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そこに住むのは・・・
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当時、私は大学生で地元を出てアパートを借りて一人暮らしをしていました。
親元を離れてのはじめての一人暮らし。
貧乏学生だった私が探し回ってようやく住み着いたのは築35年は優に超えるボロアパート。そのアパートは年数もさることながら一階部分を駐車場にした4階建てになっており、住宅街に周りを囲まれたその土地ではボロさと建物の高さも相まって少し目立った建物になってました。
住み始めた1年生の当初はボロアパートながら1DKと一人暮らしにしてはまあまあ広く、私の部屋は一番上の4階にあり、古い建物でエレベーターがなかったので引越しの時や日々の生活での登り降りが大変でしたが、それも考慮されてか家賃も周りの相場と比べだいぶ安かったので特に気にしていませんでした。むしろ、ボロアパートならではともいうべき部屋の状態が問題で、住み始めた当初から風の強い日になると隙間風が吹いたり、扉の建て付けが悪かったり、お風呂が沸きにくかったりとそっちの方に頭を悩ませていました。
そんなボロアパートに我慢しながら住んでいた私でしたが、1年生の冬になると彼女が出来ました。その彼女というのも偶然、地方の出身で一人暮らしをしていたのですが、お互い一人暮らしで門限なんてものも無かったので頻繁に彼女の家で遊ぶようになり、徐々に泊まることも増えていきました。
最初のうちは月に数日だったのが、週に数日になり、徐々に自分の家に帰る時間も減っていきました。それこそ、最初のうちは久し振りに帰宅すると生ゴミが腐っていたり、冷蔵庫の中の物が全てダメになっていたりと酷い有り様でしたが次第にそれすらもなくなり、本来住んでた私の部屋からはすっかり生活感を言うものが消え失せていました。
それからしばらくして、最後にまともに自分の部屋に帰ったのがいつだったか思い出せなくなった頃、彼女と別れてしまい、久しぶりに元の部屋での生活を再開することになりました。
再開したと言っても、その時にはもう4年生になっていた私は、卒業論文や就職活動に追われてしまい、結局部屋にいる時間というものはこれまでと殆どかわりませんでした。
ある日、卒業論文の製作の合間に家に帰って過ごしていた時でした。
シャワーを浴びてリラックスした頃。
「キィ・・・キィ・・・」
玄関から音がしたので確かめに玄関まで行ってみると、玄関の扉の鍵がちゃんと掛かっておらず、それが風に揺られて音を立てているだけのようでした。
「あぁ、またか・・・」
前述でもお話ししましたが古い建物だったため度々このような事が起きていたのです。
この時に私ももう少し気に留めておけばよかったのですが、私の地元は玄関に鍵をかける習慣も無いようなど田舎だった為、さして気になりませんでした。
それからも、間を空けては家に帰るたびに同じような事が起きていました。
そんなある日、卒業論文も佳境に入り、バイトにも追われ、昼夜逆転の生活になり疲れ切って家で寝ていた頃でした。
「キィ・・・キィ・・・」
玄関からまた音がしました。これまでもそれ自体は良くありましたが流石に寝る前には確認してから寝ていたので、寝入った後、夜中に扉の音で起きるなんて事は初めてでした。
「ん・・・」
疲れもあって夢か現かはっきりしないながらもとにかく扉を閉めなきゃという意識だけはハッキリしていて、寝ぼけながらも不思議と玄関まで真っ直ぐ向かっていました。その時、部屋に差し込んでいた光の先に時計があったので目をやると深夜2時を指しており、
(あぁ・・・折角ゆっくり休もうと思ったのに変な時間に起きしまったな)
と思いながら玄関の先まで来ました。
私の部屋の玄関の扉は室内との区切りの所からでも玄関の扉の縁に手をかけて支えにすればドアノブにも手が届くくらい小さな玄関だったのでその時も玄関を下りずに玄関にもたれかかるようにしながら右手を支えにしてドアノブに手を掛けようとした時でした。
ガッッッ!!!
ドアの隙間から私の手首を何か手のようなものが掴みました。
!?!?!?!?
突然の事に驚いて言葉は出ませんでしたが反射的に手を引こうとした時、耳元で何人かの声を合わせたような声でハッキリと
「ナンデココニイルノ?」
と言われその瞬間に私は目が覚めました。
(ハァ・・・ハァ・・・)
(夢・・・・・・・・?)
あまりにの出来事で目が覚めたせいで動悸は止まらず尋常じゃない冷や汗をかいていました。
(ハァハァ・・・フゥ・・・)
しばらくして落ち着きを取り戻した私は夢?の中で時計を見ていた事を思い出し時計を見てみると、丁度同じ時間を指していたのです。とにかく気味が悪く、玄関に行って確かに扉の鍵が閉まっている事を確認した私はそのまま朝まで寝れずに過ごしました。
それからは大学の研究室で寝泊まりをし、卒業と同時に部屋を引き払ったのであの部屋に何が居たのかは分かりません。あくまでこれは私の推測ですが私が部屋を空けている間に何かが住み着いていたのかもしれません。
後日談ですが私を部屋を引き払った後すぐに、アパートの前を通ってみると元住んでいた部屋から住人らしき人影を見ました。それが人間なのか何かなのかは私には分かりません。
親元を離れてのはじめての一人暮らし。
貧乏学生だった私が探し回ってようやく住み着いたのは築35年は優に超えるボロアパート。そのアパートは年数もさることながら一階部分を駐車場にした4階建てになっており、住宅街に周りを囲まれたその土地ではボロさと建物の高さも相まって少し目立った建物になってました。
住み始めた1年生の当初はボロアパートながら1DKと一人暮らしにしてはまあまあ広く、私の部屋は一番上の4階にあり、古い建物でエレベーターがなかったので引越しの時や日々の生活での登り降りが大変でしたが、それも考慮されてか家賃も周りの相場と比べだいぶ安かったので特に気にしていませんでした。むしろ、ボロアパートならではともいうべき部屋の状態が問題で、住み始めた当初から風の強い日になると隙間風が吹いたり、扉の建て付けが悪かったり、お風呂が沸きにくかったりとそっちの方に頭を悩ませていました。
そんなボロアパートに我慢しながら住んでいた私でしたが、1年生の冬になると彼女が出来ました。その彼女というのも偶然、地方の出身で一人暮らしをしていたのですが、お互い一人暮らしで門限なんてものも無かったので頻繁に彼女の家で遊ぶようになり、徐々に泊まることも増えていきました。
最初のうちは月に数日だったのが、週に数日になり、徐々に自分の家に帰る時間も減っていきました。それこそ、最初のうちは久し振りに帰宅すると生ゴミが腐っていたり、冷蔵庫の中の物が全てダメになっていたりと酷い有り様でしたが次第にそれすらもなくなり、本来住んでた私の部屋からはすっかり生活感を言うものが消え失せていました。
それからしばらくして、最後にまともに自分の部屋に帰ったのがいつだったか思い出せなくなった頃、彼女と別れてしまい、久しぶりに元の部屋での生活を再開することになりました。
再開したと言っても、その時にはもう4年生になっていた私は、卒業論文や就職活動に追われてしまい、結局部屋にいる時間というものはこれまでと殆どかわりませんでした。
ある日、卒業論文の製作の合間に家に帰って過ごしていた時でした。
シャワーを浴びてリラックスした頃。
「キィ・・・キィ・・・」
玄関から音がしたので確かめに玄関まで行ってみると、玄関の扉の鍵がちゃんと掛かっておらず、それが風に揺られて音を立てているだけのようでした。
「あぁ、またか・・・」
前述でもお話ししましたが古い建物だったため度々このような事が起きていたのです。
この時に私ももう少し気に留めておけばよかったのですが、私の地元は玄関に鍵をかける習慣も無いようなど田舎だった為、さして気になりませんでした。
それからも、間を空けては家に帰るたびに同じような事が起きていました。
そんなある日、卒業論文も佳境に入り、バイトにも追われ、昼夜逆転の生活になり疲れ切って家で寝ていた頃でした。
「キィ・・・キィ・・・」
玄関からまた音がしました。これまでもそれ自体は良くありましたが流石に寝る前には確認してから寝ていたので、寝入った後、夜中に扉の音で起きるなんて事は初めてでした。
「ん・・・」
疲れもあって夢か現かはっきりしないながらもとにかく扉を閉めなきゃという意識だけはハッキリしていて、寝ぼけながらも不思議と玄関まで真っ直ぐ向かっていました。その時、部屋に差し込んでいた光の先に時計があったので目をやると深夜2時を指しており、
(あぁ・・・折角ゆっくり休もうと思ったのに変な時間に起きしまったな)
と思いながら玄関の先まで来ました。
私の部屋の玄関の扉は室内との区切りの所からでも玄関の扉の縁に手をかけて支えにすればドアノブにも手が届くくらい小さな玄関だったのでその時も玄関を下りずに玄関にもたれかかるようにしながら右手を支えにしてドアノブに手を掛けようとした時でした。
ガッッッ!!!
ドアの隙間から私の手首を何か手のようなものが掴みました。
!?!?!?!?
突然の事に驚いて言葉は出ませんでしたが反射的に手を引こうとした時、耳元で何人かの声を合わせたような声でハッキリと
「ナンデココニイルノ?」
と言われその瞬間に私は目が覚めました。
(ハァ・・・ハァ・・・)
(夢・・・・・・・・?)
あまりにの出来事で目が覚めたせいで動悸は止まらず尋常じゃない冷や汗をかいていました。
(ハァハァ・・・フゥ・・・)
しばらくして落ち着きを取り戻した私は夢?の中で時計を見ていた事を思い出し時計を見てみると、丁度同じ時間を指していたのです。とにかく気味が悪く、玄関に行って確かに扉の鍵が閉まっている事を確認した私はそのまま朝まで寝れずに過ごしました。
それからは大学の研究室で寝泊まりをし、卒業と同時に部屋を引き払ったのであの部屋に何が居たのかは分かりません。あくまでこれは私の推測ですが私が部屋を空けている間に何かが住み着いていたのかもしれません。
後日談ですが私を部屋を引き払った後すぐに、アパートの前を通ってみると元住んでいた部屋から住人らしき人影を見ました。それが人間なのか何かなのかは私には分かりません。
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ボロアパートに住んだことがあるのでしょうか。眼に浮かぶほどリアルな描写で不気味でした。「何か」は元からいたのでなく留守中に住み着いた、というのが新鮮でした。