平行線

マリー

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平行線

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 彼女の人を落ち着かせる雰囲気は私を強く惹き付けた。
 
 良く言えば何事にも冷静沈着。クール。

 悪く言えば何事にも無関心。冷酷。
 
 多くを語らない彼女は人を怒らせることが滅多にない。
 
 まあ、そういう人間に嫌悪感を抱く人間もいるが。複雑な話だ。
 
 結論を言ってしまえば私はそういう類の人間では無かったと言う訳で。
 
 だから彼女を数少ない己の友人として認められるのだろう。
 
 自分と似通った部分がある人間に興味を抱いた。ただそれだけ。
 
 だが、己と彼女が似ている。そう言うには非常に曖昧な処である。
 
 ただ似ていると形容できるだけの人物なら興味なんて沸かないだろう。
 
 あくまで彼女とは若干似通った部分があると言うだけ。
 
 冷静沈着、冷酷、クール、無関心。
 
 そんな言葉私だって言われる事がある。
 
 けれど違う。決定的に私と彼女には大きな違いがある。
 
 彼女の鉄仮面は常時外れない。
 
 それは彼女が何かに対して強い熱を持つことがないから。
 
 人を傷つける事をしなければ励ます事もしない。
 
 彼女に冷と言う字は良く似合う。それは彼女が半端ではなく完璧だから。

 対して私は常時鉄仮面と言う訳でもない。

 むしろ愛想笑いを浮かべていることが多い。多くなった。

 昔は彼女の様にほぼ表情を変えることが無かったが。

 そして私には熱を持つほどの事柄がある。

 つまり私は、私は冷と言う字に不釣り合いなのだ。半端だから。

 半端者な私の瞳には完璧な彼女の存在は酷く魅力的に映った。

 元々彼女の魅力に気付いていなかった訳ではない。

 魅力に気付いていたからこそ近寄った。興味本位で。

 すると自分でも予測していなかったほど無意識の内に惹かれていた。

 一貫としている彼女に。

 興味が好意に変わるのは普通の人間と比べれば長かったのかも知れない。

 だが私と言う人間の基準としては、それはとても早かった。

 まず、私が興味をそそられる。なんて滅多にない事だった。

 それが自分から近寄るなんて事は尚更。

 そうするとただの興味本位では片付かない何かがあったのかもしれない。

 必然・・・なんて臭い台詞似合わないが、そう言うことだったのかもしれない。

 熱はないのに生きゆくままに、何にも囚われず自由に生きる彼女。

 学生時代からの己が認めた数少ない友人。

 私が上部だけの付き合いをしてこなかった内の一人。

 何でもお見通しの様だ。と思われがちな私。

 けれど長い付き合いである彼女のこと一つよくわからない。

 どういう人間か解っていても私では彼女の真の感情は見通せない。

 変に、曖昧に、歪に、似通っているせいだろうか。

 


 彼女と言う人はその性格の通りあまり連絡を寄越さない。

 く言う私もあまり人の事を言えた質ではないが。

 学生でもなくなった私達は相手か自身から連絡を

 とらなげれば偶然が起こらない限り逢うことも互いの状況をしっかり知ることもない。

 特に彼女の場合は何処に居るのか世界中を飛び回っている為予測不能。

 こんな私、にまるでノスタルジアの様なものを感じさせる人間。

 ここまで純粋な友愛は珍しいだろう。と、苦笑する。

 それを自身が持っているのだから尚更可笑しな気がする。

 彼女に出逢うまでの自分からは検討も付かない。

 そこまで思うと一つ嘆息たんそくを漏らす。彼女も中々の変わり者だ。

 そんな変わった友人に連絡をせずに逢いに行くのも良いかもしれない。

 なんて・・・私も大概かもしれない。
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