異世界には男しかいないカッコワライ

由紀

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※びば学園生活22



「…悲しいなあ。」
「…!?」

何故か自然とそんな言葉が溢れていた。

腰掛けていたソファーから腰を浮かし、未だ赤い顔で此方を見上げる正室を見下ろし笑みを深める。アルフレッドの発言に戸惑い、何か言おうと開く口は塞がれる。重なる唇に、薄く開かれた場所から侵入する舌で呆気なく口内は暴かれてしまう。
室内に響く水音に唇から溢れる吐息。離れた唇から、酸素を求め息を荒げながら、困惑する瞳に視線を返す。酒気帯びた息と、普段よりも高い体温は自分でも普通だと思えない。

自分が自分を抑えられない。

「…あ、アル…フレッド、様…?っ…!」
「これが君に挿入ってたんだよな…。」

手にしたディルドを横目に、部屋の隅に放り投げる。腕をエドウィンの背に差し込み、そのまま身体を倒すと抜いた腕を顔の横に置き、鼻が触れてしまいそうな程近く戸惑う表情を見つめる。
じっと見つめていれば、耐えきれなくなったのか僅かに逸らされる視線。ただ、拒否というよりも恥じらいに近いのか、頬の赤みは消えない。

「今日は使わせてあげない。」

右の口端を持ち上げて意地悪そうに見下ろす。理性が切れてしまったのか、脳内はぼんやりと思考を彷徨わせる。それでも身体も言葉もお構い無しで、好き勝手に自我を持っているようだ。
瞳を揺らす相手の頬を両手で挟み、しっかりと目を合わせて「綺麗だ…」と呟く。

これほど酒を飲む機会は今まで無かった。普段の自分ならば、僅かにエドウィンへの境界線を引いていた筈だ。隠していた本音が溶けていく。高揚したような夢うつつの様な…そんな心地だ。

「…何で我慢出来てたんだろう?俺の大事な愛しい人。俺にとって君は憧れで、清廉で気高くて、何だか触れて汚してしまうのが、きっと躊躇われたんだ…。馬鹿だよな。」

相手が息を呑むのが目に映る。何かを言いかけるその唇に口付け、頬に、額に、首筋に…と何度も唇を落としていく。肌けた胸元に手を滑らせ、鍛え抜かれた胸板を撫できめ細かい肌触りを堪能する。
時折震わせるエドウィンの身体は、ネコとしての快楽を求めその色香でタチを誘う。胸の突起は赤く熟れて色付き、バスローブ越しの下半身も淫らに膨らんでいた。

既に寝台に移動する余裕すら無かった。アルフレッドの放つフェロモンに呼吸も浅くなる正室は、淑やかに振る舞う余裕も失う。高まる双方の熱に、阻むことなど出来ない。

「さ、触って…もっと触れて、下さい…痛くても良い、何しても…貴方になら、何されても、いい、からあ…!」

潤む瞳から溢れる雫。鼻を啜って、幼子の様に顔を歪めて、タチへと抱き付いた。正室は寵を強請ってはならない、夫よりも年上なのだから甘えてはならない、騎士なのだから自制し高潔であらなければ…。家では弟達の模範となって、親の期待に応えて、「尊敬しています」「キャベンディッシュ様の様になりたい」と言う後輩の見本となり…。
フェロモンで当てられて考えが纏まらない。何で自分ばかり我慢してるんだ?何故同じ正室のデルヴォー伯爵は可愛がられてるんだ?どうして私よりも側室の方が一緒に居られるんだ?

「…何で…もっと、私だって…一緒に居たいのに!」
「………うん。俺も、好きだよー。」

ぐすぐすと涙を流して頬を擦り寄せる姿は、常のアルフレッドには衝撃を与えた事だろう。だが、良いのか悪いのか双方共思考は定まっていなかった。
強く抱きしめ合う上半身から、次第に片手をエドウィンの下腹部に移動する。ネコにしては存在感を放つモノは、先走りで既に濡れそぼる。ゆっくり次第に強く摩ったり、揉んだり亀頭を引っ掻いて、相手の唇から洩れる甘い声に酔いしれる。

「…あ、駄目。そこ…んっじゃ、な、く…てえ…。」
「ん?…じゃあ、何処が良いの?」

手の動きは緩めず、耳元に唇を寄せる。
耳に当たる吐息すら快楽に繋がる身体は敏感で、それでも力の入らない両腕を叱咤して夫から何とか離す。震える手を伸ばし、相手から与えられる刺激に息を荒げながら、双丘の間の蕾を探し求める。

エドウィンの一物をやわやわと揉みしだきながら、相手の指先へと視線を辿らせる。ひくつく淫美な孔を、人差し指と親指で押し広げられる。思わず手を止めて、可愛らしい入口を凝視する。
タチの本能には抗えない物で、相手の手を退けて自らの指を近付ける。すんなりと此方の人差し指を飲み込む蕾に、中指を増やす。抵抗無く侵入する薬指、小指と共に中を掻き混ぜる。

「…はあっ…あっ…んん…もっ…っ!」
「うわ…あっつ。俺の手、溶けちゃいそう。」

真っ赤な顔と身体で、普段整った銀髪は乱れて蕩けきった瞳とままならない呼吸。
喘ぐ口を塞いで、舌を絡めあう。どちらの口内か分からない程、熱が交差する。広がる孔から指を抜いて、昂ってはち切れそうな自身を近付ける。日頃から準備を怠らなかったからか、呆気ない程スムーズに進入していく。

「やべ…気持ち良すぎる!うわ、ごめ…腰止まらね…」
「…んっ…嬉し、です!あっ…アル、フレッド様あ…」

余裕無く腰を動かすタチへ、初めて受け入れる痛みも苦しみすらも、喜びに変わる。
好きな人が、愛する人が自分の体で感じてくれている。腸内を押し上げる熱くて硬い物。一度膨らんだ物から、熱い液体が中へと注がれる。極上のタチから注がれる愛の証。いずれ、子どもを作る大切な行為となるだろう。

あまりの良さに、アルフレッドも精を放って直ぐに腰が揺れてしまう。ラティーフと無遠慮に本能のままに行ったのと、ファビアンと丁寧に行ったのと…ジレスと行きずりで行ったのと違う。
引き抜こうと腰を浮かすアルフレッドの腰に手を回して、眉を下げて扇情的に見上げる瞳はあまりにも艶やかだ。

「…もう少しだけ…このままで…。」
「……いや、可愛い事言ってると、馬鹿なタチに襲われるぞ?」

硬度を増す繋がったままの下腹部は、既に二回目への期待で臨戦態勢だ。痩せ我慢に奥歯を噛み締めるアルフレッドへ、年上の正室は浮かされる熱が未だ冷めぬまま。

「…背の君。どうか、襲われたい愚かなネコをお許し下さい…。」

はい。許します。
喉を鳴らし、終わらぬ夜を察するばかりだ。



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