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95 予言の真意
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グッドフェロウの町は、半分が壊滅状態だった。
火の玉の一つがグッドフェロウのごく近くに落ちていた。爆発の衝撃がグッドフェロウの半分を壊滅させていたのだった。
封印魔法を使った壁は魔界の方角にしか存在しない。人間界側に落ちたせいで、もろにその破壊力をくらってしまっていた。
グッドフェロウに直撃しそうだった火の玉の一つはゼビカが破壊していた。処理は一体が限界だったようで、二体目を見過ごしてしまった。
近くに落ちた二体目は、やはり魔獣に似た岩石の化け物で、俺とゼビカで処理をした。
だが、よほどの実力者でなければ、この衝撃は防げないだろう。
闘いの少なくなった現代において、対応できるものは一握りだ。それこそS級の冒険者でなければ無理だろう。
俺は化け物を殺した後、半壊したグッドフェロウの町で救助活動を行った。
あのとき行ったパン屋も、街並みも、がれきと化して何もなくなっている。
「このことだったのか」
《ブーステッド》で体を強化し、つぶれた巨大な建物を持ち上げながら、俺はゼビカに言った。
「何がだ」
「ロイの予言だ」
「……可能性は、高いだろうな。天から降りてきた火の玉に、焼き尽くされた地上……」
ゼビカとファスターは生き埋めになっていた女性とその子どもをつぶれた建物の隙間から引きずり出す。
「『真の魔王』とは、昔の魔王とは別の魔王だった……」
魔王が消滅しようが復活しようが、そのタイミングを測ることはほとんど不可能のように思える。で、あれば『真の魔王』は別の何らかの脅威の比喩だととらえた方が自然か。
「予言は、『焼き尽くされる』の文言で終わっています」
ファスターが俺たちに言った。
「それは、誰にも防げずになすすべもなく滅んでしまう、ということだったのでしょうか」
「だが、俺たちはまだ生きている。それほど大げさなものではなかった」
ゼビカは言う。
「……続きがあるということではないか?」
俺は言いにくいながらも答えた。
「まさか――第二波が?」
「これが序の口だったとしたら、どうだ? 本隊は、もっと大規模で、もっと破壊力があるのかもしれん」
「そんな……こんなものにたくさん降り注がれた日には、被害は甚大どころじゃないですよ。対処だってできない」
俺の言葉に、ファスターが青い顔で口をつぐんだ。
「トントン、これは、どこかの国の攻撃だと思うか?」
ゼビカが俺に聞く。
「……わからん。が、魔族と人間が仲良くしているのをよしとしない国ならば存在しそうだろう。空からあんな化け物を落とせる技術力のある国は、あるのか?」
「ない。少なくとも、人間の国では」
魔界なら可能か? しかし魔王とレジスタンスは関係がなさそうだ。
「ファスター、ほかにロイが残した文献や予言はないのか?」
「あれば、トントンさんに渡しています」
「それはそうか」
日が暮れるまで救助活動を手伝い、俺たちはいったんファスターの屋敷へと帰った。
火の玉の一つがグッドフェロウのごく近くに落ちていた。爆発の衝撃がグッドフェロウの半分を壊滅させていたのだった。
封印魔法を使った壁は魔界の方角にしか存在しない。人間界側に落ちたせいで、もろにその破壊力をくらってしまっていた。
グッドフェロウに直撃しそうだった火の玉の一つはゼビカが破壊していた。処理は一体が限界だったようで、二体目を見過ごしてしまった。
近くに落ちた二体目は、やはり魔獣に似た岩石の化け物で、俺とゼビカで処理をした。
だが、よほどの実力者でなければ、この衝撃は防げないだろう。
闘いの少なくなった現代において、対応できるものは一握りだ。それこそS級の冒険者でなければ無理だろう。
俺は化け物を殺した後、半壊したグッドフェロウの町で救助活動を行った。
あのとき行ったパン屋も、街並みも、がれきと化して何もなくなっている。
「このことだったのか」
《ブーステッド》で体を強化し、つぶれた巨大な建物を持ち上げながら、俺はゼビカに言った。
「何がだ」
「ロイの予言だ」
「……可能性は、高いだろうな。天から降りてきた火の玉に、焼き尽くされた地上……」
ゼビカとファスターは生き埋めになっていた女性とその子どもをつぶれた建物の隙間から引きずり出す。
「『真の魔王』とは、昔の魔王とは別の魔王だった……」
魔王が消滅しようが復活しようが、そのタイミングを測ることはほとんど不可能のように思える。で、あれば『真の魔王』は別の何らかの脅威の比喩だととらえた方が自然か。
「予言は、『焼き尽くされる』の文言で終わっています」
ファスターが俺たちに言った。
「それは、誰にも防げずになすすべもなく滅んでしまう、ということだったのでしょうか」
「だが、俺たちはまだ生きている。それほど大げさなものではなかった」
ゼビカは言う。
「……続きがあるということではないか?」
俺は言いにくいながらも答えた。
「まさか――第二波が?」
「これが序の口だったとしたら、どうだ? 本隊は、もっと大規模で、もっと破壊力があるのかもしれん」
「そんな……こんなものにたくさん降り注がれた日には、被害は甚大どころじゃないですよ。対処だってできない」
俺の言葉に、ファスターが青い顔で口をつぐんだ。
「トントン、これは、どこかの国の攻撃だと思うか?」
ゼビカが俺に聞く。
「……わからん。が、魔族と人間が仲良くしているのをよしとしない国ならば存在しそうだろう。空からあんな化け物を落とせる技術力のある国は、あるのか?」
「ない。少なくとも、人間の国では」
魔界なら可能か? しかし魔王とレジスタンスは関係がなさそうだ。
「ファスター、ほかにロイが残した文献や予言はないのか?」
「あれば、トントンさんに渡しています」
「それはそうか」
日が暮れるまで救助活動を手伝い、俺たちはいったんファスターの屋敷へと帰った。
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