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序章 女神との出会いと異世界転生編
08.最終説明
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実質不老不死の神人がいなくなる理由、それは意外だったが聞いてみれば納得できるものだった。
「前の神人がなんでいなくなったかって?
まあプライバシーの問題もあるから詳しくは言えないけど、長く生きて十分満足したからだって。
不幸だった生前を思い出すことも無くなり、異世界でやりたいことも無くなった。
だから最後は今の妻と一緒に死んでいきたいって言われちゃってさ。
もう見送りつづけるのにも疲れちゃったみたいだしね。
本人が満足したって言ってるものを、意思に反して無理に生き永らえさせることはできないじゃん?」
「なんだか切なくてステキなお話ですね。
じゃあ私も満足したらそう伝えます。
そして満足できるような人生が送れることを目指したいと思います。」
「うん、いい心構えだね。
あなたを選んだ私も嬉しくなる言葉をありがとうね。
それじゃ名前を決めたら大体終わりかな」
名前はまた悩んで時間がかかるところだ。女神からは神人ならファーストネームをつけるべきと根拠のないことを言われたが、いいネーミングが浮かばずさらに悩むことになった。
最終的に、元の名前に近い方が愛着が持てやすいと考えて『ミーヤ・ハーベス』とつけた。もし親しい友人が出来たらミーヤと呼んでもらおう。ファーストネームは豊穣の女神の神人らしく、収穫と言う意のハーベストからもじって付けた。
こうして肉体が出来上がり初期の能力が決められたので、短剣へ一時保管していた七海の魂と記憶を新しい身体へ移してくれるらしい。その前に今借りている女神のコピーへ短剣を刺して魂を取り出した。二度目ともなると焦ることもない。今更あれこれもがいてもどうすることもできないのは明らかだし。不思議とそんな冷静さを持って短剣を刺したのだが、また真っ白な虚無の世界を味わうと気分は良くなかった。
しかし今度は長く放置されることもなく、新しい身体、フェネックの獣人である『ミーヤ・ハーベス』へと魂が移された。背丈は七海よりも少し大きいだろうか。わずかに違和感を感じなくもないが、これがこれから付き合っていく自分の身体だ、すぐに慣れてくれるだろう。
全ての準備が整うと、豊穣の女神はこれから最初の村へ転送すると言った。でもその前に世界の説明をしてくれるらしい。
「それじゃこれから簡単にだけど説明するね。
その前に転生体の住み心地はどう?
背が少し高くなったみたいだから、歩いたり動いたりするとちょっと違和感があるかもね。
でもそれ以外は問題なさそうだからすぐになじむと思うよ?
ところで異世界は初めてだよね?」
こういうところ! こういう発言をするところがこの女神のイヤなところだ。死んだのだって異世界へ行くのだって初めてに決まってるんだから、いちいちくだらないことを聞かないでもらいたい。
「そりゃそうですけど……
まさか二回目ですとか答えてほしかったんですか?」
七海、いやミーヤは少しむくれながら返事をする。
「まあそんなに怒らないでよ。
これも様式美みたいなもんだからさ。
気を取り直して……」
女神はコホンとわざとらしく咳ばらいをした。
「異世界異世界って言ってるけど、よく考えたら地球みたいな名称はつけてなかったわ。
それはおいおい考えるとして、現在の異世界は人気ゲームにもよくある世界観なの。
まあ中世ヨーロッパ的な? 一番人気のアセットだよ。
金属武器や魔法があって、スキルと言う特殊な力もあるのは説明済みだね。
いつくか国はあるけど規模は大きくないかな。
憲法や法律みたいなものは無くって、王や領主の裁量次第って感じ。
でも人類を作った際に、殺人や窃盗は絶対悪って初期設定してあるから平和的解決が多いね。
場合によってはお金で解決、なんてことも普通にあるよ」
「王様が統治する国があるんですね。
比較的平和そうなのは何よりです。
でもお金で解決って…… 賄賂ですか?」
「賄賂とは限らないよ?
罰金とか財産没収みたいなこともお金で解決の一つだね。
でも悪いと考えられることすべてが裁けるわけじゃないから、そこは注意しないとダメだよ?
たとえば詐欺の被害にあっても、録画や録音が無いと証拠を用意することが難しいでしょ?」
「それは確かにそうですね。
でも泣き寝入りするのは嫌だなあ」
「まあそこは頭と力を使って解決するか、初めから近寄らないかかな。
人を全て疑ってかかるのも自衛の手段だしね。
初めから嫌な話になっちゃったかな。
次は楽しい話にしよう」
ミーヤはうんうんと頷いた。ついでに、ついていることにまだ慣れていない尻尾も振ってみる。
「七海ちゃん、違った、ミーヤは今後異世界でどんな生活をしてもいいよ。
目的を持たなきゃいけないわけでもないし、私からなにか指示することもない。
勇者よ世界を救うのだ! なんてベタな展開はもちろんないない。
それでも人には欲があるから、誰に言われなくても冒険したりお金稼いだりしてるのよね。
モンスターみたいな凶暴な生物もいて、それを倒して名声を得ようとする人たちもいる。
ちなみにお金の単位はゴードルって言うんだけど、現実の貨幣は存在しないよ。
どういうこと? って思うかもしれないけど、買い物はすべてキャッシュレス!
想像と違って先進的過ぎてびっくりした?
昔はコインを使ってたんだけど、お金持ちになるとあまりに重くて動けなくなったりしてさ。
不便だから大型アップデートで無くしちゃったんだ」
ずいぶん思い切ったことをしたわりに気楽に話しているけど、大金が消滅した人たちはどんな気分だったんだろう。財産自体がわからなくても、実在したものが無くなったらガッカリしないのだろうか。
「それが四十年くらい前だったかな。
地球でコンピューターゲームが出来て、能力も財産も全部数値で出来ているわけじゃない?
見た瞬間これだ! と思ったわけよ、無の神がだけど。
それから数年かけて人類の能力数値化と可視化を進めたわけ、無の神が。
もちろん価値観とか新しいシステムへの適応とかも同時にやったから混乱は無かったけどね」
「記憶操作ですか?
またそうやって生命をもてあそぶようなことを……」
「いやいや、やらなかったら世界中で大混乱するし、伝聞で伝えるのも限度があるじゃない?
とにかく大荷物を持ち歩く必要が無くなって、野外での安全性がグッと増したわけよ。
荷物を守るのも楽になったから泥棒や強盗も減ったんだよ?
そうそう、その時一緒に実装したのが個人用の不思議なポケットとスマメなの。
ミーヤにも腰の辺りに小さなバッグみたいなのがくっついてるでしょ?
そこには大体なんでも入るし、重さの制限もないんだよ、凄くない?
だから何か手に入れたら片っ端から入れていけば安全に持ち歩いて保管できるってわけ。
中には百個までのアイテムが重量無制限で入るんだけど、いっぱいになることもあるでしょ?
そうしたらサブバッグというのが使えるようになってもう百アイテム持てるよ。
でもこっちは重量制限があって100ポンまでしか持てないことにしてある。
あ、ポンっていうのは重さの単位で、どんなものでも最低重量は1ポンだからね。
大体リンゴ一個で1ポンなんだけど、鳥の羽一枚でも1ポンってことよ?」
ミーヤは話を聞きながらポケットへ手を入れて中を探ってみた。するといくら手を動かしても何もなくバッグの裏地すら存在しない。この機能的に優れたポケットに難点を付けるとしたら、アイデア的にいろいろまずいことだ、なんて一人余計な心配をしていた。
「前の神人がなんでいなくなったかって?
まあプライバシーの問題もあるから詳しくは言えないけど、長く生きて十分満足したからだって。
不幸だった生前を思い出すことも無くなり、異世界でやりたいことも無くなった。
だから最後は今の妻と一緒に死んでいきたいって言われちゃってさ。
もう見送りつづけるのにも疲れちゃったみたいだしね。
本人が満足したって言ってるものを、意思に反して無理に生き永らえさせることはできないじゃん?」
「なんだか切なくてステキなお話ですね。
じゃあ私も満足したらそう伝えます。
そして満足できるような人生が送れることを目指したいと思います。」
「うん、いい心構えだね。
あなたを選んだ私も嬉しくなる言葉をありがとうね。
それじゃ名前を決めたら大体終わりかな」
名前はまた悩んで時間がかかるところだ。女神からは神人ならファーストネームをつけるべきと根拠のないことを言われたが、いいネーミングが浮かばずさらに悩むことになった。
最終的に、元の名前に近い方が愛着が持てやすいと考えて『ミーヤ・ハーベス』とつけた。もし親しい友人が出来たらミーヤと呼んでもらおう。ファーストネームは豊穣の女神の神人らしく、収穫と言う意のハーベストからもじって付けた。
こうして肉体が出来上がり初期の能力が決められたので、短剣へ一時保管していた七海の魂と記憶を新しい身体へ移してくれるらしい。その前に今借りている女神のコピーへ短剣を刺して魂を取り出した。二度目ともなると焦ることもない。今更あれこれもがいてもどうすることもできないのは明らかだし。不思議とそんな冷静さを持って短剣を刺したのだが、また真っ白な虚無の世界を味わうと気分は良くなかった。
しかし今度は長く放置されることもなく、新しい身体、フェネックの獣人である『ミーヤ・ハーベス』へと魂が移された。背丈は七海よりも少し大きいだろうか。わずかに違和感を感じなくもないが、これがこれから付き合っていく自分の身体だ、すぐに慣れてくれるだろう。
全ての準備が整うと、豊穣の女神はこれから最初の村へ転送すると言った。でもその前に世界の説明をしてくれるらしい。
「それじゃこれから簡単にだけど説明するね。
その前に転生体の住み心地はどう?
背が少し高くなったみたいだから、歩いたり動いたりするとちょっと違和感があるかもね。
でもそれ以外は問題なさそうだからすぐになじむと思うよ?
ところで異世界は初めてだよね?」
こういうところ! こういう発言をするところがこの女神のイヤなところだ。死んだのだって異世界へ行くのだって初めてに決まってるんだから、いちいちくだらないことを聞かないでもらいたい。
「そりゃそうですけど……
まさか二回目ですとか答えてほしかったんですか?」
七海、いやミーヤは少しむくれながら返事をする。
「まあそんなに怒らないでよ。
これも様式美みたいなもんだからさ。
気を取り直して……」
女神はコホンとわざとらしく咳ばらいをした。
「異世界異世界って言ってるけど、よく考えたら地球みたいな名称はつけてなかったわ。
それはおいおい考えるとして、現在の異世界は人気ゲームにもよくある世界観なの。
まあ中世ヨーロッパ的な? 一番人気のアセットだよ。
金属武器や魔法があって、スキルと言う特殊な力もあるのは説明済みだね。
いつくか国はあるけど規模は大きくないかな。
憲法や法律みたいなものは無くって、王や領主の裁量次第って感じ。
でも人類を作った際に、殺人や窃盗は絶対悪って初期設定してあるから平和的解決が多いね。
場合によってはお金で解決、なんてことも普通にあるよ」
「王様が統治する国があるんですね。
比較的平和そうなのは何よりです。
でもお金で解決って…… 賄賂ですか?」
「賄賂とは限らないよ?
罰金とか財産没収みたいなこともお金で解決の一つだね。
でも悪いと考えられることすべてが裁けるわけじゃないから、そこは注意しないとダメだよ?
たとえば詐欺の被害にあっても、録画や録音が無いと証拠を用意することが難しいでしょ?」
「それは確かにそうですね。
でも泣き寝入りするのは嫌だなあ」
「まあそこは頭と力を使って解決するか、初めから近寄らないかかな。
人を全て疑ってかかるのも自衛の手段だしね。
初めから嫌な話になっちゃったかな。
次は楽しい話にしよう」
ミーヤはうんうんと頷いた。ついでに、ついていることにまだ慣れていない尻尾も振ってみる。
「七海ちゃん、違った、ミーヤは今後異世界でどんな生活をしてもいいよ。
目的を持たなきゃいけないわけでもないし、私からなにか指示することもない。
勇者よ世界を救うのだ! なんてベタな展開はもちろんないない。
それでも人には欲があるから、誰に言われなくても冒険したりお金稼いだりしてるのよね。
モンスターみたいな凶暴な生物もいて、それを倒して名声を得ようとする人たちもいる。
ちなみにお金の単位はゴードルって言うんだけど、現実の貨幣は存在しないよ。
どういうこと? って思うかもしれないけど、買い物はすべてキャッシュレス!
想像と違って先進的過ぎてびっくりした?
昔はコインを使ってたんだけど、お金持ちになるとあまりに重くて動けなくなったりしてさ。
不便だから大型アップデートで無くしちゃったんだ」
ずいぶん思い切ったことをしたわりに気楽に話しているけど、大金が消滅した人たちはどんな気分だったんだろう。財産自体がわからなくても、実在したものが無くなったらガッカリしないのだろうか。
「それが四十年くらい前だったかな。
地球でコンピューターゲームが出来て、能力も財産も全部数値で出来ているわけじゃない?
見た瞬間これだ! と思ったわけよ、無の神がだけど。
それから数年かけて人類の能力数値化と可視化を進めたわけ、無の神が。
もちろん価値観とか新しいシステムへの適応とかも同時にやったから混乱は無かったけどね」
「記憶操作ですか?
またそうやって生命をもてあそぶようなことを……」
「いやいや、やらなかったら世界中で大混乱するし、伝聞で伝えるのも限度があるじゃない?
とにかく大荷物を持ち歩く必要が無くなって、野外での安全性がグッと増したわけよ。
荷物を守るのも楽になったから泥棒や強盗も減ったんだよ?
そうそう、その時一緒に実装したのが個人用の不思議なポケットとスマメなの。
ミーヤにも腰の辺りに小さなバッグみたいなのがくっついてるでしょ?
そこには大体なんでも入るし、重さの制限もないんだよ、凄くない?
だから何か手に入れたら片っ端から入れていけば安全に持ち歩いて保管できるってわけ。
中には百個までのアイテムが重量無制限で入るんだけど、いっぱいになることもあるでしょ?
そうしたらサブバッグというのが使えるようになってもう百アイテム持てるよ。
でもこっちは重量制限があって100ポンまでしか持てないことにしてある。
あ、ポンっていうのは重さの単位で、どんなものでも最低重量は1ポンだからね。
大体リンゴ一個で1ポンなんだけど、鳥の羽一枚でも1ポンってことよ?」
ミーヤは話を聞きながらポケットへ手を入れて中を探ってみた。するといくら手を動かしても何もなくバッグの裏地すら存在しない。この機能的に優れたポケットに難点を付けるとしたら、アイデア的にいろいろまずいことだ、なんて一人余計な心配をしていた。
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