18 / 129
ルーク・フェルナンド視点
シオンチェスターという海に囲まれた小さな島国で産まれた俺は、父はB級、産みの親は第3正室だった。
父のクラスが高かったせいか、第1正室の産んだ次男もタチであり、一族にタチが二人居る珍しい家だった。貴族である父は兄と俺を連れて、社交界を経験させてくれた。
第1正室の産んだD級の兄、第3正室の産んだA級の弟。ネコと異なり、家格以上に重く見られるクラスは、自然に兄との軋轢を生んだ。
妬ましげで恨めしそうな瞳。お前が産まれなければ、タチは自分だけだったのに…と面と向かい言われた事もある。家の雰囲気としては、俺を後継者として見ていると察していた。
だが、5歳上の兄を思う。第1正室の子で、タチとして産まれた。他の家ならば、文句なく後継者として生きていけた筈だ。俺が産まれた為に、2番手に甘んじることとなった。それ以上に、兄には家を大きくしたいという意欲が有り、俺は正直そこまでの情熱は無い。
というより、国を出て広い世界を見てみたい。騒がしくまとわりついてくるネコも好きじゃないけれど、フェロモンを抑える為にハレムは必要だと知っている。数少ないハレムを連れて、世界を旅してみたい。そう思っている。
俺は12歳、兄は17歳の年の初め。一族の集まる場所で、父の前へと進み出た。
「…父上に申し上げたいことがございます。」
「ふむ。どうしたね?ルーク。」
一族全ての目が自分に集まっていた。
「私は来年より、今の中等学校から学園都市ケラフを受験したいと思っております。その後は、シオンチェスターを出て自分の屋敷を持ち暮らしたいです。」
室内が騒然とする。父は何を言われたのか分からないと言いたげに、自分の顎髭を撫でながら此方を見据える。産みの親はただ静かに座っているだけ。事前に俺の考えを聞いて、驚く程すんなりと受け入れてくれていた。
「…ケラフを受験するのは良いが、お前に譲った子爵の地位と領地はどうする?」
「返上致します。私は何も要りません、身一つで生きていきます。」
ううーむ…と父は呻いた。家を出たいという俺の考えを受け入れ難いのだろう。
A級の俺が家を継げば、名門のネコが喜んでハレムに入り、家を大きく出来る。小国の中流貴族が、4大国へ進出出来るかもしれない。
「…お前は、フェルナンド家を捨てると言うのか。」
「申し訳無く思います。お許し下さい。」
許してはくれなかったが、最後に諦めてはくれたらしい。深々と頭を下げて、 その日より後継者では無くなった自分。「お前は馬鹿なのか」と心底呆れていた兄には、ただ「家をお願いします」とだけ告げた。
*
意気消沈した父からは親として、ケラフに入るまでの準備はして貰えた。子爵の地位は返上し、成人したら屋敷を出ていく旨も了承させた。家には頼らず、タチとしての補償金で生活するつもりだ。今までの生活とは違い、本当に身一つとなった自分に笑ってしまう。
中等部に入学してからは、家で生活していたよりも穏やかな日々になった。自分の入った貴族科のネコ達は、よく弁えており熱心に関わろうとはしてこない。
だからといって、思春期を迎えた今フェロモンを抑えるのは難しい。その為、同じクラスのルキウス・キケロを正室へと選んだ。普段の様子を見ていて、群れたりせず品も良く感情の起伏も少なく落ち着いているからだ。
正室への誘いの声を掛けると、本当に喜ばれたので内心罪悪感に襲われる。自分にとって、都合の良い存在にしようとしてしまった。
多少の反省と共に、将来世界を見て回りたいと伝える。嫌ならば、逃がしてあげよう。そう思った。
「…素晴らしいお考えです。その時は、是非私もご一緒させて下さい。」
瞳を輝かせるルキウスに、初めてネコへの情が芽生える。もしかしたら、一緒に生きてみたら楽しくなるかもしれない。
そう思った矢先、指輪を渡した日に予想外の事を告げられた。ルキウスの正式な名は、ルキウス・キケロ・バルディオス。バルディオス帝国の第一皇子で、弟にタチが産まれるまでは跡継ぎだと言う。
窮屈な世界に生きる人、そのものだ。流石に自分の為に全てを捨てろとは言えまい。
此所で直ぐに別れを告げては相手に傷がつく…そうだ。ルキウスに相応しいタチを探してやろう。
そう、決心した。
あなたにおすすめの小説
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
聞いてた話と何か違う!
きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。
生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!?
聞いてた話と何か違うんですけど!
※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。
他のサイトにも投稿しています。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。