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※真夜中II
室内の物音に細心の注意を払いながら、部屋の扉の取手へ手を掛けた。ふいに背中へと当たる固い無機物に息を止め、静かにその手を下ろす。
滅茶苦茶こええわ。
「…えっと、何でしょうか。」
『…………』
背後の気配に何とか言葉を投げ掛けるが反応が無く、少し考え共通語からバルディオス帝国語へ切り替える。
『あの、何で背中に刃物?当てているのかな。』
『…ドコニイク。』
あー、なるほど。さっきの今で、部屋を出て行くのは怪しく見えたか。
『誰かに口外しなければ、自由に行動するのは良いんじゃ無かったのかな?』
『…ダメダ。アサマデヘヤイロ。』
朝まで部屋を出るな?…いやいや、何でだよ!
試しに幾つか質問をしてみても、部屋から出さないの一点張りである。相手の言い分として、此処で俺が言う通りにすれば今後の行動の制限はしないらしい。
よく分からない理由だが、もしかしたら別の人間がルークやルキウスを狙っているのではと思ってしまう。ならば、余計に気持ちは落ち着いていられなかった。
『…あの、お手洗いに行きたいんだ。直ぐ戻るから。』
『ヨゴレテナイ、手アラウイラナイ。』
遠回しな物言いが、相手の言語能力との差で上手く通じなかったらしい。今度は『トイレへ行きたい』とハッキリ伝える。
『ココデダセ』
「何処にだよ。」
思わず共通語で吐き捨てた言葉と共に、項垂れながら自身の下半身に意識が向いた。実は膀胱には問題無いのだが、別の生理的欲求が解消出来ていない。
何で萎えないで反応しっぱなしなんだ愚息よ…?でも、意識してどうにか出来ないんだよな。
『…部屋を出ないから、入り口に居る護衛に頼んで俺の側室を呼びたいんだけど。』
『ナニデ?』
もう無理だ。ジレスなら、他のネコより体力がある筈だから呼ぼう。エドウィンは何処に居るか分からないしな。ファビは暗殺者君が居る限り危険に巻き込めない…。
この場で呼ぶなら自分の身を守れそうな騎士科二人…。
『タチの生理的欲求を解消させて欲しい。』
『…アア。リカイシタ。』
此方の返答に少し考えた相手は、スッと下半身を見下ろしてくる。何となく身構えると腕を掴まれ、よろけそうになりながら引っ張られて着いて行くと寝台の前。
『…えーっと?』
我慢して寝ろって事?
視線を上げると、相手は身に付けていたローブと顔に巻かれた布を脱ぎ捨てて行く。原理は分からないが、脱いだ物は床の影に溶け込み消えてしまう。なるほど、彼自身も影の中に入って姿を消してるのか…と推測した。
身軽な姿になった暗殺者は、想像通りの麗人。思わず見惚れた瞳が近づいて来て、身体ごと寝台へと引きずり倒される。
アルフレッドが反論する間も与えず、あっさりと下穿きを膝辺りまで下され下半身が露わにされた。
『…ま、待って?!少し待とうか?』
慌てて上半身を起こし、それでも萎えず上向く竿に内心呆れながら直ぐ隠そうと近くの布団へと手を伸ばす。だが、相手の唇が陰茎の先に触れ身体が硬直する。
「嘘だろ…おい。」
『…レンシュウノ物ヨリ、スゴクオオキイナ。』
共通語で呟く焦りなど知らず、暗殺者の口が開くとそのまま口に咥えてしまう。口内の温かさと唾液の粘度に、嫌でも芯を持つ男根。少し苦しげに眉を潜める相手は、吐ずく事すら無く口内の肉棒を喉元まで何度も出し入れする。
やっべ…めっちゃ気持ち良い…。
見下ろした先の扇状的な光景に目を奪われる。小さな口がいっぱいに含んだ岐立は膨張し、先走りは相手の喉へと流れていく。褐色の指先が竿の根本を撫でたり優しく摩り刺激に余念が無い。
口内を出し入れする水音は次第に早くなり、膨張は限界を迎え勢い良く放たれる。受け止められた子種は一滴も漏らさず、褐色の喉元を嚥下され赤い舌が唇の端を舐め取る姿は淫靡だった。
はあ…とどちらとも無い吐息で我に返る。
マジかよ…初めてされるフェラが知らん相手、以前にルークを殺しに来た奴とか。
『…マタ、オオキクナテル?』
『はい。何かごめんなさい。』
時間を置かず猛る愚息は悪くないんだ!空気を読めないんじゃない…いつも通りなんだよ。もういい、せめてトイレへ行かせてくれよ!
ハレムの者以外と行う現状への罪悪感に項垂れると、耳に入る衣擦れの音に視線を送る。腕に彫られた独特な入れ墨以外、身に付け無い艶やかな褐色の肌が露わになる。細い腰元も形の良い臍も、タチを嫌でも誘ってしまうだろう。
呆気に取られるアルフレッドの隣に横たわり、自ら両膝を抱え見せ付ける秘部を顎でしゃくる。
『マンゾクスルマデツカエ。』
頭が沸騰しそうだ。駄目だ、これはおかしな状況なんだ。芯を持つ自身に意識が向きそうになる。知らない内に、今やフェロモンも放出してしまっているらしい。狂った現状に、理性が吹っ飛びそうだ。
変化の無かった相手の頬に、今は赤みが差しているのが理由だ。
『一回じゃ無理だ。駄目、今始められないよ。興奮し過ぎてる。』
『?クラスタカイタチ、5カイオワリトキイタ。マンゾクマデスレバヨイ。』
5回…5回で終われるのか?
正直言うと、自分の限界を知らない。ネコには優しく紳士的に、ずっとそう意識をしていた。体力のあるエドウィンやジレス相手だって3回を目処に止めて、ファビアン相手には気遣って程良く切り上げたに過ぎない。
『ドウセスグオワル。タイシタコトナイ。』
高を括った発言は、裏の世界の者として様々な訓練をした矜恃なのだろう。
その一言が、最後の一押しをしてしまったと知らずに。
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