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ジュウロク
二人は勘違いから始まった恋?だった
更に間違いを犯し捻れて捩れて、乙女になって、ストーカーに、ロマンスチストは元々で、ド鈍いのは誕生した時からなので修整は不可
そんな二人が一夜のイチャイチャにいたったのは浅くて全然深くない理由からであった
それは失恋して泥酔した青年と28歳の乙女心をもった社会に疲れた青年との出会いは人生の新たな2人の黒歴史を刻んだだけのこと
宰相室はある意味イチャイチャなのか修羅場なのか分からない現場になっていた
「君に頭を撫子られた私に衝撃が走った。今まで感じたことのない程に心臓が早鐘を打ち出した。私の愛読書の『貴方に胸キュンキュン全5巻』にこれが毎回恋だと記載されていたので直に分かった」
少女漫画に出でくるパンを咥えて走るヒローイン並の恋愛脳
やべえなあいつ
この国大丈夫か
「拗らせた恋愛脳には生贄を捧げれば万事解決さ」
宰相補にだけ聞こえるように殿下は囁いた
ならばいいかとヘルメスを見て頷いた
そもそもあの時エルネストは心身共に疲弊していた。人は弱っている時優しくされると絆されるのは人間心理の一つでもある
心臓が早くなったの知らない人からの急な接触によるものだ。びっくりしたなぁもうである
エルネストはその時まだ童貞で初恋もまだの恋に恋する青臭い青年でもあった
「私はその手を取り、口付けをして好きだと言ったんだ」
キザだ。乙女ゲームだ。口から砂が出る
それは紛うことなく美形しか許されぬ所業だ
それ未満がやるとかなりの高確率でキモイ、ウザイ、キタナイと罵られ手を拭かれて消毒されてしまう
高確率に入る宰相補とヘルメスはエルネストの告白に『これだから美形はよ。ケッ剥げろ』と心の中でシンクロした
2人の容姿は辞書によればモブ。どこにでもいる。普通。直ぐに曖昧になる容姿
「君は頷いていくれた」
酔っぱらいは取り敢えず頷いただけ
今は正気なので首を横に必死で動かすヘルメス
そんなヘルメスをエルネストはコーヒーに砂糖20杯並の甘さが含まれた視線で見つめた
コヒー味の砂糖でいいだろう
頷いただけで好きだとは返していないが独りよがりの恋の狩人エルネストの中では両思いに認定されていた
「今みたいにヘルメス、君は私に寄りかかり微笑んでくれたね」
ヘルメスの顔は苦笑いを浮かべ引きつっていた
寄りかかっているのではなくエルネストに抱き締められ押しても離して貰えないだけだ
殴る訳にはいかないのでこの現状
あの夜はヘルメスは酒が回り自分で体を支えるのが難しく、丁度良い壁代わりにしただけのことだった
人間楽したい生き物なのだ
今腕の中のヘルメスは自分の行いに青くなったり、赤くなったりしている
「余りの可愛いさに私の中心が疼き、念の為の愛読『愛のワン、トゥー、フィニッシュ全3巻』を実行せねばと烈情を読んだ」
宰相補は今直ぐ帰りたくなった
「ダメだよ」
笑顔で退路を殿下に塞がれた
宰相補は帰りたいけど帰れない
もう飲まずに居た堪れなくて大きな溜息を付く
殿下が琥珀色の液体が入ったグラスを差し出しそれを一気に飲み干した
空いたグラスに酒を継ぎたす殿下が持っているのは50年モノのウィスキー、私お高いのよと言わんばかりのボトルの面構え、実際高い、ヘルメスの給金2ヶ月分はする、だから遠慮なく二杯目に口を付ける宰相補、今度は香りと味を楽しみながら舌に転がす
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