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忍れど、五月雨編 第四章
7 先鋒、みるくちゃん!
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特訓場の中庭を、風が吹き抜けていった。見上げれば、照明の群れが煌々と輝いていて、地下空間という事を再認識させられた。
「さあ、始めようか?」
忍は仁王立ちで、挑発するように右手で手招く。
「まずはみるくで出鼻をくじく。おめーらはいつでも行ける準備をしておけ」
三太たちは頷き忍へ視線を飛ばした。
「牛、あれは気づかれないようにしとけよ」
「了解」
不自然に大きなカバン等の荷物を、浩太は何食わぬ顔でベンチの後ろに隠すように置いた。
「おい、みるく。出番だぞ」
ベンチに寝かされているみるくちゃんのふにふにな頬を、ぺちぺちとましろが叩く。
「う、う~ん‥‥‥な~に~? あたしまだ眠いよ~」
「そうか。だが、あれを見て、まだそんなことが言えるか?」
丸くなってぐずる彼女を無理やり起こすと、忍の姿をその正面で捉えさせた。
「‥‥‥お?」
常人では感じられないような忍の微弱な殺気を感じ取ったのだろうか? みるくちゃんの瞳が開き、垂れ気味な大きなそれが敵を認識した。
「とーっ!」
ぴょい、とベンチから離れると、不敵な笑みが咲き乱れた。
「なるほど。やはり、こいつは厄介そうだな‥‥‥」
人外な忍でさえ、みるくちゃんのヤバさに気おされたようだった。彼女の額が、うっすらと輝いている。
「‥‥‥さて、どうしーー」
みるくちゃんを視界に捉えたまま、ゆっくりと抜刀しようとした忍の目の前に、白い塊が殺到していた。
「なっ!?」
そう、みるくちゃんだ。
彼女は地面を一蹴りすると、ふ、と消え去り次の瞬間には忍の懐に飛び込んでいた。
「えい、からのえーいっ!」
ぴくりと動いていた模造刀の柄を右手で押さえつけ、畳みかけるように跳ね上げた左拳が顎を狙う。
ぶおんっ!
「ちぃいっ!」
咄嗟にたーん、とバックステップで距離を取った忍の目の前を、暴走ダンプカーのような風圧が駆け抜けていった。
「お?」
「‥‥‥ったく、バケモンか?」
きょとんとしているみるくちゃんを、人外が冷や汗を垂らしながら睨みつける。
「そっか! 中も大も使っていいんだった!」
「中? 大?」
何のことだ? と訝しんだ表情を浮かべる忍に構わずバケモンが再び消えた。
「いっくよーっ!」
「!」
突然右側から響いた声に、忍が視線を走らせる。
「えい、えい、よっ‥‥‥はあぁあっ!!」
立ち小P ➡ 立ち小P ➡ 立ち中P ➡ 立ち大K!
ジャブ×2は、ががっ、と両手でガードされたが、ストレートがそのガードを吹っ飛ばした!
「やばーー」
忍の視界右側に、ふっ、と白い残像が見えた。
がっ! みるくちゃんの真っ白な左足が、忍の右頬を捉える! 制服のスカートが豪快にめくれたが、文明の利器がしっかりとみるくちゃんのそれをガードしていた。
ごおぉん! 容赦なくそのおみ足を振り抜くと、忍はきりもみしながら吹っ飛んだ。
ぎゅるるるる‥‥‥どがーん!
盛大に土煙が舞い上がり、轟音が反響していた。
「さあ、始めようか?」
忍は仁王立ちで、挑発するように右手で手招く。
「まずはみるくで出鼻をくじく。おめーらはいつでも行ける準備をしておけ」
三太たちは頷き忍へ視線を飛ばした。
「牛、あれは気づかれないようにしとけよ」
「了解」
不自然に大きなカバン等の荷物を、浩太は何食わぬ顔でベンチの後ろに隠すように置いた。
「おい、みるく。出番だぞ」
ベンチに寝かされているみるくちゃんのふにふにな頬を、ぺちぺちとましろが叩く。
「う、う~ん‥‥‥な~に~? あたしまだ眠いよ~」
「そうか。だが、あれを見て、まだそんなことが言えるか?」
丸くなってぐずる彼女を無理やり起こすと、忍の姿をその正面で捉えさせた。
「‥‥‥お?」
常人では感じられないような忍の微弱な殺気を感じ取ったのだろうか? みるくちゃんの瞳が開き、垂れ気味な大きなそれが敵を認識した。
「とーっ!」
ぴょい、とベンチから離れると、不敵な笑みが咲き乱れた。
「なるほど。やはり、こいつは厄介そうだな‥‥‥」
人外な忍でさえ、みるくちゃんのヤバさに気おされたようだった。彼女の額が、うっすらと輝いている。
「‥‥‥さて、どうしーー」
みるくちゃんを視界に捉えたまま、ゆっくりと抜刀しようとした忍の目の前に、白い塊が殺到していた。
「なっ!?」
そう、みるくちゃんだ。
彼女は地面を一蹴りすると、ふ、と消え去り次の瞬間には忍の懐に飛び込んでいた。
「えい、からのえーいっ!」
ぴくりと動いていた模造刀の柄を右手で押さえつけ、畳みかけるように跳ね上げた左拳が顎を狙う。
ぶおんっ!
「ちぃいっ!」
咄嗟にたーん、とバックステップで距離を取った忍の目の前を、暴走ダンプカーのような風圧が駆け抜けていった。
「お?」
「‥‥‥ったく、バケモンか?」
きょとんとしているみるくちゃんを、人外が冷や汗を垂らしながら睨みつける。
「そっか! 中も大も使っていいんだった!」
「中? 大?」
何のことだ? と訝しんだ表情を浮かべる忍に構わずバケモンが再び消えた。
「いっくよーっ!」
「!」
突然右側から響いた声に、忍が視線を走らせる。
「えい、えい、よっ‥‥‥はあぁあっ!!」
立ち小P ➡ 立ち小P ➡ 立ち中P ➡ 立ち大K!
ジャブ×2は、ががっ、と両手でガードされたが、ストレートがそのガードを吹っ飛ばした!
「やばーー」
忍の視界右側に、ふっ、と白い残像が見えた。
がっ! みるくちゃんの真っ白な左足が、忍の右頬を捉える! 制服のスカートが豪快にめくれたが、文明の利器がしっかりとみるくちゃんのそれをガードしていた。
ごおぉん! 容赦なくそのおみ足を振り抜くと、忍はきりもみしながら吹っ飛んだ。
ぎゅるるるる‥‥‥どがーん!
盛大に土煙が舞い上がり、轟音が反響していた。
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