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50 クランを作る
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ウルミーシュはレンガ造りの街並みが美しい都市だった。到着すると、それぞれ騎乗生物をしまう。
「今後の予定なんだが」
俺はフード太郎とりんに話した。
「クランを作ろうかと思うので、手伝ってくれないか。どう作ればいいのかわからない」
「ああ、そういうことね。きみの作るクランに入ってくれとか言われると思った」
フード太郎は安堵したように言った。
「お前はたぶんもうクランに入っているのだろう? なら戦うほうが面白いに決まっている」
「言うねえ」
フード太郎、うれしそうである。
「ボクは配信用クラン『小手先チャンネル』でやらせてもらってるからなぁ……ごめん、やっぱフェルちゃんのクランには入れないや!」
りんはそわそわしながら、俺の方をちらちら見ながら言った。
「誰も入ってくれなんて言ってないが」
「ええ! カメラ係で採用するつもりなんじゃないの!?」
「いらん」
「りんりんだよ!?」
「るんるんのところ悪いがいらん」
さすがに自分のクランがあるやつを引き抜いたりはしない。そもそもりんは配信メインだろう。プレイ方針が違う。
まずはクランでできることを一通り調べてみる必要がありそうだ。メンバー集めは後でいい。
「クランを作った後は、フィールドボスの『大王熊レグラント』とやらを倒しに行く」
パヴロヴァの話では、ダンジョンのボスであるエリアボスのほかに、オープンワールドの地域ごとにいるボス――フィールドボスが存在している。グランニット王国地域のフィールドボスが、大王熊レグラントとのことだ。
「うーん、それはレベルが足りないと思うな」
フード太郎はあごに手を当てながら言った。
「そうか?」
「推奨レベルは40……グランニット王国地域を出るときの推奨レベルとほぼ同じだよ。でもこれはパーティを組んだ時の推奨レベル。ソロならさらに必要なレベルは上がるだろうね」
「なんだ、なら問題はないではないか」
「言うねえ」
またもうれしそうなフード太郎の案内で、俺たちは冒険者ギルドへとやってきた。
「ここが冒険者ギルドか」
三階建ての巨大な建物で、裏にはバトル用のスペースやサンドバッグ用の巻き藁のようなものが設置されている。
中ではNPCからのクエストの受注が受けられる掲示板がある。
クエストは町中でNPCから受けられるものもあるようだが、こうして一覧にされているのもあるようだ。
フード太郎に言われながら、一階でクランの申請を行う。
「一人でも申請できるのはありがたいな」
「でも大きくしていくには、やっぱり人数が必要になるよ。そもそもクラン戦やりたいなら五人以上は揃えないと。基本集団戦だからね」
「集団戦は、たしかに一人では厳しいな」
「舐めプして負けたらかっこ悪いしね?」
それもそうだし、相手に失礼である。
「ではクランの名前はどうしますか?」
受付の女に言われて、俺は腕を組んだ。
「そうか、名前か……」
俺はしばし悩んで、クラン名を入力した。
「今後の予定なんだが」
俺はフード太郎とりんに話した。
「クランを作ろうかと思うので、手伝ってくれないか。どう作ればいいのかわからない」
「ああ、そういうことね。きみの作るクランに入ってくれとか言われると思った」
フード太郎は安堵したように言った。
「お前はたぶんもうクランに入っているのだろう? なら戦うほうが面白いに決まっている」
「言うねえ」
フード太郎、うれしそうである。
「ボクは配信用クラン『小手先チャンネル』でやらせてもらってるからなぁ……ごめん、やっぱフェルちゃんのクランには入れないや!」
りんはそわそわしながら、俺の方をちらちら見ながら言った。
「誰も入ってくれなんて言ってないが」
「ええ! カメラ係で採用するつもりなんじゃないの!?」
「いらん」
「りんりんだよ!?」
「るんるんのところ悪いがいらん」
さすがに自分のクランがあるやつを引き抜いたりはしない。そもそもりんは配信メインだろう。プレイ方針が違う。
まずはクランでできることを一通り調べてみる必要がありそうだ。メンバー集めは後でいい。
「クランを作った後は、フィールドボスの『大王熊レグラント』とやらを倒しに行く」
パヴロヴァの話では、ダンジョンのボスであるエリアボスのほかに、オープンワールドの地域ごとにいるボス――フィールドボスが存在している。グランニット王国地域のフィールドボスが、大王熊レグラントとのことだ。
「うーん、それはレベルが足りないと思うな」
フード太郎はあごに手を当てながら言った。
「そうか?」
「推奨レベルは40……グランニット王国地域を出るときの推奨レベルとほぼ同じだよ。でもこれはパーティを組んだ時の推奨レベル。ソロならさらに必要なレベルは上がるだろうね」
「なんだ、なら問題はないではないか」
「言うねえ」
またもうれしそうなフード太郎の案内で、俺たちは冒険者ギルドへとやってきた。
「ここが冒険者ギルドか」
三階建ての巨大な建物で、裏にはバトル用のスペースやサンドバッグ用の巻き藁のようなものが設置されている。
中ではNPCからのクエストの受注が受けられる掲示板がある。
クエストは町中でNPCから受けられるものもあるようだが、こうして一覧にされているのもあるようだ。
フード太郎に言われながら、一階でクランの申請を行う。
「一人でも申請できるのはありがたいな」
「でも大きくしていくには、やっぱり人数が必要になるよ。そもそもクラン戦やりたいなら五人以上は揃えないと。基本集団戦だからね」
「集団戦は、たしかに一人では厳しいな」
「舐めプして負けたらかっこ悪いしね?」
それもそうだし、相手に失礼である。
「ではクランの名前はどうしますか?」
受付の女に言われて、俺は腕を組んだ。
「そうか、名前か……」
俺はしばし悩んで、クラン名を入力した。
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