素直じゃない男

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素直じゃない男3

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先日のプロポーズはなんだったのだろうと思うくらい、いつも通りの毎日が戻ってきた。

無表情の大学生くんはあれ以来現れない。

バイト先に行っても姿が見えないので辞めてしまったのかもしれない。

何にせよ、イタズラに構っていられるほど私は若くないのだ。


今日も公園でビールを啜りながら息をつく。

そろそろ結婚考えないとかなぁ・・・・。

でも仕事も続けたいし・・・理解のある男の人ってあんまり居ないよなぁ・・・。


今までの彼氏は家に入って欲しいタイプの人ばかりでどうしても付き合いが長くなると

その話でモメては破局迎えてしまうのだ。


もう一人でもいいかなと思うのだが、実は子供好きで、

夫は居なくても良いから子供は欲しいな・・・なんて考えたりしている。


そう思うと冗談でも大学生君の提案に乗ってみてもよかったかも知れない。

程よいところで飽きてくれれば後腐れなく別れられるし。


まあ過ぎてしまった事は仕方がない。

少しだけ寂しくて痛む胸を無意識に抑えながら私は帰路についた。


その日の夜。

いつもより飲みすぎた私は化粧も落とさず、スーツを脱ぎ捨てたまま下着でベッドに横たわっていた。


不意に鳴るインターフォンの音。

こんな夜中に誰だろうとぼんやりした頭でそのまま玄関に向かう。

相手も確認せずにガチャッと扉を開くとそこにはあの大学生が立っていた。


「なっ!あんた!その格好!」


無表情の彼が珍しく慌てたように顔を隠す。


「はあ、また君か~で?今日は何の罰ゲーム?大学生にもなって何やってるのよ~」


ほろ酔いのまま呆れたように声をかけた。

途端にムッとした彼は先ほどとはうって変わって強い視線をこちらに向けてくる。


「別に・・・これもう持っていても仕方ないし・・・返しに来たんだよ」


そう言うと、いつか拾ってくれたストラップを差し出した。


「捨てていいって言ったじゃない、もう・・・」


「とりあえず上がらせて、その格好のまま玄関あけっぱはさすがにヤバい」


そう言って彼は強引に玄関に入り込み、扉を閉めた。


「はあ・・・・まあいいや・・・とりあえずコーヒーでも飲んでいけば」


あくびをしながらそう言うと彼は無言で頷いた。


流石に寒かったのでガウンを羽織りお湯を沸かし、入れたばかりのコーヒーを差し出しながら彼の向かい側に座った。


「あのさ・・・・」


「ん?」


「俺就職したんだけど・・・」


「うん、それで?」


「これ給与明細」


何故か彼はためらいもせず自らの給与明細をバサっと置いた。

そこには彼の若さには見合わないほどの数字が記載されている。


「なにこれ?」


「だから給与明細」


「それはわかってるわよ、そうじゃなくて何で私に見せるのよ」


「あんたが経済力がどうとか言ってたから・・・・」


「は?まだそのゲーム続いてるの?」


「ゲーム?」


「だから友達と賭けでもしてるんでしょう?おばさんを落とすゲーム」


「は?なんだそれ」


「もういいから、何ならその賭け金おばさんが払ってあげようか?」


「!」


「もう遅いしそろそろ帰りなね~?」


「・・・・・すんな」


「ん?何?」


「ガキ扱いすんなよ!」


彼は突然立ちがると私の手を引きベッドに押し倒して来た。


「はあ・・・まいっか・・・今彼氏居ないし」


たまには若い子と遊ぶのもいいかもしれない。

そう思って口を開くと


「今・・・彼氏居ないのか?」


彼は何故か顔を赤らめながら視線を彷徨わせ言った


「まあね、皆お家で待っていてくれる専業主婦が好きだから上手くいかないのよ」


「専業主婦は嫌なのか?」


「嫌ではないけど仕事好きだし、子供も好きだから出来れば子供の面倒見れる男の人のがいいかな」


笑いながらそう言うと、彼は突然ガバッと起きた。


「俺ならなれるぞ」


「はい?入社したての新人が何言ってるの?」


「入社・・・とは違うんだが・・・俺、物書きもしてるから家で仕事が出来るしあんたの条件にピッタリだろ?」


先ほどから無表情で必死に言いくるめようとする彼が可笑しくてつい笑いながら言ってしまった。


「いいね、じゃあ一生面倒みてくれる?おばあちゃんになってもだよ?ああ、でも、もし離婚になったら親権は私にくれると嬉しいな、それなら結婚しても良いよ?」


「ほっ本当かっ!?」


彼は珍しく興奮したように目を見開いた。


「あはは、君面白いね~まあ最悪、子種だけくれればいいよ?」


そう言って彼を見上げると分かりやすくゴクッと喉をならした。


「ふふ、後腐れ無いから楽だし今日は遊んであげる」


私は彼の首に手をかけて引き寄せると唇を寄せた。


「ちゃんと気持ちよくしてよ?」


ふわふわした頭でそう言いながら微笑むと彼がゆっくりと覆いかぶさって来た。


たまにはこんな日があっても良いよね。


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