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63 示すべきは強者の道筋
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「そういうこと。私たちの装備や所持品をおとりにしておびき出すってわけ。ランカーのガチ装備なんてお金出しても買えないからね」
「しかしそれで使用者は捕まえられるだろうが、元凶……チートをばら撒いているやつは捕まえられないのではないか?」
俺が言うと、キャロルが困ったようにうなり声をあげた。
「んー、そこね。ばら撒いているやつが日常的にチートを使っているやつならいいんだけど、配布に徹しているなら引っかからないよね」
「捕まえたチート使用者から割れないか?」
「やってはいるけど……この間捕まえた槍使いはもうログインしてないね。カモフラージュとして、本物の下級ポーションを受け渡したり使ったりしてるみたいだし。捕まえたやつら一人一人に聞いていけばいずれは割れると思うけど」
元凶の特定はおいおい、ということになりそうか。
「チートアイテムが通用しないとわかれば、ひとまずの抑止力にはなろう」
モフリアヌスが言った。今は現状わかっている情報から、その対策を講じるしかない。まずはチーター狩りを繰り返し、チートなど通用しないという情報を浸透させることか。
「そういや、さっき運営からアップデート情報が更新されたぞ」
ホノホムラがウィンドウを開きながら言った。
「一カ月後にある大型アップデートと一緒に、グランニット王国地域全域をPK不可エリアに設定し、手配冒険者はそこに入れなくする予定だそうだ」
なかなか腑に落ちない対応である。俺とキャロルは顔を見合わせた。
「それは、まあ初心者に優しいけどさ」
「根本的な解決にはなっていないな」
それでは別の地域に狩場を作られるだけだろう。
ひたすらただのお気持ち表明で終わるよりはいいが、求めているのはそうじゃないのである。
「では、まずは俺や比較的低レベルの者をおとりに使い、チーターを一つ一つ潰していく方向でいくしかないか」
「だね。でもあちらには周囲の冒険者を索敵できる『デミネクタル【千里眼】』がある。囮にかかったら隠れているメンバーが集まってタコ殴りって作戦ができない。かといってランカーが固まっていたら、察知されるし警戒されるよ。フェルヴェッタ君みたいに肝が据わった冒険者とペア組んだりしておびき出し、返り討ちにするしかないね」
俺たちは煮え切らないままうなずいた。まあ、そうやって探っていくうちに元凶もしっぽを出すだろうが……相手の出方をうかがいながらだと先手を打つことは難しいな。
さて、どうするか。俺はしばし考え、それから予想する。
「しかしだ。チート持ちが複数で来たらどうする?」
モフリアヌスが聞くと、キャロルは笑った。
「そのときだって返り討ちにするよ。一人でも対応してみせる」
「だな」
ホノホムラはそれにうなずく。
「そうだな、今後の展開を予測するに」
俺は考えながら答えた。
「もしかしたら決着の時は近いかもしれん。どちらが勝つにしてもな」
「……ほう、なぜだ?」
意外そうにするホノホムラや目をしばたたかせるキャロルたちに、俺は自分の考えを話した。
「……というわけだ」
「なるほど。なら……」
「うむ。今後は展開を急ぐためにも、このように行動してはどうだろうか」
改めて行動する人員を話し合い、皆で頷き合う。
「お祭りが始まるね! そういうの大好き!」
わくわくのキャロルの一言で、作戦会議はお開きとなった。
満足げなモフリアヌスが立ち上がる。
「では今回のホストとして、この言葉で締めのあいさつとさせていただく」
来るのか? また来るのか?
「『すべての道は』!」
「「『もふもふに通ず』!」」
立ち上がったキャロルがノリノリで合い言葉を返し、俺はとっさに同様のセリフを口にする。
ホノホムラが頬杖をつきながらノリについていけなさそうな感じで口を引き結び、それを見守っていた。
「ありがとう、ありがとう」
お礼までがセットらしい。
「しかしそれで使用者は捕まえられるだろうが、元凶……チートをばら撒いているやつは捕まえられないのではないか?」
俺が言うと、キャロルが困ったようにうなり声をあげた。
「んー、そこね。ばら撒いているやつが日常的にチートを使っているやつならいいんだけど、配布に徹しているなら引っかからないよね」
「捕まえたチート使用者から割れないか?」
「やってはいるけど……この間捕まえた槍使いはもうログインしてないね。カモフラージュとして、本物の下級ポーションを受け渡したり使ったりしてるみたいだし。捕まえたやつら一人一人に聞いていけばいずれは割れると思うけど」
元凶の特定はおいおい、ということになりそうか。
「チートアイテムが通用しないとわかれば、ひとまずの抑止力にはなろう」
モフリアヌスが言った。今は現状わかっている情報から、その対策を講じるしかない。まずはチーター狩りを繰り返し、チートなど通用しないという情報を浸透させることか。
「そういや、さっき運営からアップデート情報が更新されたぞ」
ホノホムラがウィンドウを開きながら言った。
「一カ月後にある大型アップデートと一緒に、グランニット王国地域全域をPK不可エリアに設定し、手配冒険者はそこに入れなくする予定だそうだ」
なかなか腑に落ちない対応である。俺とキャロルは顔を見合わせた。
「それは、まあ初心者に優しいけどさ」
「根本的な解決にはなっていないな」
それでは別の地域に狩場を作られるだけだろう。
ひたすらただのお気持ち表明で終わるよりはいいが、求めているのはそうじゃないのである。
「では、まずは俺や比較的低レベルの者をおとりに使い、チーターを一つ一つ潰していく方向でいくしかないか」
「だね。でもあちらには周囲の冒険者を索敵できる『デミネクタル【千里眼】』がある。囮にかかったら隠れているメンバーが集まってタコ殴りって作戦ができない。かといってランカーが固まっていたら、察知されるし警戒されるよ。フェルヴェッタ君みたいに肝が据わった冒険者とペア組んだりしておびき出し、返り討ちにするしかないね」
俺たちは煮え切らないままうなずいた。まあ、そうやって探っていくうちに元凶もしっぽを出すだろうが……相手の出方をうかがいながらだと先手を打つことは難しいな。
さて、どうするか。俺はしばし考え、それから予想する。
「しかしだ。チート持ちが複数で来たらどうする?」
モフリアヌスが聞くと、キャロルは笑った。
「そのときだって返り討ちにするよ。一人でも対応してみせる」
「だな」
ホノホムラはそれにうなずく。
「そうだな、今後の展開を予測するに」
俺は考えながら答えた。
「もしかしたら決着の時は近いかもしれん。どちらが勝つにしてもな」
「……ほう、なぜだ?」
意外そうにするホノホムラや目をしばたたかせるキャロルたちに、俺は自分の考えを話した。
「……というわけだ」
「なるほど。なら……」
「うむ。今後は展開を急ぐためにも、このように行動してはどうだろうか」
改めて行動する人員を話し合い、皆で頷き合う。
「お祭りが始まるね! そういうの大好き!」
わくわくのキャロルの一言で、作戦会議はお開きとなった。
満足げなモフリアヌスが立ち上がる。
「では今回のホストとして、この言葉で締めのあいさつとさせていただく」
来るのか? また来るのか?
「『すべての道は』!」
「「『もふもふに通ず』!」」
立ち上がったキャロルがノリノリで合い言葉を返し、俺はとっさに同様のセリフを口にする。
ホノホムラが頬杖をつきながらノリについていけなさそうな感じで口を引き結び、それを見守っていた。
「ありがとう、ありがとう」
お礼までがセットらしい。
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