5年1組道徳の時間

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5年1組道徳の時間

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「おい!タロウ!」

そう言って、ちょっかいを出してきたのはクラスメイトのハルキ君だ。
ハルキ君は一時間目の休み時間と同じ様に僕にあっち向いてホイをやろうと言ってきた。

「負けたら罰ゲームだ。レナのスカートめくってこい。」

「やめてよ。レナちゃんに嫌われちゃうじゃないか。」

「うるさいなー。オレ様に逆らうってのかよ。」

「そうじゃないけど・・・でも・・」

「だーいじょうぶ!勝てば良いんだから!!」

そういって、ハルキ君はイヤがる僕を相手に無理やりあっち向いてホイを始めた。僕が素早く動くのがちょっぴり苦手だと知っててやってくるんだからイヤな奴だ。

『じゃーんけんポン!』

『あっち向いてホイ!』

「いえぇーい!オレのかちぃ!」

「タロウ!罰ゲームだ!行ってこい。」

最初っから勝てるとわかってたくせにニヤニヤとエロオヤジとヤンキーを足して2で割ったみたいなヤラシイ顔をしながらハルキ君が僕に迫ってくる。

「くそぉ、ハルキくんのクソヤロウめ。おぼえていろ。でも、イヤでしょうがないのにここのクラスメイトにはなぜかイイナリなんだよなぁ・・・」

なんて事をハルキ君に聞こえない様に呟きながらそぉっと、お友達と話すのに夢中なレナちゃんの後ろに回り込む。

(よしっ!)

僕が意を決してレナちゃんのスカート目掛けて手を伸ばそうとした時だ。

『キーンコーン カーンコーン』

授業のチャイムが鳴った。それと同時に先生も入ってくる。

(助かったぁ。)

「チッ」

後ろで舌打ちが聞こえるけど。レナちゃんに嫌われずに済んでよかった。

「はーい、それじゃあ4時間目の授業を始めます。」

4時間目の授業は算数だ。

「はい、じゃあ、この問題をハルキ君やってもらおうかな。」

「は、はい・・・」

さっきまであんなに意地悪だったハルキ君が冷や汗を出している。
僕は知っている。ハルキ君は算数が苦手なんだ。

(いい気味だ。このままさっき僕がやられた分くらい恥ずかしい思いすれば良いのに。)

なんて性格が悪いことを思っていた時だった。

「先生!ハルキ君にはこの問題は答えられません。時間の無駄です。時間がもったいないので僕がやります。」

そういって、感情のこもってない様な声で淡々と前に出て問題を解いたのはクラス委員のユウキ君だ。
ユウキ君はいっつも真面目で人の気持ちなんて考えずに正論ばっかり言ってくるロボットみたいな奴だ。

「正解。さすがユウキ君ね。だけどいくら正しいからってお友達を傷つける様な事を言ってはダメよ?」

「はい。気をつけます。」

ユウキ君が無表情で答える。

『キーンコーン カーンコーン』

「はい。授業はここまででーす。」

4時間目の授業が終われば次はいよいよ待ちに待ったお昼休みだ。
お昼休み前の給食の時間は用事で保健室に行かなくちゃいけないけどその後はみんなとたくさん遊べる。考えただけでウキウキしてくる。

用事を終えて、保健室から教室に戻ると、殆どの男子は外に遊びにいっていて、教室には数人の女子と男子がトランプやかくれんぼなんかをして遊んでいた。
僕は運動があまり得意じゃないし、あそこに入れてもらおう。

「やぁ、ボクもいれてもらっていいかい?」」

「え?あ、あぁ、もちろん!」

ほんの少し戸惑った顔をされたけどトランプの仲間に入れてもらえた。

トランプをしていたのはユウキ君と
レナちゃんたちだった。皆んなは神経衰弱とか言う、すごく簡単なゲームをしていた。

「タロウ君は神経衰弱がすごく得意なんだね。すごいなぁ」

「さすがね、私なんかじゃ勝てないわ。」

「そんなぁ、ふたりにいわれるとテレちゃうなー。」

『キーンコーン カーンコーン』

(友達と遊ぶのは本当に楽しいなぁ、あんな絵柄と場所を覚えるだけのゲームなんて出来て当たり前なのにあんなに褒めてくれるなんてなぁ)

楽しい時間もあっという間。昼休みが終わってまた同時に担任の先生が入ってきた。

「みなさーん、今日最後の授業は道徳の授業。今日1日のまとめです。」

「今日の道徳の授業では、1日を通して最新式のAIを搭載したアンドロイドと触れ合ってもらいました。」

(へぇ、そうだったのか。全然気付かなかったなぁ。)

  「皆さん、普段接している人間のクラスメイトとは違う存在と接してみてどうでしたか?」

無関心な僕をよそに、周りのクラスメイトのみんなは、楽しかっただとか怖かった、接しずらかった、人間と変わんなかったなどと意見が飛び交っていた。

(みんな、いろいろ言っているけど友達ならそれでいいじゃないか)

「皆さん、いろんな意見がありますね。ですが、どの意見が正しいと言うわけではありません。今日の授業を通して皆さんなりの考えを持ってもらえればいいんです。」

(さすが、担任の先生だ。うまく纏める。)

「それでは皆さん、授業の最後に今日一日一緒に過ごしてくれたアンドロイドにお礼を言いましょう。」

担任がそう言葉を発すると、教室中の視点が一箇所に集まる。




「みんなどうしてボクをみるの?」
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感想 1

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みんなの感想(1件)

音/oto
2018.11.14 音/oto

なんか和ましいな…と思って読んでいたのですが、最後のオチでゾクっと来ました。短いですが余韻が残る素晴らしい作品だと思います!それにしても女の子の名前がレナ…僕が書いてる作品の女の子の名前もレナ…奇遇ですね!w

2018.11.14 1011121301

ご感想ありがとうございます!
褒めていただき嬉しい限りです😊
それにしても登場人物の名前が同じとは本当に奇遇ですねw

解除

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