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ロク
しおりを挟むあくまでヘルメスにとって平和な3日目も過ぎようとしていた
危険が足音を立てて、寧ろ主張して背後に迫っているが能天気なヘルメスは気付かない
だから同僚に誘われてご飯を食べに行った
ヘルメスの目の視界の端に銀髪がチラチラ写っている
景色の1つとして入っているだけの銀髪
視線を感じた気がしたが3日振り、朝帰りの日を合わせたら4日振りの酒でなかったことになった
酒の力は偉大なり
なかったことにされた視線は本能は受け止め背筋が寒くなる
体をブルリと震わせる
「冷えたエールは堪んないな」
本能までも凌駕する鈍さ
危険察知能力がやばい
今日の薔薇は9本
花言葉は『いつも貴方を思っています』
手紙には『そばにいたい』
ここまでは昨日までと同じ、違うのは実行に移している
エルネストはまだ乙女と恥じらいがあるので稼動率は小さい
等々エルネストに気付かず飲み会はお開きとなった
ヘルメスはほろ酔い気分で家に帰り、寝た
机の上には封の開いてない手紙と部屋の主に顧みられなかった薔薇が静かに咲いていた
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はい、皆さんここでおさらいで~す
忘れてはいけないのがヘルメスにエルネストとの晩酌も閨も記憶はない、反対にエルネストはヘルメスと交わしたや酒や閨、話しの一言一句まで全て記憶している
宰相を務めるだけあって記憶力は頗る良いんだね
だからまさかヘルメスが自分を他人で知らない人、認識すらされてないなんて微塵も思ってない
二人の認識はまさに真逆
エルネストの中ではあの夜はお互い愛を交わしたと想いこんでいる
独り善がりの恋だ
泥酔のヘルメスとほろ酔いのエルネストは自己紹介は済んでいた
済んでいるだけで酔って記憶喪失のヘルメスの中では物理的にも精神的にもなかったことになってる
世知辛い世の中だ
二人は今噛み合わない世界で生きている
そんなエルネストはヘルメスと同じ居酒屋にいた
来ないなら自分が行けばいいと行動に移したのだ
しかしどう声を掛けていいか分からないエルネスト
恋愛初心者のあるあるだ
乙女のように恥じらいチラチラとヘルメスに視線を送る
気付いて声をかけて欲しいエルネスト
そんなエルネストに宰相補はイライラする
28歳の男がモジモジする姿はどんなに美形だろうと張っ倒したくなる
変装した王太子が彼の肩を優しく叩き首を振りエールを差し出す
それを一気に飲み干し気持ちを落ち着かせる
「殿下~。キモいにウザいが加わりました」
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