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「みずうみ」川端康成

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 変態が出てきます。それもかなりの変態です。犯罪レベルの変態でした。びっくりしました。どうしたらこんな人物が書けるのか、もしかしたら川端氏が変態なのだろうか、そうでなければ周りに変態がいて、その人と同居でもしていたに違いないと勘ぐってしまうほどの解像度で、生きた変態がいます。

 しかしその変態も、よくよく読み進めて話を聞いてみれば、なんだか心情も思考回路も理解できてくる不思議、なのです。
 これが文章の神髄ではないでしょうか?
 知らない遠いはずの世界を、まるで体験しているかのように眼前に突きつけられ、脳に叩き込まれるということです。全く違う人生を、体はここにありながら、まるで次元の中に放り込まれるという体験です。
 それでも、私たちは元の場所に戻って来られるのです。なぜなら編まれた物語には、最後があるからです。

 なんて安心な異次元トリップでしょうか!
 変態体験はこちら!
 「みずうみ」をご覧ください!
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