38 / 45
第一部 街亭の戦い
27話 決断 震える筆は愛弟子を闇に捨て 猛将の誇りは泥道を往く
【撤退の雷鳴】
「黒い旗」の報告がもたらした戦慄が、幕舎の空気を重く支配していた。
我々の議論を、主座で目を閉じたまま黙して聞いていた丞相・諸葛亮が、ゆっくりと目を開いた。
その瞳には、もはや迷いはなかった。あるのは、千尋の谷底を見据えるような、深く、冷たい覚悟のみであった。
「……全軍、撤退戦に移行せよ」
静かな一言だった。だが、それは雷鳴よりも激しく、幕舎に激震を走らせた。
「なっ……!?」 「撤退、ですか!?」
将たちがざわめく中、床を蹴るようにして魏延が前に進み出た。
「待たれよ、丞相! 何故だ!」
魏延は地図上の街亭と、その南にある略陽を指で叩いた。
「馬謖が敗退したとして、敵は所詮、一万の軽騎兵ではないか! 対する我ら本隊は無傷。数万の余力がある! 再度軍を差し向け、略陽付近で迎撃し、撃退できる!」
魏延の主張は、戦術的には正論であった。数で勝る我々が、補給を持たぬ敵を包囲殲滅することは、造作もないことだ。目の前の敵を恐れる必要などない。
だが、諸葛亮は首を横に振った。
「ならぬ」
その声は、魏延の熱気を氷点下まで冷やすほどに冷徹であった。
「確かに、目の前の張郃軍は一万に過ぎない。だが、魏延殿。あの『黒い旗』の意味を。あれは、魏という国家が総力を挙げて動いている証左です」
諸葛亮は、地図の彼方、長安から洛陽へと続く広大な領域を羽扇で示した。
「おそらく、張郃の後方には、既に十万を超える援軍が殺到しているでしょう。そして、その後方にも、さらに十万。魏は、我らの数倍、いや十倍の兵を容易に用意できる国力を持っているのです」
諸葛亮は、我々全員を見渡して告げた。
「我らが小国・蜀をもって大国・魏に勝利するには、ただ一つ。『民を味方に付け、魏から時と糧を奪う』しかない。正面からの消耗戦は、自滅への道です」
「し、しかし! ここで引けば、涼州の民はどうなる! 漢室の威光は!」
食い下がる魏延に対し、諸葛亮は悲痛なまでの現実を突きつけた。
「……たとえ、ここで張郃を撃退し、その後に続く十万の軍をも奇跡的に打ち倒したとしよう。 だが、その時、我々に何が残る? 矢は尽き、糧は消え、兵は傷つく。余剰のない我らに、その先はないのだ」
廷内は、死のような沈黙に包まれた。
諸葛亮は、自らの胸に手を当て、搾り出すように語った。
「魏延殿。今の我らにとって、勝利とは毒杯に等しい。 勝てば勝つほど、我らの物資は削られ、兵は疲弊する。 だが敵は、無限の湧き水のごとく、次々と新しい軍を送り込んでくる。 我らが最後の矢を射尽くし、最後の米を食い尽くした時……そこに待っているのは、もはや撤退すら許されぬ、完全なる包囲殲滅のみだ」
諸葛亮は、羽扇を膝に置いた。
「私が守るべきは、一時の勝利ではない。蜀漢という法の継続である。 ……全軍、撤退せよ。これは、丞相命令である」
その言葉は、今回の北伐の「敗北宣言」であった。
だが同時に、将来の再起のために、今この瞬間の屈辱と痛みを飲み込むという、指導者としての極限の決断でもあった。
魏延は拳を震わせ、何かを叫ぼうとしたが、諸葛亮の悲壮なまでの眼差しに射抜かれ、言葉を呑み込んだ。彼もまた、将として理解してしまったのだ。ここで戦えば、俺たちは英雄として死ねるかもしれないが、国は滅びる、と。
私は、地図の上で輝いていた勝利の夢が、急速に色あせていくのを呆然と見つめていた。
【氷の機械と、泥の矜持】
撤退の決断を下した直後、丞相・諸葛亮の纏う空気は一変した。
それまでの苦悩や迷いは霧散し、代わりに現れたのは、国家という巨大な機械を動かすための、感情を持たぬ、機械ような冷徹さであった。
「伝令。隴西襄武県城を攻囲中の呉班将軍に告げよ。攻囲を即時中止、速やかに撤退に移行せよ。ただし、撤退路はこの冀県城ではなく南下、岐山へ向かうよう指示するのだ」
丞相の指先が地図の上を滑る。冀県城に集結させれば、追撃された際に混雑し、狂乱する恐れがある。兵を分散させ、敵の狙いを絞らせないための処置だ。
「北方、武威へ向かった高翔将軍には転進を命じよ。直ちに略陽へ向かうように。高翔軍が側面から牽制する動きを見せれば、追撃する張郃軍は足を止めざるを得まい」
そして、丞相は魏延に向き直った。
「魏延将軍。貴殿には、出陣準備中の騎兵八千で、直ちに北へ向かって欲しい。騎兵ならば略陽城まで一日の距離だ。現在、敗走しながら交戦中の王平軍を救出せよ」
魏延の顔が歪んだ。
喉元まで出かかった「なぜ俺が」という言葉を、彼はギリリと奥歯で噛み潰したようだった。念願の長安急襲を目前で取り上げられ、代わりに命じられたのは、敗軍の救出という最も損な役回りだ。その双眸には、行き場のない憤怒の炎が燻っていた。
「ただし」丞相は、魏延の憤りを承知の上で、あえて鋭く釘を刺した。
「仮に王平軍の救出が間に合わねば、略陽城を死守せよ。張郃軍に一粒たりとも糧を与えてはならん。奴らの弱点は飢えだ。城を守ることが、最大の攻撃となる」
そして丞相は、魏延の目を射抜くように見つめた。
「この混乱の中、張郃の鋭鋒を受け止め、全軍の壁となれる将は……蜀広しといえど、魏延、貴殿をおいて他にない」
その言葉に、魏延は鼻を鳴らし、ふてぶてしくも傲岸な笑みを浮かべた。
それは丞相への反発ではない。「結局、最後は俺に頼るしかないのだろう」という、猛将としての強烈な自負と、綺麗な作戦が破綻した後の泥拭きを引き受ける、一種の諦観にも似た覚悟であった。
「……ふん。致し方あるまい。泥水啜る汚れ役も、この魏延でなければ務まらぬということか」
彼は短く吐き捨てると、拱手した。
「承知仕った! 雑兵どもは任せておけ!」
魏延が弾かれたように幕舎を飛び出していった。その背中は、納得がいかぬ怒りを全身に漲らせながらも、己にしかできぬ死地へと向かう、凄絶な背中であった。
丞相の白い顔から、一気に、そして完璧な秩序をもって命令が発せられていく。 私はその姿を見ながら、背筋に冷たいものが走るのを禁じ得なかった。
(孔明は……奇襲による勝利だけでなく、この最悪の敗戦の事態も、あらかじめ詳細に想定していたと言うのか)
勝つための策だけではない。負けた時にどう傷を浅くし、どう生き残るか。その撤退の道筋までもが、彼の頭脳の中には既に完成された図面として存在していたのだ。
神算鬼謀と人は呼ぶが、その正体は、あらゆる可能性を網羅し、最悪の事態に備え続ける、人間離れした「悲観的な準備」の結晶であった。私は友の底知れぬ深淵を覗き込んだ気がして、戦慄を覚えた。
しかし、私には、長史として、そして友人として、どうしても聞かねばならぬことがあった。 全ての部隊への指示が終わった一瞬の静寂の中、私は恐る恐る口を開いた。
「……丞相。馬謖参軍は、いかがいたしますか?」
街亭で包囲され、敗走した馬謖。彼への救出命令が、まだ出ていない。
その名を耳にした瞬間、丞相の筆がピタリと止まった。
その表情に、一瞬だけ、人間らしい戸惑いと、肺腑を抉られるような苦悩の影が走ったのを、私は見逃さなかった。愛弟子を見捨てるのか、それとも危険を冒して救うのか。法と情が、彼の胸中で激しく火花を散らしたはずだ。
だが、その迷いは瞬きする間に消え失せた。 丞相は顔を上げると、氷のように冷酷な声で告げた。
「……捨て置け」
「なっ……!?」
私は耳を疑った。
「馬謖の軍は既に瓦解している。彼を救うために兵を割けば、本隊の撤退が遅れ、全軍が危険に晒される。……彼が自力で戻らぬ限り、助ける術はない」
それは、「法」による切捨てであった。軍令を破り、敗北を招いた将のために、これ以上の犠牲を払うことは許されない。 丞相は再び筆を走らせ始めたが、その筆先が微かに震えているのを、私は見てしまった。
「捨て置け」――その短く乾いた響きは、馬謖への死刑宣告であった。 だがそれ以上に、それは諸葛亮自身が、己の心臓に凍てついた刃を突き立て、そこから滴る「情」の一滴さえも許さず、無造作に抉り捨てるような、戦慄するほど冷酷な自決の儀式でもあったのだ。
「黒い旗」の報告がもたらした戦慄が、幕舎の空気を重く支配していた。
我々の議論を、主座で目を閉じたまま黙して聞いていた丞相・諸葛亮が、ゆっくりと目を開いた。
その瞳には、もはや迷いはなかった。あるのは、千尋の谷底を見据えるような、深く、冷たい覚悟のみであった。
「……全軍、撤退戦に移行せよ」
静かな一言だった。だが、それは雷鳴よりも激しく、幕舎に激震を走らせた。
「なっ……!?」 「撤退、ですか!?」
将たちがざわめく中、床を蹴るようにして魏延が前に進み出た。
「待たれよ、丞相! 何故だ!」
魏延は地図上の街亭と、その南にある略陽を指で叩いた。
「馬謖が敗退したとして、敵は所詮、一万の軽騎兵ではないか! 対する我ら本隊は無傷。数万の余力がある! 再度軍を差し向け、略陽付近で迎撃し、撃退できる!」
魏延の主張は、戦術的には正論であった。数で勝る我々が、補給を持たぬ敵を包囲殲滅することは、造作もないことだ。目の前の敵を恐れる必要などない。
だが、諸葛亮は首を横に振った。
「ならぬ」
その声は、魏延の熱気を氷点下まで冷やすほどに冷徹であった。
「確かに、目の前の張郃軍は一万に過ぎない。だが、魏延殿。あの『黒い旗』の意味を。あれは、魏という国家が総力を挙げて動いている証左です」
諸葛亮は、地図の彼方、長安から洛陽へと続く広大な領域を羽扇で示した。
「おそらく、張郃の後方には、既に十万を超える援軍が殺到しているでしょう。そして、その後方にも、さらに十万。魏は、我らの数倍、いや十倍の兵を容易に用意できる国力を持っているのです」
諸葛亮は、我々全員を見渡して告げた。
「我らが小国・蜀をもって大国・魏に勝利するには、ただ一つ。『民を味方に付け、魏から時と糧を奪う』しかない。正面からの消耗戦は、自滅への道です」
「し、しかし! ここで引けば、涼州の民はどうなる! 漢室の威光は!」
食い下がる魏延に対し、諸葛亮は悲痛なまでの現実を突きつけた。
「……たとえ、ここで張郃を撃退し、その後に続く十万の軍をも奇跡的に打ち倒したとしよう。 だが、その時、我々に何が残る? 矢は尽き、糧は消え、兵は傷つく。余剰のない我らに、その先はないのだ」
廷内は、死のような沈黙に包まれた。
諸葛亮は、自らの胸に手を当て、搾り出すように語った。
「魏延殿。今の我らにとって、勝利とは毒杯に等しい。 勝てば勝つほど、我らの物資は削られ、兵は疲弊する。 だが敵は、無限の湧き水のごとく、次々と新しい軍を送り込んでくる。 我らが最後の矢を射尽くし、最後の米を食い尽くした時……そこに待っているのは、もはや撤退すら許されぬ、完全なる包囲殲滅のみだ」
諸葛亮は、羽扇を膝に置いた。
「私が守るべきは、一時の勝利ではない。蜀漢という法の継続である。 ……全軍、撤退せよ。これは、丞相命令である」
その言葉は、今回の北伐の「敗北宣言」であった。
だが同時に、将来の再起のために、今この瞬間の屈辱と痛みを飲み込むという、指導者としての極限の決断でもあった。
魏延は拳を震わせ、何かを叫ぼうとしたが、諸葛亮の悲壮なまでの眼差しに射抜かれ、言葉を呑み込んだ。彼もまた、将として理解してしまったのだ。ここで戦えば、俺たちは英雄として死ねるかもしれないが、国は滅びる、と。
私は、地図の上で輝いていた勝利の夢が、急速に色あせていくのを呆然と見つめていた。
【氷の機械と、泥の矜持】
撤退の決断を下した直後、丞相・諸葛亮の纏う空気は一変した。
それまでの苦悩や迷いは霧散し、代わりに現れたのは、国家という巨大な機械を動かすための、感情を持たぬ、機械ような冷徹さであった。
「伝令。隴西襄武県城を攻囲中の呉班将軍に告げよ。攻囲を即時中止、速やかに撤退に移行せよ。ただし、撤退路はこの冀県城ではなく南下、岐山へ向かうよう指示するのだ」
丞相の指先が地図の上を滑る。冀県城に集結させれば、追撃された際に混雑し、狂乱する恐れがある。兵を分散させ、敵の狙いを絞らせないための処置だ。
「北方、武威へ向かった高翔将軍には転進を命じよ。直ちに略陽へ向かうように。高翔軍が側面から牽制する動きを見せれば、追撃する張郃軍は足を止めざるを得まい」
そして、丞相は魏延に向き直った。
「魏延将軍。貴殿には、出陣準備中の騎兵八千で、直ちに北へ向かって欲しい。騎兵ならば略陽城まで一日の距離だ。現在、敗走しながら交戦中の王平軍を救出せよ」
魏延の顔が歪んだ。
喉元まで出かかった「なぜ俺が」という言葉を、彼はギリリと奥歯で噛み潰したようだった。念願の長安急襲を目前で取り上げられ、代わりに命じられたのは、敗軍の救出という最も損な役回りだ。その双眸には、行き場のない憤怒の炎が燻っていた。
「ただし」丞相は、魏延の憤りを承知の上で、あえて鋭く釘を刺した。
「仮に王平軍の救出が間に合わねば、略陽城を死守せよ。張郃軍に一粒たりとも糧を与えてはならん。奴らの弱点は飢えだ。城を守ることが、最大の攻撃となる」
そして丞相は、魏延の目を射抜くように見つめた。
「この混乱の中、張郃の鋭鋒を受け止め、全軍の壁となれる将は……蜀広しといえど、魏延、貴殿をおいて他にない」
その言葉に、魏延は鼻を鳴らし、ふてぶてしくも傲岸な笑みを浮かべた。
それは丞相への反発ではない。「結局、最後は俺に頼るしかないのだろう」という、猛将としての強烈な自負と、綺麗な作戦が破綻した後の泥拭きを引き受ける、一種の諦観にも似た覚悟であった。
「……ふん。致し方あるまい。泥水啜る汚れ役も、この魏延でなければ務まらぬということか」
彼は短く吐き捨てると、拱手した。
「承知仕った! 雑兵どもは任せておけ!」
魏延が弾かれたように幕舎を飛び出していった。その背中は、納得がいかぬ怒りを全身に漲らせながらも、己にしかできぬ死地へと向かう、凄絶な背中であった。
丞相の白い顔から、一気に、そして完璧な秩序をもって命令が発せられていく。 私はその姿を見ながら、背筋に冷たいものが走るのを禁じ得なかった。
(孔明は……奇襲による勝利だけでなく、この最悪の敗戦の事態も、あらかじめ詳細に想定していたと言うのか)
勝つための策だけではない。負けた時にどう傷を浅くし、どう生き残るか。その撤退の道筋までもが、彼の頭脳の中には既に完成された図面として存在していたのだ。
神算鬼謀と人は呼ぶが、その正体は、あらゆる可能性を網羅し、最悪の事態に備え続ける、人間離れした「悲観的な準備」の結晶であった。私は友の底知れぬ深淵を覗き込んだ気がして、戦慄を覚えた。
しかし、私には、長史として、そして友人として、どうしても聞かねばならぬことがあった。 全ての部隊への指示が終わった一瞬の静寂の中、私は恐る恐る口を開いた。
「……丞相。馬謖参軍は、いかがいたしますか?」
街亭で包囲され、敗走した馬謖。彼への救出命令が、まだ出ていない。
その名を耳にした瞬間、丞相の筆がピタリと止まった。
その表情に、一瞬だけ、人間らしい戸惑いと、肺腑を抉られるような苦悩の影が走ったのを、私は見逃さなかった。愛弟子を見捨てるのか、それとも危険を冒して救うのか。法と情が、彼の胸中で激しく火花を散らしたはずだ。
だが、その迷いは瞬きする間に消え失せた。 丞相は顔を上げると、氷のように冷酷な声で告げた。
「……捨て置け」
「なっ……!?」
私は耳を疑った。
「馬謖の軍は既に瓦解している。彼を救うために兵を割けば、本隊の撤退が遅れ、全軍が危険に晒される。……彼が自力で戻らぬ限り、助ける術はない」
それは、「法」による切捨てであった。軍令を破り、敗北を招いた将のために、これ以上の犠牲を払うことは許されない。 丞相は再び筆を走らせ始めたが、その筆先が微かに震えているのを、私は見てしまった。
「捨て置け」――その短く乾いた響きは、馬謖への死刑宣告であった。 だがそれ以上に、それは諸葛亮自身が、己の心臓に凍てついた刃を突き立て、そこから滴る「情」の一滴さえも許さず、無造作に抉り捨てるような、戦慄するほど冷酷な自決の儀式でもあったのだ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?