終わった世界でただ嘆く

ダンジョン

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第6話 偉大なる者の最期

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 探索者に声をかけてきたのは、この地下施設の代表をしている男だった。
 代表といっても、理由は最古参で一番年を取っているというだけである。

 昔は、別の人が代表をしていたのだが探索で死亡した。

 「自分が動かなければ、誰が動く。」

 そう言って、自ら率先して何度も探索に向かった。
 その時は、まだ探索が行われた回数が少なく危険性が今よりも高かった。

 安全性と、探索の効率を考え探索者を二人組で行動させる。
 ということを決定した人でもあった。
 
 この二人組制度は、今でも続いている。

 危険な探索を何度も成功させた元代表。
 しかし、終わりは突然やって来た。

 元代表は、相方と一緒に帰ってこなかった。
 何日も、何日も帰ってこなかった。
 
 その後、別の探索者が元代表の服の端切れを発見した。
 付着した大量の血痕から元代表の最期が分かった。

 その後、二代目が話し合いで決まった。

 「お疲れ様。」
 「これで、この地下施設もまだやっていけるよ。」

 そうは言うが、限界に近いのは変わらない。
 今回の探索も結果がそこまでよかった訳では無い。

 もちろん、複数の探索部隊が出ている為多少の物資不足は補える。
 一部隊の少しの失敗ぐらいだったら補える。

 しかし、それでは取り返しのつかない損害が出てしまった。
 とてもではないが、少しの失敗とは言えない。

 人的損失である。
 彼がこれから得られたであろう物資を考えると、結果的には大きな損害である。

 探索者の数を増やすのは難しい。

 確かに、地下施設に人自体はまだ居る。
 全員が健康とは言い難いが、探索者に名乗りを上げる者もいるだろう。

 多少の健康問題なんて気にしていられない。
 動けて、物を運べれば十分だ。

 探索者になる理由は何でもいい。

 地下施設の皆を助けるため。
 家族に物資を渡すため。

 理由はいくらでも考えられる。
 
 しかし、善意だけでやっていけるほど探索者は甘くない。
 時には、切り捨てることも必要になってくる。

 全体の利益の為に自らを切り捨てて、利益をとれるか?
 相方を見捨てても、物資を届ける覚悟があるか?

 探索者を継続してやっていける人は少ない。
 心が折れたりする場合がとても多い。

 それに、基本的な問題が立ち塞がる。

 捕まれば、無残な最期を遂げる異形が居る地上に出られるか?
 という問題である。
 
 今の地下施設では、長い地下生活で異形への恐怖は忘れつつある。
 
 その為、最初に地下施設から出る時は大丈夫なのだ。
 精神に異常をきたす人は少ない。

 それどころか、広い地上に出られることに感動する人もいる。

 地下施設にいる間は安全だからだ。
 異形の姿を見ずに、長い時間を過ごしてきた。

 最初に、地下施設に入った人の中には異形の姿を見た事が無いという人も居る。
 その為、危機感が少ないのだ。

 しかし、覚悟が出来ていない探索者は脆い。

 僅かなミスが死につながる。
 その緊張感を味わってしまった時、覚悟が必要になる。

 脆い精神を持った探索者を向かわせても異形の餌になるだけだ。
 それが、探索者を簡単に補充出来ない理由である。

 帰ってこられても、二度目の探索には行けない場合がある。
 そうなってしまったら、もう探索者としては無理だ。

 その為、探索では二人一組で先輩から異形への対策を叩き込まれる。
 だが、それでも新米探索者の死亡率の方が圧倒的に高いのが現実である。
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