闇の勇者の冒険録

ヴェレナ

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第一章

第六話 救けあい?

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その日は私が床、フェルさんはベッドで寝た。
何でフェルさんは私を守るって言ったんだ?
いや、理由はわかってる。でもフェルさんが私を救けてくれた。フェルさんが居なかったらきっと殺されていた。感謝したいのは私の方なのに。
ーーー。「起きて。勇者さん。」フェルさんのとっても優しい声。ちょっと女っぽい?「フェルさん?」「勇者さん。昨日の事は忘れてください。」昨日の事?私が貴方を守る。ってやつか。忘れたって事にしよう。それから私達は合衆国の大きい国に行こうとした。でも指名手配書が貼られているっ!つまり今すぐ合衆国から出なければならない。なので、朝の早いうちに荷物をまとめて出た。この世界には国境はあるものの、
国の領土ではない土地が沢山ある。それらが全て魔族の土地ってわけじゃないけど。魔獣がうろついていて、うっかり入ったじゃ済まされない程、危ないらしい。「フェルさん。本当に御免なさい。まさか指名手配書があるとは…」
「流石に速すぎる。それにここは魔獣が」その時、獣と思われる重く低い唸り声が響いた。
「ホントに魔獣が!?」どんな見た目?怖い。
「勇者さん、落ち着いて下さい。魔獣は魔法で殺せます。」魔法、、、闇魔法を?使うしか無い。いや、これからも使う事になる。それなら…「来た。あれが魔獣…」私はその魔獣に向けて闇魔法を放った。あぁ怖い逃げたい死にたくない殺してやる私なんかが どんどん負の感情が大きくなる。しかし案外簡単に魔獣は倒せた。
そこで闇魔法を止める。漫画みたいに魔石は落ちないみたいだ。良かった。その日は安全地帯で一夜を過ごした。あぁこの世界に来てから時間の流れが早く感じる。私は本当に必要なのだろうか?何故私なのか。「勇者さん?」「フェルさん。私は本当に必要でしょうか?」しまった。無意識に言ってしまった。この人はこんな私をー
「僕にとって貴方は必要です。そして貴方は勇者という宿命を負った。この世界の為にも貴方は、魔王を倒さなければならない。」
そうだよね。何でそんな事を言ったんだろう。「でもこれは綺麗事。僕は貴方に苦しんで欲しくない。こんな宿命を背負って欲しくない。だから出来る限り僕は貴方を救ける。貴方がしてくれたように。」「違っ私はフェルさんが救けてくれたから。だから今ここに私がいる。だからフェルさんの力になれるようにッ。」「それでも僕は貴方を守る。」何で何で何で何で何で何で何で?なんで?どうしてそこまで?その言葉を飲み込む。これ以上は言っちゃ駄目だ。きっとこれから、私達は救けあって生きていくのだろう。ふと空を仰ぐと、私達を嘲笑うかのような灰色の雲があった。
ーフェルsideー
僕にとって勇者さんは恩人だ。僕を物としか見ていない、あの村から連れ出してくれた。
生きる希望なんてなかった。
いつ死ぬか殺されるか、分からなかった。
でもあの村は僕を殺さなかった。生きる事も、
死ぬ事も否定された。あの村で僕はーーー。
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