【完結】【R18】断り続けた見合い『まさか17回目で捕まるなんて……』

えるろって

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第26話「“俺のもの”発言に心乱れる悪役令嬢」

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「俺は既に王宮内で報告を進めている。近い内にノースバレー伯爵家にも公式の呼び出しをするつもりだ」

応接室で事態の対処を語るロイ王子は、まるで一国の主のような威圧感を漂わせていた。普段はドSと噂される彼の一面が、このように頼もしさへと変化する瞬間に立ち会うと、胸が熱くなる。

「そこまでしてくださるなんて……感謝しかないです」

私がそう言うと、王子は静かに首を横に振る。

「礼を言うな。俺が守りたいと思う相手を守るのは当然のことだ」

「守りたい……」

私の心臓がまた早鐘を打ちはじめる。言葉にされると、どうしてこうも胸が高鳴るのだろう。私は少し視線を逸らし、照れを隠すように息を吐く。

「それに、俺のものだと思っているからな」

「……え?」

不意に聞こえた台詞に耳を疑う。王子は私をまっすぐに見据え、再度はっきりと口にする。

「おまえは俺のものだ。……少なくとも、そうなるように進めている」

「そ、そんな……」

一気に頬が熱くなるのを感じて、私は言葉を失う。王族だから強引なのか、それとも本当にそう思っているだけなのか――どちらにしても、この宣言は私の心を大きく揺さぶる。

「不快か?」

「そ、そうじゃありません。ただ、急すぎてどう反応したらいいか……」

しどろもどろになっていると、王子は軽く口角を上げる。

「俺は冷酷なようで意外と独占欲が強い。このまま噂がどう転ぼうと、おまえの手を離すつもりはない。理解してくれ」

「……はい」

目の前で堂々と宣言されると、本当に逃げ場がない。けれど、不思議と嫌な感じはしない。むしろそれが心強く、嬉しい――そんな感情が込み上げてくる。

「その、私……あなたのことを慕っているのは本当です。まだ全部を話せてはいないけど、絶対に嘘の噂に負けたりしません」

震える声でそれだけ言うと、王子は満足そうに頷き、私の手をとる。強く握りしめられた指先から伝わる体温が、まるで私を包み込むようだ。

「よく言った。おまえがそう決心してくれたなら、もう何も怖くない。……誰が何をほざこうと、俺が叩き潰す」

さすがに言葉が乱暴すぎるけれど、そのくらいの勢いで動いてくれるならリリアンの謀も恐くない。私はぎこちない笑みを浮かべながら、小さく息をついた。

「ありがとうございます。本当に……いつか私も、あなたのために力になりたい」

「力になれている。おまえがそばにいるだけで、俺は大抵のことはどうでもよくなる」

ロイ王子の言葉はあまりに率直で、一瞬呼吸が止まりそうになる。今までたくさんの縁談を断り、眠そうな眼をして逃げまわっていた私が、ここまで必要とされるなんて夢のようだ。

“俺のもの”――その響きに戸惑いながらも、どこか心地よさすら覚えてしまう。こんな感覚は初めてで、まるで新しい世界が開けたような気がするのだった。
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