一輪の花とそよ風の誘惑

花魁童子

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 愛している証拠ってどこからできるものなのかしら。


 私は思う。「嫉妬と相手への不安」がその証拠であり、愛している証なのかもしてないと。常に相手の私への思いを考え、受け取り、独占したくてたまらない。


 この感情を抱く私はいけない子なの? めんどくさい女なの? 金を持つ名家の娘だから独占欲が強くなってしまうの? 


 内緒話を主食とする貴族の女性たち、ヒソヒソと陰口が大好きな女の使用人たち。


 私がわがままですって? いいえ、違うの。私は悲しき女性なの。幼少期から女性の在り方だの、礼儀作法だの、叩き込まれて人生が辛いと心では思えど口に出さない私は健気だと思うの? みんなもそう思うでしょう。


 でも私にも運がいいことはあるの。周りはそうかもしれないけれど、政略結婚という貴族の呪縛を施されて嫌だったのに、相手が私好みの男なの。幸せすぎて心の中はいつもあの人のことしか考えない。


 彼は私の言葉に疑いもなく耳を傾けてくれる。


 そんな彼が私は大好きなの。使用人たちは「○○様は、きっとお嬢様に騙されているのよ。可哀想に」とか言ってくるのもいるけれど、別に今付き合っているのは私のわがままではないの。


 彼も了承しての結婚だから私は何も悪くない。それをよそ者があれこれ言うものでもないけれど、最近の私は気分が良いの!


 だからそんなことでくよくよしない。周りの戯言など無関心を通り越して聞こえていないに等しい。


 いつも彼から私に会いに来て言うの。
「あなたは今日もお美しい。何にも負けない一輪の花のように」
 とね。


 彼の言葉はいつも私の心を打ち抜くの。


 まるで恋の矢がハートのど真ん中を射貫くよう。いつもいつも、彼は私だけを見ていればいいいのに。


 ですが、彼は誰にでも優しいの。私以外誰も見なくてもいいのに。私だけ見て、私だけ愛して、私だけ…私だけでいいの!


「そうですわ。彼に一つ提案をしてみましょう」


 その時の私の顔はどんなものだったの。綺麗に笑えていたかしら。貴族の女性として笑っていたのかしら。


 まぁ、いまはそんなことを真剣に考えても仕方がないですわ。
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