【完結】【R18】断り続けた見合い『まさか17回目で捕まるなんて……』

えるろって

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最終話「大団円、ドS王子と眠そうな悪役令嬢の結婚」

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「シルヴィア、今日が俺たちの結婚式当日だ」

朝の光が差し込む王宮の礼拝堂。私は厳かな空気に包まれながら、ロイ王子と並んで祭壇の前に立っている。16回もの縁談を断り続け、“悪役令嬢”と呼ばれた私が、今こうして王子の隣に花嫁として立っているなんて、まるで夢のようだ。

「はい……なんだかまだ信じられません。眠くて夢を見てるんじゃないかって」

「馬鹿、寝言はあとで言え」

王子は笑い混じりに小声で突っ込みを入れつつ、私の手をぎゅっと握る。周囲には父やセレナ、アリスをはじめ多くの参列者たちが見守っている。陛下や王妃も姿を見せ、私たちの結婚を正式に認めるとのことで、大勢の祝福の声が湧き起こっていた。

「殿下とシルヴィア・グレイメリアの結婚を、ここに宣言いたします」

神官の厳かな声が礼拝堂に響き渡る。胸の奥がドキリと跳ね上がるが、王子の手が私を支えてくれている。かつては“ドS”と噂され、近づきがたい存在だったはずの王子。だけど、今の彼は誰よりも優しく、私のすべてを受け止めてくれる。

「シルヴィア、俺の妻になってくれてありがとう」

「こちらこそ、私を選んでくれてありがとう。……大好きです」

短い言葉を交わしたあと、祝福の拍手が一斉に鳴り始める。カラフルな花びらが空を舞い、ドレスの裾を彩る。セレナが「おめでとう!」と声をかけてくれ、父は涙を拭いながら微笑んでいる。アリスも笑顔で「よかったですね、お嬢様」と囁く。

「眠そうな悪役令嬢が、ドS王子の虜になった……か。最初の頃はおまえが逃げ回るかと思ったが、最後まで捕まえられてよかった」

王子がからかい半分に言うので、私は苦笑して答える。

「途中で自分から捕まりに行ったんですよ。あれだけ避けていたはずなのに、いつの間にか惹かれちゃって……」

「はは、俺もおまえに捕まえられたのかもしれない」

昔なら到底言えなかった甘い言葉を交わし合い、私たちは祝福の輪の中へと足を踏み入れる。参列者たちが一人ひとり手を伸ばし、祝辞を述べてくれる。どの顔も喜びに満ち溢れていて、胸がじんと熱くなる。

「さあ、新郎新婦のお二人はこれから祝宴にご移動を!」

司会役の声が響き、私と王子は腕を組んで祭壇から降りていく。外には大勢の民衆も集まっていて、私たちを見送るために音楽を奏でている。まるでおとぎ話のような光景だ。

「シルヴィア、もうひとつだけ言っておく。これからも俺は遠慮なくおまえを振り回すかもしれないから、覚悟しておけ」

「ふふ、覚悟してます。私も眠気に負けたりしますが、それでも受け止めてくださいね」

「もちろん。俺のものなんだから、当たり前だ」

最後までドSな物言いをしつつも、その瞳は確かな愛情で満ちている。私は深く息を吸い込み、その温もりを全身で感じながら歩き出す。悪役令嬢という噂を覆して、王子と結ばれたこの結末に、何の後悔もない。

「さあ、祝宴に行きましょうか。みんな待っているわ」

「……ああ、行こう」

私の手をしっかり握った王子が笑いかける。たくさんの障害や誤解を乗り越えて迎えたこの日こそが、本当の幸せの始まりなのだ。眠そうな私でも大丈夫。ドSな王子がそばにいてくれるなら、どんな瞬間も乗り越えられると信じている。

盛大な拍手と歓声を背に受けて、私たちは祝福の門をくぐる。黒髪の眠たげな悪役令嬢とドS王子の物語は、ここで大団円――だけど、私たちの新しい人生は、今まさに始まったばかりなのだ。  
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みんなの感想(2件)

さやえんどう

前半は他国の第二王子だったのに、
途中から自国の王太子になっている。
公爵家(=王族)に、伯爵家(=身分的にはど真ん中。上位貴族からすれば下。下位貴族からすれば上)が名誉毀損したり、婚姻に楯突くのもありえない。
自国の王太子と伯爵家なら婚姻できても、他国の王太子と伯爵家では婚姻できないのに、リリアンがわがまま発動しても普通は「頭の弱い伯爵令嬢だから、どの家も関わらない」で終わるだけでは…。
極めつけに、公爵家の人間が「ウジウジでもでもだってちゃん」なのも、あり得ない。あの性格なら外交ができないことを理由に、5歳ぐらいまでに派閥の傘下の伯爵家か男爵家と縁組させて外に出さないか、修道院に入れますよ。使えない王族は騒動の元なので排除します。
もしくは病を得て儚くなります(王族あるあるの、消し方)
なんで結婚適齢期過ぎても、外交できない人間が公爵家に居るんや…。外交できすぎて、嫁に出したくなくて、王命で家に居るならともかく…。
そもそも寝る暇ないですから、公爵家の人間だと(令嬢にも公務が入る)あんなぐうたらできません。
ファンタジーにしても、矛盾多すぎませんか…。

解除
りりり
2025.06.01 りりり

他国の第二王子だったのでは?いつの間にか王太子?

解除

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