異世界には男しかいないカッコワライ

由紀

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びば学園生活17



丁度良くウェイターから案内されてきたファビアンに気付き、軽く手を振ると嬉しそうに振り返してくれる。そんな反応に癒されつつ、前の席へと座る相手から話し始める。

「お待たせしまして、申し訳ありません。アンリから聞きましたが、午後にチコさんのお見舞いに行かれるのですね。」
「ああ、うん。意識も回復してきたみたいだから。」

それは良うございました…と顔を綻ばせるファビアン。アンリはラティーフのことは言ってない、よな。そのアンリはエドウィンの所へと行っているらしく、他の護衛の姿があるだけだ。
言うなら早い方が良いと思い、簡単にラティーフをハレムに入れることを説明する。

一瞬目を丸くするが、ラティーフを知っていたのか一人納得している様子だった。

「シャヒーン君ですね。確か、今は中等部の生徒中央会副会長だったかと思います。」
「へえ、そうなんだ。もしかして顔見知りだった?」
「はい。私自身、昨年中等部で生徒中央会に所属しておりましたので…。」

おおー。流石はファビ。真面目で成績も優秀だもんな。…いや、というか顔見知りがハレムに入るって嫌じゃないのかな?
ウェイターから説明されるメニューを見ながら、果実水の入ったコップに口をつけるファビアンを観察する。表立つ感情は読めないが、 特に嫌だといった風では無い。…筈。

説明の終えたウェイターに、気になった料理をいくつか注文する。この学園では、様々な国や地域、文化圏や味付け、香辛料にも対応されていて、種類も幅広い。食事は大事だからな。

例えば俺の住んでいた地域や、ジルックェンド連合国では主食はパンが多く、魚介や山菜が多く好まれる。バルディオス帝国ではパンよりも芋類がメインで、主菜は肉料理が多いらしい。
米が主食となるのは神聖国家フォーランで、甘い果物の種類が豊富なのはセリアル国だという。

元日本人の俺としては米が食べたいという気持ちは合ったが、味覚的には大分この世界に慣れてきた。タチとして産まれてから、害の無いきちんとした食材で調理された物しか食べていないし。
むしろ、寮の最上階から遠くに広がって見える露店が滅茶苦茶気になる。あの肉の串焼きとか、薄い生地で包んで巻かれた奴とか食ってみたい。雑で手軽なジャンクフード万歳。

…むしろ行くか?周りはお坊ちゃま達で誘いずらいなーと思ってはいたが、遊べるのは学生の間だけ。来週はバルディオスに行く予定もあるし、今週行くか?よし行こう。







ゆっくり楽しんだ食事を終えて、食後の珈琲を楽しんでいる時に休みの予定を聞いてみる。

「…休みですか?そうですね、初めの二日間は国へ戻りますが、三日目からはまたケラフに戻るつもりです。」

なるほど、と相槌を打つ。
食後のデザートにと薦められて頼んだチーズケーキは甘過ぎるが、ベリー系の酸味のあるソースで少し緩和されている。多くのネコは甘い物を好むので、これは大多数の好む味なのだろう。
ファビアンを見れば、小さめのチョコレートケーキとシューケーキが乗ったお皿から、一口食べては幸せそうに頬を緩めている。

「そっか。じゃあ、もし良ければ1日俺に時間をくれないか?」
「はい?」
「ケラフの街を見て回りたいんだけど、ファビが案内してくれたら楽しいだろうと思って。」

俺の言葉に手を止めたファビアンは、そわそわと手を膝に置いてアルフレッドへ目を合わせられない。少し目元も赤くなっている様に見えた。

「…それは、他の方と一緒にでしょうか?」
「え?勿論二人でだよ。あー、護衛も居るから二人じゃないのか…?」

ファビアンが言う他の方…とは、ハレムの者を指しているのだが、アルフレッドの感覚と差異が生じている。それでも、アルフレッドの言い方で自分とだけ行ってくれると気付いたファビアンは、次第に安堵の笑みが溢れていた。

「…嬉しいです。是非、ご案内させて頂きます。」

え?可愛くないか?

その笑顔に不思議と目が奪われ思わず立ち上がると、座ったままキョトンと此方を見上げる相手の側に行き、ぎゅうっと抱き締める。

「…あ、アルフレッド様?!」

慌てて声を上げるものの、抵抗する素振りの無いファビアンの体温を感じ、何だか安心した。

「気にしないで。…君への想いが溢れそうだったから、うん。少しだけ、こうさせて。」
「???」

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