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朝のひととき
しおりを挟む爽やかに朝は起きたいもの
それが無理ならせめて静かに朝を迎えたいものだとアメリア・フォルストは思う
5年程そのどちらの願いは1日たりとて叶えられた試しが無い
そして寝起きが悪い
物理的作用のせいで
アメリアは15歳の伯爵令嬢
独り寝が出来るお年頃
夜泣きだって十数年前に卒業した
夜中1人でトイレにだって行ける
だから毎日ベッドは1人で使用している
なのに……朝起きと必ず居るんだ
執事が…………
「アメリア様起きて下さい」
アメリアが眠るベッドの中に
「朝ですよアメリア様」
何故布団の中から声をかけて起こす
「んん~ぅぅうん?……」
眩しげに目を開けると同じ枕に頭を沈めている執事が爽やかな笑顔を向けてくる
「おはよう御座います」
「ィィィィイヤアアァァァァァァこの変態がぁ!!」
伯爵令嬢の右ストレートが決まった朝だった
今日も今日とてアメリアの悲鳴がフォルスト家で木霊する
家人は誰も来ない
5年間毎朝続けば慣れたもの
今日もお嬢様は元気だなと思うだけで
執事の名はビオルヘン・タイアート
5年前からアメリア専属の執事をしている
そして物理の元凶でもあった
執事(執事じゃなくても)が床に入るなどあれば普通は牢屋行きだ
だがビオルヘンは毎日欠かさずアメリアのベッドに忍び込む
今日は正面だったが背後をとる時もあるし覆いかぶさっている時もある
伯爵令嬢じゃなくても犯罪だ
即刻牢屋に繋がれるべきである
アメリア限定でしか行われない現象ではあるが被害者であるアメリアからしたら断頭台に送られてしまえと思う
残念ながらビオルヘンは特殊な立場にいる人物な為憲兵に突きだす事も首にする事も出来ないのがアメリアの頭痛のタネである
せめて普通に起こすように言っもビオルヘンは笑顔でお断りを入れてくる
因みにアメリアはその時ビオルヘンにボディーブローを決めている
ビオルヘンを首に出来ないのはビオルヘンの雇い主がこの国の王だからだ
ビオルヘンを憲兵に突き出せないのは王がビオルヘンのお兄様だからだ
ビオルヘンが毎度アメリアのベッドに入っても伯爵から苦情が来ないのは伯爵は長い物には巻かれる性質だからだ
そしてアメリアの婚約者だったりする
因みにビオルヘンがアメリアの執事をしているのはただの趣味である
迷惑なことだ
ビオルヘンはアメリアのベッドに入る前に必ずやっておかないといけない儀式があった
今より少し時間を遡る事30分前
お嬢様を起こすのは専属執事の役目と勝手に思っているのでこの部屋に侍女はいない
さあ儀式の始まりだ
「お嬢様起きて下さい」と声をかける前にアメリアを堪能することはから始める
まず部屋に入りアメリアの匂いが充満した空気を肺いっぱいに吸い込み深呼吸
それが終わるとアメリアの寝顔をしっかり目蓋に焼き付けるまでガン見する
瞬きをしてはいけない
寝てるいるのを確認して髪に顔を突っ込み埋もれてアメリアエキスを体の養分に変換するのだ
猫で言うところの猫吸いだと思って頂こう
これで朝の儀式は終了だ
後はベッドに入るだけ
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