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※さて囚われ日和
ちゅぷ…ちゅぷ…
卑猥な音がその場に響き渡る。
下腹部の違和感に意識が浮上する。
開けた視界に入る無機質な天井。様々な大きさの石と塗り固められた泥で出来てるらしき壁。
「………」
座っている態勢なのか、固い背中と尻が痛い。
下腹部の違和感と同時に、喧しい叫び声が耳に入る。
「おい!触るな無礼者!っぐう…気持ち悪い!離れろ離れろ離れろ…ゔぉ…うっ~~…おええええ…」
フレデリク…王子?!
やっと頭が覚醒する。
少し離れた場所で、床に臀部をつけた状態で後ろ手に縛られた腕と動けぬ様に固定された足。
その股の間で、フレデリクの逸物を喉深くまで咥える誰か。
盛大に胃の中の物を撒き散らした相手を気にする素振りも無く、必死な様子で奉仕を続けている。
フレデリクの反応も無理も無い。見知らぬ相手だからでも、訳の分からない場所だからでも無い。
焼け爛れた顔半分と薄汚れた傷だらけの身体。鉄製の首輪以外は何も身に付けていなかった。
視線を他に移せば、離れた場所で幾人かの同様の状況を目にする。
あれは…ユミル王子じゃないか?それと…
自分の股の間から聞こえる水音を思い出し、背中に汗が滲む。嫌でも気付いていたが、本能がそれを拒否していたのだ。
覚悟を決めて視線を落とした。
此方を見上げる、媚びを含む卑屈な視線と交差する。
思わず込み上げてくる吐き気を堪えていた。相手の右目にある筈の目玉はポッカリと空洞があるばかり。その下から顎にかけての傷は、深く膿んでいる箇所すら有り見ているだけ痛い。
そして、鉄製の首輪と傷だらけの裸体。
そんな相手の姿を目にして、勃つ物も勃つ訳が無い。
懸命に此方を伺いながら舌を這わせる姿は、更にアルフレッドの気分を悪くするに足りた。
「…もう、止めてくれ。」
此方の呟きに、一度ビクリと身体を震わせる。
「…あっ、ごめっごめ、な、なさい!あの、あ、あの…めをとじ、とじ…てくくくだ、くだ…さい。」
震えたまま、目玉の無い空洞と左目から涙を流している。
どう見ても何かを恐れているようで、周囲に目を彷徨わせる様子は異常だった。
言葉は拙い共通語。ナンバーナインの事を思い拙いバルディオス語かと想像したが、目の前の人物は操る言語は異なっていた。
「目を閉じる?」
「…はい、っはい。わ、わたし、きたな、ない…の、のでっみないで、きれいな、な…ひとを、そうぞうしっして、くだ、さ…さい。」
ひゅっと息を呑んだ。
汚いから綺麗な人を想像しろ…だと?
相手の必死な笑顔に、苦虫を噛み潰した様に顔を歪める自分に気付く。
「良く分からないけど、目の前に見える君以外を思い浮かべるのは難しいな。すまない、一度離れて欲しい。聞きたい事がある。」
「…っは、い。」
怯えながらも言う事を聞いてくれた相手は、アルフレッドの衣服を簡単に直してから少し後ろに下がった。
良かった!流石にぶら下げたままはキツかったからな。
手足も動かせないし、たぶんフレデリクと同じ状況ってことだよな?
もしもこの場で状況を客観的に見られた者がいたとしたら、捕えられた者達の状態をこう説明しただろう。
騒ぎ立てるフレデリク王子は両腕を後ろ手に拘束され、足もその場で固定され動かせぬ姿。
意識の目覚めないユミル王子はお腹の前で両手首を纏められ、その股の間で奉仕を受けている。目覚めれば足は自由が利きそうだ。
ギー公爵は片方の足首だけを鎖で繋がれており、両の腕は自由が利いていた。
アルフレッドはと言うと、後ろ手に背中で纏められた腕と実は両足は自由であった。
尻がいてえ…。
直接触れる床の硬さに眉が寄るが、そんな事は二の次だ。
目の前で震えたまま、四つ這いで深く叩頭した姿勢で此方を伺う相手。
色々と疑問はある。たぶん、あのまま連れ去られたのだろう。理由を聞いても答えてくれるかは分からないが、とりあえず話しはしてみるべきか。
「此処は何処なんだ?」
「………。」
まあ、予想通りだな。
この子は命令されてる側だろうし。
「バルディオスから連れて来られたのは、此処にいる者だけ?」
「……いえ。」
お?!返事した!
うん?それは言っても構わない…とか。
「それは、誰?いや…ネコも居るのか?」
「……はい。」
「!その中に、ファビアン・デルヴォーは居るか?」
「………え、い、いなか、ったと、おも、おもう、ます。」
知らず張っていた肩の力が抜けた。相手の言葉は信用出来る物では無いが、多少は周囲へ目を向ける余裕が生まれる。
「タチは全員此処に集められている?」
「はい。」
これは本当っぽいな。全く淀みが無かったし。
4大国の王子が2人も居る時点で、人質としてはかなり価値がありそうだ。
でも、あの端っこに居るのギー公爵だよな?
セリアルのユミル王子。
ジルックェンドのフレデリク王子。
バルディオスはギー公爵?何か格が低く無いか?
俺って何で誘拐されたんだ?
自分で言うのも何だが、クラスが高い以外特に身分とか無いぞ?
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