未知なる世界への愛は伝説に

KiNG

文字の大きさ
3 / 3
伝説の始まり

手懸り

しおりを挟む
数日後   グアテマラ  エル・カオバ


「良い町だね。」

「だな。まずは宿を探そう。」

私たちは、手帳にあった座標を元に中央アメリカにあるグアテマラの北部の町まで来ていた。
宿を探す間、私はおじさんに質問する必要がある。何故かと言うと、私はおじさんの勢いに乗せられここまで来てしまっているからだ。

「それで、宿を見つけたらどうするの。」

「どうするって?お前、宿は泊まる為にあるもんだろ?」

「それは分かってるから!」
「私が聞きたいのは、これからどうするのかって言う事と、この場所に何の繋がりがあるのかって事よ。」

この人は馬鹿なんだろうか。
最初に会った時から薄々思っていたけれど、馬鹿と言うか鈍いと言うか、そのどちらかと言うよりも、もはや両方だろう。

「まずは2つ目の質問に対してだ。」
「数字が示していた座標は、この先にあるティカル遺跡と言うマヤ文明の遺跡だ。」

おじさんによれば、アトランティスの人々はアトランティス崩壊後、世界各地にバラバラになったと言う。そこで、各々が新たな生活環境を築き上げて行き、マヤ文明や他の文明の元となったと言われているらしい。
さっきは、おじさんの事を"馬鹿か鈍い"かと言ったけど、考古学的な面では私の知る限り1番優れている人物だと思う。

「その為、1つ目の質問の答えは、今日はまず宿に泊まって、明日はその遺跡を調べる」

「調べるって言ってもどうやって?」

「それは、まああれだ。行き当たりばったりってやつだ。」

「つまり、無計画ってこと?」

「違うって!これから考える。」

「はいはい。まあ私はその"計画"に着いて行くわ。」

「そりゃどーも。」


翌日

   私たちは、例の遺跡に観光として来ているツアー客に紛れて入る事にした。

   しかし、話は少しずれるけど、私は朝がとても弱い。支度するのも2時間近くかかるし、そもそも支度をし始めるのに短くても30分はかかる。父さんにもよく注意されてたけど、これだけはどうも治らない。
   それよりももっと問題なのは、あのおじさんも朝に弱く、しかも私より弱いと言う事だ。
   私はそんなおじさんを置いて宿の食堂で朝食を食べにいった。

「行き当たりばったりで入った宿だったけど、朝食は結構しっかりしてるのね。」

   私は、サンドイッチとスープ、そしてサラダを頼んだ。どれもボリュームがあってお腹も満足できた。そんな食後の余韻に浸りながら飲むコーヒーは最高に美味しかった。
   しかし、そんな至福のひと時も長くは続かない。
   私が優雅に過ごしている最中、慌ただしくいかにも今起きました。みたいな格好でおじさんが自分の朝食を運びながら起きて来た。

「どうして起こしてくれなかったんだよ。」

「別に、朝食まで一緒に取る必要ないでしょ?」
「それに、全然起きそうになかったし、お腹すいてたから食事を優先したまでよ。」

「腹が減ってたって、だいたい起きて直ぐに腹なんて減るか?」

「2時間よ。」

「何が?」

「私が起きてから、おじさんが起きるまで。」

「2時間!?じゃあ今何時だよ。」

「9時前後じゃない」

私がそう言うとおじさんは時計を見ていった。

「やべぇ!9時10分かよ!」
「ツアー客が遺跡に入る時間まで30分もないぞ!」

そう言っておじさんはパンを口に入るだけ詰め込み飲み物で一気に流し込んだ。

「ゴホッ‼︎ゴホッ‼︎」

「ちょっとおじさん!汚いってば!」

ここでは言えないくらいにテーブルは最悪の状況になった。

「もう、そんなに慌てるからこうなるんだよ。」



『まあまあ、お前さん方!そんなに慌てるなって。』

急に後ろから声をかけられ、私は思わず振り返った。
そこには50から60歳くらいのおっさんが立っていた。
私達がうるさかったのか、それを注意しに来たのかと私は思った。

「あ、すいません。お騒がせしました。」

『おう、別にいいって事よ。それより、ちっとあんたらの話が耳に入って来たから助言してやるよ。』
『遺跡のツアーは中止だとさ。』

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...