」
「うーん、やっぱり、お風呂できれいにする方が、先かな……?」
「きれいとか別にどーでも良いんだよ、どーでもよー」
スティッフィは風呂でだらっとまったりするのは好きらしいが、美容衛生方面には相変わらず興味は無いらしい。
「やァ~っぱ、ここは来てる客もなんつーか……違うよなァ~! イイ女めちゃ居るぜ」
「ア、アダンさん、そんなにジロジロ見ちゃダメですよ!?」
「あー、ヤダ。その田舎者丸出し感、なんとかなんないワケ?」
落ち着きのないアダンに、そのアダンをなんとか窘めようとするダミオンと、呆れるニキ。
「あぁ~……。こりゃ、どんだけ金かかってんだよ、ここ造るのによ……」
『金だけデハナク、修復ノ、技術モ、優れテル。意匠モ、見事ダ』
今や一国一城の主でもあるハーフリングのブルに、店付きの鍛冶師でたれ耳ハウンド系の渋い顔立ちの犬獣人、マルクレイ。
元シャーイダールの手下達の中の中核メンバー勢揃いで、マヌサアルバ会“白亜殿”へとご来店───という絵面だ。
「おい」
背後からそう不機嫌そうに声をかけてくるのは、一応調査団の一員であり、また今はクトリア共和国の下院議員北地区代表でもあるジャンヌ。
「何なんだよ。緊急だっつうから来てみりゃあよ、あぁ? 呑気に風呂入って飯食うのか?」
いやー……うん、まあ、不機嫌になるのも分かるけどな。
「まあそう言うな。確かにお前さん、ここんところやれ法律だ、やれ歴史だのと、勉強しなきゃならん事は多すぎだし、体力作りに魔力循環に、憑依魔術の訓練に……と、休んで怠けていられんという気持ちになるのも分かるがな。
むしろそういう時期だからこそ、がっつり休んで鋭気を養うのも重要になるもんだ。
それに、ここのマッサージは単純な美容だけでなく、術士向けの魔力循環マッサージもあるそうだぞ?
むしろ疲れと共に魔力の滞りも解消されるんだから、お前さんにこそ必要だ」
イベンダーがそう諭しはするものの、イマイチ納得はしてなさそうだ。
「そーそー! ジャンヌもたまには笑う笑う!」
「ほぅ~ら、むくれっ娘には……こうやで!」
そのむくれジャンヌにテンション上がりまくりなダフネが顔をむにむにとひっぱり、後ろからアデリアがくすぐり攻撃。さすがのジャンヌもこの不意打ちには反応出来ず、
「ばっ……! やめろっ! 分かった、分かったからやめろっての!」
てなやられっぷりだが、そうまんざらでも無さそうだな。
「……なんだよっ!?」
「へへー、いや、別になー?」
「クソ、てめーキモいニヤケ面してんじゃねーぞ、コラ!?」
「うーわ、JB、何かアダン並みにいやらしい顔してるー」
「はァ!? ちょっと待て! 俺は関係ねーだろ、俺はァ!?」
ま、何にせよ良い傾向だとは思うぜ。前はメズーラをはじめとする孤児連中を守る事に必死になってて、その上魔力瘤の悪化もあり年中ピリピリしていたジャンヌだが、今は忙しくはしていても、精神的には前よりかは余裕も出来ている。
メズーラ他の孤児グループは調査団本部のすぐ近くに家を持ち、何人かは調査団やブルの店の下働きとして使ってもいる。
衣食住含めた生活環境も前より安定し、生活圏も調査団本部と宿舎の近くなため安全度も増しているし、調査団の賄い係でもあるクロエ達が世話もしてくれている。
何より、ジャンヌ自身が俺以外の連中を結構頼りにするようにもなっている。
同世代、また年上の友人。孤児グループのリーダーとして、主に年下の奴らの面倒を見ることばかりだったジャンヌにとっちゃ、今まで得られなかった存在だ。
ま、口が悪いのは相変わらずのご愛嬌。だがやっぱり昔の「寄らば斬る」とでも言うかの雰囲気はかなりなりを潜めた。
馴染みの薄い奴からすれば分からないだろうが、アレでも結構、よく笑うようになってもいるしな。
噴水の設えてある涼やかなエントランスホールでそんなことをしていると、奥からすすっと現れる仮面の人物。とりあえずこの仮面と装束は準会員の方だろう。
「イベンダー様、クトリア遺跡調査団及び『ブルの驚嘆すべき秘法店』ご一行様方。ようこそおいで下さいました。
御予約の特別室へとご案内いたします」
「ひゃっはー! 特別室やて! な、特別室やて!」
「おー、こりゃあどんだけ特別だか楽しみだぜ!」
「ちょっと! はしゃいでやたらにに走るなって。子どもじゃないンだからサー」
まあニキの言うとおりだ。田舎者丸出しではしゃぎ過ぎ。さすがにちょっとばかし他の客の視線が刺さるぜ。
形式上のボディーチェックを受け武器類を預けると、俺たちは案内に従い奥へと進む。
そしてその様子をやや離れた柱の影から横目に見ている一人のダークエルフと、俺とイベンダーのおっさんはちらり目配せし、視線を交わす。
ま、俺たちの役目はこの段階じゃただ存分に遊んで食べてリラクゼーションに徹するだけ。
厳密に言えば高いサービスを受けることで、正会員や準会員等の注意をこちらに引きつけること。
別の離れた個室を借りて、この“白亜殿”内部を調べているレイフの方へと人が行かないように、だ。
◇ ◆ ◇
目くらましとしての役割と言うが、まあ基本的に今のところ特別なことはしない。
大勢でおしかけてやいやい騒ぐことと、魔力循環マッサージを受けること。この二つだ。
魔力循環マッサージは基本的には魔術師相手、または特別な上客のみにやるもので、魔術師相手なら文字通りに魔力循環を良くすることで魔術師としての基本性能をメンテナンスする。
魔術師でもない相手にはどうか? と言えば、俺が以前レイフにやって貰ったときのように、魔力の滞り等による不調を正し、許容できない量の魔力を排出し、また魔力による悪影響への耐性をつける。
生来的に魔力への耐性を持たないことの多い人間にとっては、基本的にはやってもらって損と言うことはない。ただ、よほどのことでもなければ金額に見合ったサービスと言えるか? というと微妙なところ。
王国の貴族や、駐屯軍や大使館のそこそこ位の高い連中はよく受けに来るらしいが、クトリア人でこれを受ける奴はまず居ないだろう。
これを受けることがどうレイフの調査に役立つかと言うと、本式の魔力循環マッサージは正会員にしか出来ないと言うことだ。準会員は普通のマッサージや美容マッサージは出来るが、魔術の使い手ではないので魔力循環マッサージは出来ない。
つまりこれを俺達が受けている間、魔術の使い手によるレイフへの監視が緩む。
案内された特別室はなかなか広めの個室で、円卓テーブルを中心に質の良い籐の長椅子のあるリビングに、個室用の浴室とマッサージの受けられるマッサージ室もついている。絵画や装飾に、鉢植えの観葉植物と、まるで高級ホテルのスイートルームみたいな豪華さだ。
今はジャンヌを始め女性陣のうち四人が魔力循環マッサージを受けていて、アダンとマーラン、そしてスティッフィは大浴場の方へ。
大浴場は個室の浴室と違い混浴だが、湯浴み着という薄い布の水着のようなものを付けるルールになっている。この辺の風習は帝国流らしいが、それでも普段のソレと比べれば男女共に際どい格好にはなるわけで、よからぬ輩も出ないことはないらしいが、その辺は準会員やその下についている警備の人間がきっちりと目を光らせている。
マーランはともかく、アダンが余計なことをしないかは心配だ。
俺とおっさん、マルクレイ、ブルがリビングの長椅子に座ったり寝そべったりでだらだらしつつつまみと酒をちまちまやってる。
マルクレイは装飾品なんかを眺めては、その造りの良さをしきりに褒め、感心し、それを受けたブルは金勘定をしている。
「やっぱヤベェな、三大ファミリーはよ……。どんだけ金回り良いんだよ?」
改めてそう呟くブルは、俺達とマヌサアルバ会の資金力の差にやや怖じ気づいたかの声だが、持ち前のクソ度胸も金の力の前にはなかなか役に立たないようだ。
「いや、この辺の装飾品なんかも、全部が全部金で集めたもんとも限らんぞ。何せマヌサアルバ会は魔術結社だ。建物自体も含めて魔術で補修、補強もしているようだし、装飾品も一つ原型となるモノが手に入れば、何らかの魔術で同じものを複製するのも可能だしな」
おっさんの見立てでは、この部屋にも魔術により作られたと思われる工芸品もあり、そのうちいくつかは監視や結界などの効果、目的のものらしい。
「おい、イベンダー。あんたはそれ、出来るのか? その、発掘した古代ドワーフ遺物をこう……複製する、みたいなのは?」
ギラリ、と目を光らせてそう聞くブルに、
「んーーーーむ。まず基本的には魔力付与されたものなら、複製するより別のものに同じ様な術式を再構築した方が早いしローコストだな。高度な魔術工芸品になると、それを複製出来るのは神業に違い。
皿だの壺だの程度でも、結局は同量の原材料は必要になるし、俺にはその術は使えん。クズ、残骸のドワーフ合金を集めて魔鍛冶で鋳溶かしてから、マルクレイと協力して新しい物を作る方がまだ早い。
そうだなー……あと二、三人魔鍛冶の資質がある人手がいれば、クズドワーフ合金の再利用で新しい装飾品なんかを作るのもそこそこ採算とれるものになるかもしれんが……微妙なところか。美術工芸品としての古代ドワーフ合金の市場価値は、ミスリル銀には劣るからなあ」
二人揃ってむーん、と額を付き合わせつつ商売の算段。どうすれば商売として成り立つか……てな話に頭を捻らせてるが、イベンダーの言う通り、古代ドワーフ合金製の新規生産は、トータルで見ればエルフの扱うミスリル銀製のものより割に合わない。
と、言うかまあ、何せ今ここで俺たちがこんな贅沢三昧な休養をとれているのも、実はそのミスリル銀製の商品のおかげ、でもある。
今回の作戦費用を捻出したのは誰あろうデュアン。今日だけでも以前なら俺たちの一月分かそれ以上の生活費が飛ぶからな。
奴はダークエルフの住む闇の森からレイフを補佐するために王国転送門経由ではるばるやってきたんだが、その当座の資金用に幾つかのミスリル銀製の武具装飾品を持ってきて、その幾つかは既に換金しているらしい。
で、それがまたかなりの逸品揃いで、王国軍相手に売っただけでもかなりの額になったのだとか。
ただ、ミスリル銀製なら何でも良い、というワケでもないらしく、曰わく奴の……つまりレイフの故郷の郷というのは、闇の森ダークエルフ郷の中でも特に魔法付呪品を作るのに長けているから、ということだそうな。
にしてもこの辺のこう、金銭感覚の落差? てのはまあなんともすげーわ。
これ、ダークエルフ郷的には何の利益にもならないクトリア共和国の建国に、見返りなしで資金提供しているのと変わらないからなあ。
大丈夫なのか? 俺に心配される筋合いも無いだろうけどよ。
そんなことを話していると、戸を叩き入室してくる準会員が一人。
そそ、と音もなく歩いてイベンダーへと近付くと何やら耳打ち。それに応えて少しの会話の後に、その準会員はまた音もなく歩いて去って行く。
「おっさん、どうした?」
「うむ。ソーダマシンの改良と新レシピについて……という名目で、アルバに会見を申し出ておいたんだが、まだ体調が万全でないと断られた。夕方過ぎになら改めて……との事だ」
この辺は……まあ俺とおっさんは事情を少し知っている。
アルバ本人の弁によれば、どうやらアルバは闇の魔力への依存度が高い為、昼の日が出ている間と夜の闇に包まれている間では、使える魔術から身体的な能力、体格に、性格態度までがガラっと変わってしまう。
昼間は華奢でおどおどした小娘という感じなのが、夕方から夜に向けて体格も肉感的でふっくらとし、また態度口調も堂々とした……ちょいとイカれたゴス女っぽくなる。
なので、対外的に「マヌサアルバ会の会頭」としての役回り、交渉ごとをしなきゃならないときは、必ず日が暮れてから人前に姿を現すので……当然、今の時間に会見を申し出ても断られるのは分かりきっているハズだ。
「いや、そりゃそうだろ。まだ夕方にもなってねえんだし、来るわけねぇじゃんかよ」
と、またも小声でイベンダーのおっさんに聞くと、
「まあな。だが憶測じゃなくはっきりと昼間は表に出てこないと言うことを確認しときたかったんでな」
……うーんむ。まあ、レイフによる調査をサポートする、という意味では、それはそれで必要か。
と、そうしているとイベンダーは、よっ、と掛け声をかけてから立ち上がり、
「よし、JB。取りあえず大浴場にでも行くか!」
と言い、手荷物袋を持ってすたすたと歩く。
「え? あ、まあ、別に良いけどよ。……まあ、じゃあちょっと行ってくるわ」
と、まだ新規ドワーフ合金製品製作商売について思案してるらしいブルに、室内装飾をじっくりと検分しているマルクレイへと手を振ってから俺もおっさんの後を追う。
部屋を出て行くと、おっさんは辺りをさり気なく見回しながらひょこひょこと歩き、手荷物の袋から小さな何かを取り出して、廊下の角に置いてある観葉植物の鉢の中へぽいと落とす。
「おっさん、何やってんだ?」
「ふふん。今のは言わばジャマーよ」
「ジャマー?」
「俺たち全員、それぞれに魔法の装飾品を肌身はなさず持っている。だからこの“白亜殿”の中でうろちょろしていると、マヌサアルバ会の術士達の魔力感知に引っかかり、それがノイズとなって、レイフの使い魔をより見つけにくくする───というのが作戦の一つだよな?」
と。これもまあ、事前に打ち合わせていた策の一つ。
魔力の多いジャンヌやマーラン、入れ墨魔法による風の魔力を身に宿して居る俺の三人は、今言ったようにただこそに居るだけでも目くらましにはなる。ただそれだけではなく、他の面子もそれぞれに武器以外にも魔法の装飾品、まあお守りのようなものを幾つか装備している。
これら全てが、魔力感知にはいちいち引っかかる。木を隠すなら森の中、と言うが、森がないなら植林して新しく森を作っちまえば良い……という理屈だ。
「今置いたジャマーも、まあそれと同じ様に、魔力の波を不規則に起こして魔力感知の精度を下げる。と、同時にこれは、俺とお前さんの魔力の波長へと干渉して、それを打ち消すようにしてより見えにくくさせる」
……んー? つまり俺とおっさんをより見つかり難くさせる……?
「……ちょっと待ておっさん。まさかアンタ……」
いやな予感がするぞ、おい。
「ふふん、当然。こんな面白そうな任務、レイフだけにやらせてはおれんわ!」
……やっぱりか……。
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