異世界には男しかいないカッコワライ

由紀

文字の大きさ
53 / 126

びば学園生活23

しおりを挟む



「…しぬ…」
頭いってええええ…。気持ち悪い……。
浴室で冷水のシャワーを頭から浴びて、酒臭い自分の匂いを取ろうと身体中を乱雑に洗っていく。朝起きて驚いた事は、従者から伝えられた「エドウィン様は朝の鍛錬に出られました」だった。

俺、うん、やっちゃったんだよね。夢じゃねえんだよ。3発いっちゃってる筈。記憶が確かならね!もしかしたら、もっとヤってるかも。
エドウィン怒ってる?絶対怒ってるよね?なんなら精力に引いてるよね?

シャワーを止めて、浴室から出ると素早く身体を拭っていく。とりあえず下着、シャツ、ズボンを身に着けて、髪の水気を拭ってから形を整え終了。
生まれ変わって、初めての2日酔い。あれだけ飲んでこの程度で済んだだけマシだろう。学校なんか行ける訳無い。いやいや、2日酔いでサボりとかあり得ねえわ。

座ってしまえば二度と立ち上がりたくなくなると思い、心配そうな従者達に礼を言ってから自室へと戻った。あのベッドを片付けてくれるんだよね、ほんっとにありがとう。お風呂場も、体調悪さに結構散らかしっ放しで出たよ、ごめんなさい。
もし言葉に出していたら「とんでもない」と返されるだろうし、彼らにとっては仕事内容の一部だ。





寮の自室へと辿り着いた頃には力尽きていたのだが、扉の前を見て休めない事を察する。少し俯き加減なアンリ、直立不動のジレス。一瞬ファビアンに知られてしまったのかとヒヤリとしたが、もし話しが通っていたら更に大事になるのだから…きっと大丈夫。

「!…お帰りなさいませ。」
「あ…お、おはようございます。」

表情を引き締めるジレスに、既に目を潤ませるアンリの対照的な2人へと「おはよう。」と挨拶を返す。自然な流れで部屋へと入るアルフレッドに続く2人と数名の使用人。
ソファーに崩れ落ちたい衝動は堪えて、死ぬほど休みたい気持ちも押し込み、冷静に制服を身につけていく。黙ってそれを見守っていた2人だったが、ネクタイを結び終えた瞬間口火を切った。…因みに、使用人からの着付け等の手伝いは基本的に遠慮している。

「…この様な時間に申し訳ありません。しかし、先伸ばして良いのか思案し…」
「あー、うん。それより、聞きたい事があるのかな?」

睫毛を伏せ深々と頭を下げるジレスには悪いが、平静を保つ表面上とは異なり身体は頭痛と吐気で余裕が無い。さっさと本題に入ってしまおうと、相手へ続きを促す。

「はい。…明け方に慌しげな家の物を見掛けて事情を聞いた所、旦那様がフィッツ家で兄ケールに会われていたと知りアンリに伝えに行った所、アンリが狼狽しながら兄からの折檻を受けた事、旦那様に知られた事を言うもので…。」

続いて「私もあまりに寝耳に水だったもので。どうしたら良いかと迷い、ファビアン様にお伺いした方が良いかと思ったのですが…。」
「…え?ファビに言っちゃった?」
「いえ、旦那様に直接確認せず動くのは浅慮かと思いまして。」

よし!良い子だ。流石は仕事の出来る俺の側室つま
遠回しの相手の言い方で理解出来る。ジレスとアンリが知りたいのは、ケールと話した内容。アンリの為に動いたのか?自分の為に俺を動かせてしまったのか?ケールから不快な思いを受けていないのか?何を話して、どう纏まったのか?…って感じだな。

本来なら理路整然と話したい所だけど、正直酔い明けの頭が回らない。体調悪さに勢いで変な事を口走ってしまうかもしれないし。というか、ケールよりもエドウィンとの諸々しか思い出せない。

「…悪いけど、今は話せない。少し、頭の中を整理して置く時間が欲しいんだ。」

本人は気付いて居なかったが、気分の悪さで眉根を寄せて目を伏せた表情が、周りには妙に意味深に映っていた。ますます表情を固くするジレスは、青い顔で俯くアンリを横目に見てから「承知致しました。」と頷く。
目線を上げて2人をチラと確認してから、ファビアン含む他の関係者には聞かれても何も言わない様に言い含めておく。

その場に控える使用人にも重ねて声を掛けると、何度も頭を下げて了承を返してきた。
この状態のアンリには悪いが、今は誰の相手も出来無い。本気で。今は1人にして欲しいと頼むと、ジレスが直ぐに動いて使用人を追払い、アンリを連れ出して行ってくれた。

「うああああああ~…しんど。吐く…駄目だ、吐いたら終わる…ううう。」

もたれかかったソファーから気合を入れて立ち上がり、扉に寄り掛かる。
でも耐え切ったよ俺。みんなの前で体面保てたわ。
寄り掛かった扉から離れるのにはかなりの時間を要したが、結果的には寮を出て学校へ向かう事には成功したのだった。


しおりを挟む
感想 65

あなたにおすすめの小説

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話

みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。 数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています

七瀬
BL
あらすじ 春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。 政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。 **** 初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...