102 / 129
いざバルディオス帝国XlV
「…ルキウス皇子?」
今、抱いて欲しい…って言ったか?
色々重なってしまったのが理由だったが、ルークとの話し合いを後回しにしてはいけなかったようだ。
「えーっと?少し、落ち着こうか?」
そう言う自分自身が落ち着いていなかった。
内心の焦りを隠せ無いまま、ルキウスに近付く。辺りを見渡し、ベッドにある毛布を素早く取って相手の肩に掛けてやる。
「……抱いて、下さい。」
まつ毛を伏せて、もう一度同じ言葉を繰り返すルキウス。
「それは、君の意思?」
「…………。」
試しに問いかけるが、肯定とも否定とも取れる無言。
これが全く違った状況なら、身体を重ねるのもやぶさかでは無い。何と言っても、ルキウスはファビアンとも張れる程美人だ。泣き腫らした潤んだ瞳と唇は色香を放っている。
タチの性なのか、つい相手の胸元や見え隠れする太腿に目が行ってしまう。
待て待て、流石に他人のネコに手を出せねーわ。
「…理由は知らないけど、朝にあんな話しが出た訳だ。ルークと何か拗れてるだけだよな?もう一度、2人で話してみたらどうかな。」
「話しは、もう終わったと仰ったのです。」
「え…?どういう…」
「…離縁するのは決定事項だと。私に、皇子なのだから良い伴侶が必要だろう…と。『アルフレッドは、一度関係を持てばその後も見捨てない。今すぐ、抱かれて来い』と。」
はあ?!何だそれ?
確かに、ラティーフの様に関係を持ってから始まった相手も居るが。ルークに対してふつふつと怒りが湧くが、直ぐにそれがスッと冷める。
ルキウスに対して悪感情があるなら、黙ってさっさと離縁すれば良い。それか、新しい正室を迎えて優遇すれば良い。態々俺の前で離縁する話しを持ち出したのと、ルキウスを送り込んで来た事。
座り込むルキウスの手元に目を落とす。薬指に光る指輪はそのままで、込み上げる涙を堪えるいじらしさ。抱きしめてあげたい程だ。
大方、俺がルキウスを哀れに思って相手をするのだと目論んだのだろうか。
…俺だって、弟のミカエルがハレムに入るとしたらルークなら安心出来ると思った。もしかしたら、ルークも似た様に考えたのかもしれない。
部屋の壁を意味無く見つめ、じっくりと思案する。
勢いのままルークに怒りをぶつけても、解決出来ない気がする。話し合いも朝のように逃げられたら終わりだ。ならば。
「…ルキウス皇子。」
「はい。」
「ルークの所に行こう。」
「え?」
此方の声掛けに覚悟を決めた表情が、一転驚きに変わる。「でも…」「あの」と戸惑う相手へ安心させる様笑みを浮かべた。
「少し試してみようと思う。上手くいかなかったら、また別の方法を考えるよ。何も言わずに付き合って欲しい。」
「はい。…お任せ致します。」
頷くルキウスを連れ、寝室を出ようとするが足を止める。ネグリジェ姿の皇子を振り返り、少し待ってくれと言い自分だけ部屋を出る。
寝室の前室に控えていた使用人を呼び寄せ、部屋と廊下の人払いをする。それと、呼んでほしい人物への声かけも頼む。
「お待たせ致しました、アルフレッド様。」
「来てくれてありがとう。助かったよ。」
「いえ、それで一体…」
時間も経たずにやって来たエドウィンに安堵する。ルークの部屋まで行くのに、ルキウスと2人きりは不味いと判断したまでだ。正室のどちらかと頼んだので、特にどちらでも構わなかった。
のんびりしてもいられないので、現在の状況を簡単に説明する。
エドウィンは寝室に居るルキウスの姿に驚いていたが、自分の着ていた羽織りを手渡し何か話し掛けていた。仕える国の皇子の悩ましい姿を見たのだから、冷静では居られないだろう。
反対に世話をされ慣れているらしいルキウスは、恥じらいも無く自然に受け入れていた。
「じゃあ、行こうか。」
部屋を出ると、人払いを済ませた廊下は最低限の護衛以外の姿は無く静かだ。
ルキウスの案内により、着いた部屋の扉を開ける。室内に見える従者を手招きし、室内から主人以外の人を出て行かせる様に伝える。
更に1人の護衛には「外で待機して、ルークが部屋から出たらどんな事でもして足止めしてくれ」と頼む。かなり怯んでいたが、俺の命令だと言うと最後は受け入れてくれた。
「失礼する。」
ノックもせずに少々乱暴に扉を開ける。
窓際に座るルークが此方に気付き、緩慢な動作で顔を向けて来た。
「…ああ、アルフレッド。終わったのか?」
朝方の彼と同様に、読めない表情だった。だが、僅かに下がる眉に悲しみを感じ取る。
…やっぱりな。ルキウスの事、諦められないんだろ?
あなたにおすすめの小説
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
王道学園のモブ
四季織
BL
王道学園に転生した俺が出会ったのは、寡黙書記の先輩だった。
私立白鳳学園。山の上のこの学園は、政財界、文化界を担う子息達が通う超名門校で、特に、有名なのは生徒会だった。
そう、俺、小坂威(おさかたける)は王道学園BLゲームの世界に転生してしまったんだ。もちろんゲームに登場しない、名前も見た目も平凡なモブとして。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
※第33話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
聞いてた話と何か違う!
きのこのこのこ
BL
春、新しい出会いに胸が高鳴る中、千紘はすべてを思い出した。俺様生徒会長、腹黒副会長、チャラ男会計にワンコな書記、庶務は双子の愉快な生徒会メンバーと送るドキドキな日常――前世で大人気だったBLゲームを。そしてそのゲームの舞台こそ、千紘が今日入学した名門鷹耀学院であった。
生徒会メンバーは変態ばかり!?ゲームには登場しない人気グループ!?
聞いてた話と何か違うんですけど!
※主人公総受けで過激な描写もありますが、固定カプで着地します。
他のサイトにも投稿しています。
BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください
わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。
まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!?
悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。
事なかれ主義の回廊
由紀菜
BL
大学生の藤咲啓嗣は通学中に事故に遭い、知らない世界で転生する。大貴族の次男ランバート=アルフレイドとして初等部入学前から人生をやり直し、学園で出会う無愛想で大人顔負けの魔法の実力者であるヨアゼルン=フィアラルドと親友になるが、彼に隠された力に翻弄され次々と襲ってくる災難に巻き込まれる。終いには、国家の存続を揺るがす大事件にまで発展することに・・・
転生したら乙女ゲームのモブキャラだったのでモブハーレム作ろうとしたら…BLな方向になるのだが
松林 松茸
BL
私は「南 明日香」という平凡な会社員だった。
ありふれた生活と隠していたオタク趣味。それだけで満足な生活だった。
あの日までは。
気が付くと大好きだった乙女ゲーム“ときめき魔法学院”のモブキャラ「レナンジェス=ハックマン子爵家長男」に転生していた。
(無いものがある!これは…モブキャラハーレムを作らなくては!!)
その野望を実現すべく計画を練るが…アーな方向へ向かってしまう。
元日本人女性の異世界生活は如何に?
※カクヨム様、小説家になろう様で同時連載しております。
5月23日から毎日、昼12時更新します。