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ニジュウナナ(完)

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 三ヶ月後結婚式は恙無く行われヘルメスが伯爵夫人になったことが世間に知られることとなった
 結婚式まで三ヶ月間、ヘルメスは何度逃亡を謀ったかわからない
 全て未遂で終わりエロいお仕置きをされた
 一番ましだったお仕置きが一日中コルセットにガータベルトだけを装着させられて休日を過ごした変態デーだった
 ヘルメスが男子とはと尊厳を考えさせられる日でもあった
 そしてエルネストの性癖が窺える

 結婚式を終えた後は色々大変だった
 ヘルメスは何の変哲もない子爵家の5男、世の貴族からしたら旨味もないこの結婚、ただ優良物件が掻っ攫われた形となりブーイングが大多数上がった
 勿論子爵以下の者達からは格差婚としてハイテンションで喜ばれた
 但し世間は世知辛く高位貴族からの不満の沢山のお手紙や突撃御宅訪問があったが、エルネストが全て粛清してお友達の殿下やから喜ばれた
 「お前のお陰でハイエナ達が居なくなってゆっくりパーティが楽しめる。兄(国王)も喜んでいたよ。褒美に閨に役立つ大人の色々を贈っておくから是非活用しておくれ」
 とへらりと笑った殿下にヘルメスはちょっと体育館の裏来てもらえますの殺る気を覚えたのだった
 
 結婚後ヘルメスは何をしているかというとエルネストの膝の上にいた
 なんだこれ……
 「えーっと……降ろしてもらえませんか」
 苦言をもらせば
 「問題ない」
 問題しかありませんが………宰相補に助けてと視線を送る
 「ヘルメス君はそのままでいるのが仕事です」
 「仕事?イヤイヤ可笑しいでしょう」
 苦笑いのヘルメスに宰相補は無表情で答える
 「貴方がそこに座ってるとエルネスト様の仕事が5倍速で捗るのです。お陰で定時に帰れて助かります。定時まではそこからトイレ以外の退出は禁止です」
 他の者からも有難がられて供物が誰かれし毎日届きます
 真面目なヘルメスは降りれない……
 ヘルメスの役職は一応秘書だ
 ある意味仕事をスムーズにさせている
 そこに居るだけでそれらしき仕事は何もしていないのだが……
 仕方がないのでヘルメスはためになる本を読んだり、伯爵家の書類を片付けたり、エルネストの膝上でエルネストの仕事振りをぼーっと見たりして過ごしている
 「……ふぁ………すげ~同じ人族とは思えない」
 エルネストの仕事振りは机の上の書類の束が目にも留まらぬ速さで消えて行く様にヘルメスの開いた口が塞がらない
 そんなヘルメスをチラミしたエルネストは仕事中だろうと濃厚なキッスを仕掛けたりして宰相補から氷冷の視線を受けるが気にしない
 宰相補は直ぐに視線を外して何事もなかったように自分の仕事に戻る
 但し呪文みたいに爆ぜろとか萎えろとさ不能になれと唱えている
 居た堪れないのも、恥ずかしいのもヘルメスだけ

 これかもこんな感じで2人は幸せに過ごすのだった
 
 
              終わり


   お読み頂きありがとうございました

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