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びば学園生活4
「…あ、そう、でしたか。ご迷惑をお掛けして申し訳ございません。」
「うん?気にしなくて良いよ。元々俺のせいだから。」
状況を説明すれば、深々と頭を下げるファビアン。こういう所を見ると、ネコの立場の弱さを実感する。それに手を振って大丈夫だと言えば、何故か驚いた様子で見つめてくる。
自分で身体を拭いててきぱきと衣服を身に付けるファビアンを見て、続きをやりたいと言える雰囲気では無くなっていた。
がっかりした気持ちを悟られないよう、水差しからコップに水を入れて差し出す。物凄く慌てて受け取るファビアンはコップに口をつけず、俺が飲み始めてやっと口をつける。
「…ありがとうございます、シュタルト様。どうか、気の付かない私をお許しください。」
「ん?謝る必要無くない?俺の方が近かったし。…あ、あと。」
「っはい。」
ベッドの上に正座しコップを持つ姿は、まるで小動物の様に見える。勿論、前世にいたら自分だったら御近づきになれない美人だが、今の俺には可愛くしか見えない。
「…俺のことはアルフレッドで良いよ、ファビアン。」
「…!?」
名前で呼んでねー、と軽く言ってみたつもりが相手は何故か固まってしまった。不味いな、何か変なことをしてしまったか?父からタチの心得を教えられてきたが、まだまだ分かっていない事は多い。
不思議に思い相手を見ていると、彼の瞳から流れる滴に驚く。眉を下げてハラハラと涙を流し、手巾で拭う様子に慌ててファビアンを抱き寄せて、優しく抱き締める。
「…ごめん、嫌だったかな?」
「!…あ、違うのです。うれ…しく、て…。でも、もしも夢だったらと…。シュタルト様の一時の遊び心であったらと、思うと悲しくて胸が、張り裂けそうで…。どうか、それならば…冗談であるならば、お捨て置き下さい。貴方様に触れて頂いた事を一生の思い出として、生きて参りますので…。」
涙ながらに語る姿はあまりにもいじらしかった。名前を呼んでも良いとは、プロポーズに近かったのだろうか。てっきり指輪を渡すことだけだと思い込んでた。あー、失敗した。
「…ファビアン。」
「…はい。」
耳元で名前を呼び抱き締めたまま頬に触れ、そっと視線を合わせる。悪いけど、最初から見た目に惚れていたんだ。逃げようとしても、もう逃がせないな。
「…君の綺麗な髪、白い肌、硝子に隠された太陽を映す瞳、透き通った声も、赤い唇も、俺は全部好きだよ。…ファビアンが欲しい。」
「…………シュタルト様…。」
「…アルフレッドだ。」
「…っはい。………アルフレッド様。」
相手の右手を取り、甲に口付け目を細め男タチらしい笑みを向ければ、ファビアンは夢見るネコそのものだ。
「後で俺からの指輪を受け取ってくれるか?」
「っはい、はい。喜んで…!」
*
ファビアンと共に甘い空気の中食事を終え、用事があると別れて向かうはⅠ組。俺の姿にざわつく雰囲気は気にせず、「誰かフェルナンド呼んでくれない?」と言うと、水色の髪の生徒がルークに声を掛けてくれた。
たぶん、ルークのハレムの子だと察する。
顔を見せてくれたルークは何処か行って話すかと聞いてくるが、直ぐに終わるからと返す。廊下にタチが二人居る状況は恐ろしく目立つので、早目に終わらせなければ。
「…あーっと、ちょっと聞きたいんだけど。…ネコに名前を呼ばせるのって良いのか?」
「………ファミリーネーム?」
「や、ファーストネーム。」
一瞬何か考える様子のルークだったが、直ぐに頷き口を開く。
「正室なら大丈夫だよ。一般的に側室以下に呼ばせるのは非常識だけど。」
そういえば、産みの親の側室も父のことは「旦那様」って呼んでたな。妾はどう呼んでたっけ?父の妾は会う機会無かったからなあ。
つまり、正室は名前を呼んでも良い…うん、そりゃファビアンもあんな態度になるよな。
会ったばかりで正室になってーって言われる様なものか。ま、ファビアンは正室にするつもりだから良いか。
「…分かった。急に呼び出して悪いな、確認したかったから助かった。」
「いや、君の助けになったのなら良かった。…そういえば、もう大丈夫なのか?」
先ほどの事を聞かれていることに気付き、曖昧に濁しておく。自分は消化不良だと知られたら、何だか誤解されそうだし。
だけど不味いな。またいつフェロモン撒き散らすか分かんない状況って。早くファビアンを抱きまくりたい。
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