異世界には男しかいないカッコワライ

由紀

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びば学園生活23




「…しぬ…」
頭いってええええ…。気持ち悪い……。
浴室で冷水のシャワーを頭から浴びて、酒臭い自分の匂いを取ろうと身体中を乱雑に洗っていく。朝起きて驚いた事は、従者から伝えられた「エドウィン様は朝の鍛錬に出られました」だった。

俺、うん、やっちゃったんだよね。夢じゃねえんだよ。3発いっちゃってる筈。記憶が確かならね!もしかしたら、もっとヤってるかも。
エドウィン怒ってる?絶対怒ってるよね?なんなら精力に引いてるよね?

シャワーを止めて、浴室から出ると素早く身体を拭っていく。とりあえず下着、シャツ、ズボンを身に着けて、髪の水気を拭ってから形を整え終了。
生まれ変わって、初めての2日酔い。あれだけ飲んでこの程度で済んだだけマシだろう。学校なんか行ける訳無い。いやいや、2日酔いでサボりとかあり得ねえわ。

座ってしまえば二度と立ち上がりたくなくなると思い、心配そうな従者達に礼を言ってから自室へと戻った。あのベッドを片付けてくれるんだよね、ほんっとにありがとう。お風呂場も、体調悪さに結構散らかしっ放しで出たよ、ごめんなさい。
もし言葉に出していたら「とんでもない」と返されるだろうし、彼らにとっては仕事内容の一部だ。





寮の自室へと辿り着いた頃には力尽きていたのだが、扉の前を見て休めない事を察する。少し俯き加減なアンリ、直立不動のジレス。一瞬ファビアンに知られてしまったのかとヒヤリとしたが、もし話しが通っていたら更に大事になるのだから…きっと大丈夫。

「!…お帰りなさいませ。」
「あ…お、おはようございます。」

表情を引き締めるジレスに、既に目を潤ませるアンリの対照的な2人へと「おはよう。」と挨拶を返す。自然な流れで部屋へと入るアルフレッドに続く2人と数名の使用人。
ソファーに崩れ落ちたい衝動は堪えて、死ぬほど休みたい気持ちも押し込み、冷静に制服を身につけていく。黙ってそれを見守っていた2人だったが、ネクタイを結び終えた瞬間口火を切った。…因みに、使用人からの着付け等の手伝いは基本的に遠慮している。

「…この様な時間に申し訳ありません。しかし、先伸ばして良いのか思案し…」
「あー、うん。それより、聞きたい事があるのかな?」

睫毛を伏せ深々と頭を下げるジレスには悪いが、平静を保つ表面上とは異なり身体は頭痛と吐気で余裕が無い。さっさと本題に入ってしまおうと、相手へ続きを促す。

「はい。…明け方に慌しげな家の物を見掛けて事情を聞いた所、旦那様がフィッツ家で兄ケールに会われていたと知りアンリに伝えに行った所、アンリが狼狽しながら兄からの折檻を受けた事、旦那様に知られた事を言うもので…。」

続いて「私もあまりに寝耳に水だったもので。どうしたら良いかと迷い、ファビアン様にお伺いした方が良いかと思ったのですが…。」
「…え?ファビに言っちゃった?」
「いえ、旦那様に直接確認せず動くのは浅慮かと思いまして。」

よし!良い子だ。流石は仕事の出来る俺の側室つま
遠回しの相手の言い方で理解出来る。ジレスとアンリが知りたいのは、ケールと話した内容。アンリの為に動いたのか?自分の為に俺を動かせてしまったのか?ケールから不快な思いを受けていないのか?何を話して、どう纏まったのか?…って感じだな。

本来なら理路整然と話したい所だけど、正直酔い明けの頭が回らない。体調悪さに勢いで変な事を口走ってしまうかもしれないし。というか、ケールよりもエドウィンとの諸々しか思い出せない。

「…悪いけど、今は話せない。少し、頭の中を整理して置く時間が欲しいんだ。」

本人は気付いて居なかったが、気分の悪さで眉根を寄せて目を伏せた表情が、周りには妙に意味深に映っていた。ますます表情を固くするジレスは、青い顔で俯くアンリを横目に見てから「承知致しました。」と頷く。
目線を上げて2人をチラと確認してから、ファビアン含む他の関係者には聞かれても何も言わない様に言い含めておく。

その場に控える使用人にも重ねて声を掛けると、何度も頭を下げて了承を返してきた。
この状態のアンリには悪いが、今は誰の相手も出来無い。本気で。今は1人にして欲しいと頼むと、ジレスが直ぐに動いて使用人を追払い、アンリを連れ出して行ってくれた。

「うああああああ~…しんど。吐く…駄目だ、吐いたら終わる…ううう。」

もたれかかったソファーから気合を入れて立ち上がり、扉に寄り掛かる。
でも耐え切ったよ俺。みんなの前で体面保てたわ。
寄り掛かった扉から離れるのにはかなりの時間を要したが、結果的には寮を出て学校へ向かう事には成功したのだった。


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