30 / 40
30.愛は時間を超えて
しおりを挟む
イケメンが恥ずかしそうにモジモジしているところはなかなか絵になる、美知子はそんな風に金子を見つめていた。あの華奢な身体をイジメたらどんな反応をするだろうか。これは浮気じゃないしいつかやってみたい、よりによって桃子を呼びに行って戻って来ながら、彼女はそんなことを考えていた。
当然そんなことは知らない金子はウキウキとドキドキが混じった複雑な気分で桃子が来るのを待っていた。そんな金子よりも待ち遠しそうに校舎の奥を眺めている高波は、戻ってきた美知子の姿を確認し子供のようにピョンピョンと飛び跳ねた。
「おい! 金ちゃん! 桃子が来たぞ!
どうする? 隠れた方がいいか? それとも応援した方がいいかな」
「わかったからおちけつ!
向こう側の自販機のとこにでもいてくれよ。
俺が一人でバッチリ決めて見せるからさ!」
「わかった、健闘を祈る!
終わったら遊び行こうぜ、今日はバッチリだから」
高波はそう言って尻ポケットをポンポンと叩いた。どうやら懐が温かいらしいが、その出どこを聞かずとも誰もが判っている。自分を囲っている女性から小遣いをもらうことが、立派かどうかは別にして高波がバイトと同じだと思っているのは確かだからだ。
この中で一番テンションが高い高波を道路の向こう側へ追いやった金子は、桃子と二週間ぶり二度目の対面を果たしていた。遊び人の金子がこんなに緊張することは珍しいが、元来大人しい性格だからかいざという時に本性が顔を出してしまうのだろう。
「よお、こないだブリ、相変わらず部活がんばってんだな。
忙しいとこ何度も来ちまって悪かった、迷惑か?」
「そうね…… どちらかと言うと迷惑、かな……」
「やっぱそうなのか、そんじゃきちっと割り切って引き下がるわ。
急に押しかけちまって悪かったよ、すまん」
「うん、私もメッセ返さなくてごめんね。
金子君にとっては遊び相手の一人かもしれないけど、私はそういうの無理なの」
「はぁ!? 俺はそんなつもりで来たわけじゃねえよ。
一年以上、いや中学ん時も合わせると四年くらいもんもんとしちまってさ。
どうにも気持ちの整理がつかねえからナミタカに便乗して来ちまったんだ。
一人じゃ好きな女に会いに来ることも出来ねえヘタレだよ!
でも俺は桃子のことがずっと前から好きなんだよ!」
思いのほか大きな声が出てしまい、金子は自分でも驚きつつ、帰宅する西高生たちが一斉に振り向いたことにも気が付いた。すると目の前の桃子の顔がみるみると――
「金子君ってばバカなの!? こんなとこで大声出さないでよね!
私だってす、好きって言うかずっと気になってるんだから……
でもいっつも誰かしらと付き合ってる割りに私には声かけてこないからさぁ。
普通は脈無しだと思うじゃない?」
「それってもしかして……!?
んじゃなんで返事くれなかったんよー
俺ってば学校行っても勉強に身が入らなくて困ってたのになぁ」
「そうやって平気で嘘つくから信用できなくなるんじゃないの!
ホントバカ! こないだのゲーセンで待っててくれる?
部活終ってから行くから…… 後でちゃんと返事するね」
「おう、待ってんよ!
もしかして俺も自転車買った方がいいか?」
「バーカ、気が早すぎるのよ! じゃあまた後でね」
桃子はこうして部活へ戻って行き、金子は高波たちの待つ道路の反対側へと走って行く。もちろん金子本人は好感触を得てご機嫌だったのだが――
そこでは幸せを持ち帰ってきた男を迎える場としては相応しくない修羅場が展開されている真っ最中だった。
当然そんなことは知らない金子はウキウキとドキドキが混じった複雑な気分で桃子が来るのを待っていた。そんな金子よりも待ち遠しそうに校舎の奥を眺めている高波は、戻ってきた美知子の姿を確認し子供のようにピョンピョンと飛び跳ねた。
「おい! 金ちゃん! 桃子が来たぞ!
どうする? 隠れた方がいいか? それとも応援した方がいいかな」
「わかったからおちけつ!
向こう側の自販機のとこにでもいてくれよ。
俺が一人でバッチリ決めて見せるからさ!」
「わかった、健闘を祈る!
終わったら遊び行こうぜ、今日はバッチリだから」
高波はそう言って尻ポケットをポンポンと叩いた。どうやら懐が温かいらしいが、その出どこを聞かずとも誰もが判っている。自分を囲っている女性から小遣いをもらうことが、立派かどうかは別にして高波がバイトと同じだと思っているのは確かだからだ。
この中で一番テンションが高い高波を道路の向こう側へ追いやった金子は、桃子と二週間ぶり二度目の対面を果たしていた。遊び人の金子がこんなに緊張することは珍しいが、元来大人しい性格だからかいざという時に本性が顔を出してしまうのだろう。
「よお、こないだブリ、相変わらず部活がんばってんだな。
忙しいとこ何度も来ちまって悪かった、迷惑か?」
「そうね…… どちらかと言うと迷惑、かな……」
「やっぱそうなのか、そんじゃきちっと割り切って引き下がるわ。
急に押しかけちまって悪かったよ、すまん」
「うん、私もメッセ返さなくてごめんね。
金子君にとっては遊び相手の一人かもしれないけど、私はそういうの無理なの」
「はぁ!? 俺はそんなつもりで来たわけじゃねえよ。
一年以上、いや中学ん時も合わせると四年くらいもんもんとしちまってさ。
どうにも気持ちの整理がつかねえからナミタカに便乗して来ちまったんだ。
一人じゃ好きな女に会いに来ることも出来ねえヘタレだよ!
でも俺は桃子のことがずっと前から好きなんだよ!」
思いのほか大きな声が出てしまい、金子は自分でも驚きつつ、帰宅する西高生たちが一斉に振り向いたことにも気が付いた。すると目の前の桃子の顔がみるみると――
「金子君ってばバカなの!? こんなとこで大声出さないでよね!
私だってす、好きって言うかずっと気になってるんだから……
でもいっつも誰かしらと付き合ってる割りに私には声かけてこないからさぁ。
普通は脈無しだと思うじゃない?」
「それってもしかして……!?
んじゃなんで返事くれなかったんよー
俺ってば学校行っても勉強に身が入らなくて困ってたのになぁ」
「そうやって平気で嘘つくから信用できなくなるんじゃないの!
ホントバカ! こないだのゲーセンで待っててくれる?
部活終ってから行くから…… 後でちゃんと返事するね」
「おう、待ってんよ!
もしかして俺も自転車買った方がいいか?」
「バーカ、気が早すぎるのよ! じゃあまた後でね」
桃子はこうして部活へ戻って行き、金子は高波たちの待つ道路の反対側へと走って行く。もちろん金子本人は好感触を得てご機嫌だったのだが――
そこでは幸せを持ち帰ってきた男を迎える場としては相応しくない修羅場が展開されている真っ最中だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
まずはお嫁さんからお願いします。
桜庭かなめ
恋愛
高校3年生の長瀬和真のクラスには、有栖川優奈という女子生徒がいる。優奈は成績優秀で容姿端麗、温厚な性格と誰にでも敬語で話すことから、学年や性別を問わず人気を集めている。和真は優奈とはこの2年間で挨拶や、バイト先のドーナッツ屋で接客する程度の関わりだった。
4月の終わり頃。バイト中に店舗の入口前の掃除をしているとき、和真は老齢の男性のスマホを見つける。その男性は優奈の祖父であり、日本有数の企業グループである有栖川グループの会長・有栖川総一郎だった。
総一郎は自分のスマホを見つけてくれた和真をとても気に入り、孫娘の優奈とクラスメイトであること、優奈も和真も18歳であることから優奈との結婚を申し出る。
いきなりの結婚打診に和真は困惑する。ただ、有栖川家の説得や、優奈が和真の印象が良く「結婚していい」「いつかは両親や祖父母のような好き合える夫婦になりたい」と思っていることを知り、和真は結婚を受け入れる。
デート、学校生活、新居での2人での新婚生活などを経て、和真と優奈の距離が近づいていく。交際なしで結婚した高校生の男女が、好き合える夫婦になるまでの温かくて甘いラブコメディ!
※特別編6が完結しました!(2025.11.25)
※小説家になろうとカクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想をお待ちしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる