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「……高いな」
正直閉口せざるを得ない値段ばかりであった。
売られている装備品を一通り見てみると十万エイルや二十万エイルなどざらにある。
今の俺の所持金は一万エイルほどなので、まだまだ全然買えない。
「百万、一千万……うおお、三億なんてのもあるだと!?」
さらに高い装備もあったので、俺はそっと一覧を閉じた。
高レベルでないと装備できない強力な装備ほど高いとはいえ、上を見ていたらきりがないな。
ほかには鉄鉱石や食材など、採集や釣りで手に入るアイテムや課金して手に入るペットなどもあり、装備だけではなく様々な物が豊富に揃っていた。
金があればなんでも買える感じだ。船とかもある。いや、逆に船とかまでクラフトで作れるのか。
そして、悟ってしまった。
「手っ取り早くゲーム内通貨を稼ぐ方法は、売買可能な課金アイテムを買って自由市場へ流すことだな」
世の中マネーの力がパワーなのだ。
このゲームは基本無料である。だからやっているというのもあるが、俺は異世界の円通貨などを持っていないからな。課金は不可能である。
魔の国の通貨ならいくらでも持っているのだがな……。
決済方法がないし、たとえ変換できても、少額でもこちらの世界の金を異世界へ流すわけにはいかんだろう。国際問題になったら困る。
とにかく、リアルマネーによる錬金術が使えない今の俺には自由市場で売買するための金がない。
「これは、自分で素材を取りに行って自分で装備を制作した方が早いな」
オオカミの皮から皮鎧が制作できたように、モンスターの素材から装備を作ることができそうだ。もしくは未鑑定品をドロップするか。
マップを開いて狩場を探そう。
冒険者証の地図のマークに触れると、羊皮紙に描かれた地図が出現する。宙に浮いているので地図型のウィンドウだろう。
「……見えん」
大精霊メトルの古代遺跡と周囲の森林地帯は表示されていたが、ほかはなんとなく地形の凹凸がわかる程度で、雲がかかったような感じで表示されない。訪れたことがある場所から表示されるシステムのようだ。
「まあ、周辺資源を採集しながら適当に開拓していくか」
採集物も武器の材料になりそうだしな。
俺はそのへんの草に手を突っ込んでむしってみる。
雑草×4
ランク:★
どこにでもある雑草。クラフトで加工可能。
雑草をドロップ。
「なんの役に立つのか知らないが取っておくか。とにかく採集の自由度はかなり高いと見た」
そのへんにあるいろいろな自然物からアイテムが手に入れられそうだな。
俺は装備を取り出して、茂みを切ってみる。
妙な手応えである。二度、三度と切っていくと――
雑草×4
ランク:★
どこにでもある雑草。クラフトで加工可能。
同じように雑草をドロップ。
なるほどこれは、攻撃することでもアイテムの取得は可能のようだ。
「よくわかった。となると……」
俺はアサギ村を出て、近くにある石を剣で攻撃する。何度か切っていると、アイテムがドロップした。
石材×2
ランク:★
そのへんで採集できる石。クラフトで加工可能。
鉄鉱石×1
ランク:★
鉄を含んだ石。クラフトで加工可能。
そして木。近くにあるトネリコの木を剣で攻撃。これも何度も切っているうちにアイテムがドロップする。
丸太×3
ランク:★
そのへんの木を切り倒して入手できる木材。クラフトで加工可能。
「これは、いいんだが、効率が悪いな……」
時間がかかりすぎてあまりに非効率だ。
俺は携帯用クラフトキットを取り出した。
生産も売りとして謳っているのだ。採集用のピッケルや斧だってあるはずだ。
思いつつ、製作可能なアイテムの一覧を見てみると、やはり採集用のアイテムもあった。
石ピッケル
ランク:★
石材×2、丸太×2
かろうじて石製のピッケルが製作可能だったため、ピッケルをクラフトした。
石ピッケル
ランク:★
採集用装備。
鉱石採集時、採集時間短縮+10%
そしてこの石ピッケルで、さらに石を採掘、そのままピッケルで近くの木をがつがつと突っついた。
手に入った材料で斧を製作。
石斧
ランク:★
採集用装備。
樹木採集時、採集時間短縮+10%
採集用装備を使えば、武器で採集するよりかなり時間短縮になった。
ただ、耐久にやや難があるか。何度か使っていたらもう耐久が半分を切ってしまった。採集用装備は耐久回復不可のようだ。
まあ、作るのは苦ではないし、足りなければこういう装備は増やしていこう。
「どれ、もう少し奥まで進んでみるか……」
思いながら歩を進めようとしたとき、いつの間にか日が沈んでいることに気づいた。
「ゲーム内の時間の流れは、現実より早いな」
体感的に、現実の一時間がゲーム内の一日だ。
夕焼け空がうっすらと見えなくなり、暗くなって星が光り始める。
暗いせいか見通しが悪い。
「遠くが見えないと少々動きにくいな……ん?」
俺があたりを見渡してみると、奇妙な光を見た。
トネリコ林の隙間を縫うようにして川が流れている村の西側、山岳地帯のちょうど谷間あたりにうっすら青白く光る何かがあったのだ。
「……なんだ?」
村からは見えない位置で、ちょうど偶然、俺が立っている位置から見える。見通しが悪いので、青白い光がほんのりあるくらいしか見えない。
青白い光は数秒ゆらゆらと揺れたあと何事もなかったかのように消え失せた。
「気のせい、ではなさそうだな」
いったんアサギ村に戻るとして、また明るくなったところで探索にでかけるか。
正直閉口せざるを得ない値段ばかりであった。
売られている装備品を一通り見てみると十万エイルや二十万エイルなどざらにある。
今の俺の所持金は一万エイルほどなので、まだまだ全然買えない。
「百万、一千万……うおお、三億なんてのもあるだと!?」
さらに高い装備もあったので、俺はそっと一覧を閉じた。
高レベルでないと装備できない強力な装備ほど高いとはいえ、上を見ていたらきりがないな。
ほかには鉄鉱石や食材など、採集や釣りで手に入るアイテムや課金して手に入るペットなどもあり、装備だけではなく様々な物が豊富に揃っていた。
金があればなんでも買える感じだ。船とかもある。いや、逆に船とかまでクラフトで作れるのか。
そして、悟ってしまった。
「手っ取り早くゲーム内通貨を稼ぐ方法は、売買可能な課金アイテムを買って自由市場へ流すことだな」
世の中マネーの力がパワーなのだ。
このゲームは基本無料である。だからやっているというのもあるが、俺は異世界の円通貨などを持っていないからな。課金は不可能である。
魔の国の通貨ならいくらでも持っているのだがな……。
決済方法がないし、たとえ変換できても、少額でもこちらの世界の金を異世界へ流すわけにはいかんだろう。国際問題になったら困る。
とにかく、リアルマネーによる錬金術が使えない今の俺には自由市場で売買するための金がない。
「これは、自分で素材を取りに行って自分で装備を制作した方が早いな」
オオカミの皮から皮鎧が制作できたように、モンスターの素材から装備を作ることができそうだ。もしくは未鑑定品をドロップするか。
マップを開いて狩場を探そう。
冒険者証の地図のマークに触れると、羊皮紙に描かれた地図が出現する。宙に浮いているので地図型のウィンドウだろう。
「……見えん」
大精霊メトルの古代遺跡と周囲の森林地帯は表示されていたが、ほかはなんとなく地形の凹凸がわかる程度で、雲がかかったような感じで表示されない。訪れたことがある場所から表示されるシステムのようだ。
「まあ、周辺資源を採集しながら適当に開拓していくか」
採集物も武器の材料になりそうだしな。
俺はそのへんの草に手を突っ込んでむしってみる。
雑草×4
ランク:★
どこにでもある雑草。クラフトで加工可能。
雑草をドロップ。
「なんの役に立つのか知らないが取っておくか。とにかく採集の自由度はかなり高いと見た」
そのへんにあるいろいろな自然物からアイテムが手に入れられそうだな。
俺は装備を取り出して、茂みを切ってみる。
妙な手応えである。二度、三度と切っていくと――
雑草×4
ランク:★
どこにでもある雑草。クラフトで加工可能。
同じように雑草をドロップ。
なるほどこれは、攻撃することでもアイテムの取得は可能のようだ。
「よくわかった。となると……」
俺はアサギ村を出て、近くにある石を剣で攻撃する。何度か切っていると、アイテムがドロップした。
石材×2
ランク:★
そのへんで採集できる石。クラフトで加工可能。
鉄鉱石×1
ランク:★
鉄を含んだ石。クラフトで加工可能。
そして木。近くにあるトネリコの木を剣で攻撃。これも何度も切っているうちにアイテムがドロップする。
丸太×3
ランク:★
そのへんの木を切り倒して入手できる木材。クラフトで加工可能。
「これは、いいんだが、効率が悪いな……」
時間がかかりすぎてあまりに非効率だ。
俺は携帯用クラフトキットを取り出した。
生産も売りとして謳っているのだ。採集用のピッケルや斧だってあるはずだ。
思いつつ、製作可能なアイテムの一覧を見てみると、やはり採集用のアイテムもあった。
石ピッケル
ランク:★
石材×2、丸太×2
かろうじて石製のピッケルが製作可能だったため、ピッケルをクラフトした。
石ピッケル
ランク:★
採集用装備。
鉱石採集時、採集時間短縮+10%
そしてこの石ピッケルで、さらに石を採掘、そのままピッケルで近くの木をがつがつと突っついた。
手に入った材料で斧を製作。
石斧
ランク:★
採集用装備。
樹木採集時、採集時間短縮+10%
採集用装備を使えば、武器で採集するよりかなり時間短縮になった。
ただ、耐久にやや難があるか。何度か使っていたらもう耐久が半分を切ってしまった。採集用装備は耐久回復不可のようだ。
まあ、作るのは苦ではないし、足りなければこういう装備は増やしていこう。
「どれ、もう少し奥まで進んでみるか……」
思いながら歩を進めようとしたとき、いつの間にか日が沈んでいることに気づいた。
「ゲーム内の時間の流れは、現実より早いな」
体感的に、現実の一時間がゲーム内の一日だ。
夕焼け空がうっすらと見えなくなり、暗くなって星が光り始める。
暗いせいか見通しが悪い。
「遠くが見えないと少々動きにくいな……ん?」
俺があたりを見渡してみると、奇妙な光を見た。
トネリコ林の隙間を縫うようにして川が流れている村の西側、山岳地帯のちょうど谷間あたりにうっすら青白く光る何かがあったのだ。
「……なんだ?」
村からは見えない位置で、ちょうど偶然、俺が立っている位置から見える。見通しが悪いので、青白い光がほんのりあるくらいしか見えない。
青白い光は数秒ゆらゆらと揺れたあと何事もなかったかのように消え失せた。
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いったんアサギ村に戻るとして、また明るくなったところで探索にでかけるか。
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